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2018年6月6日(水)

なぜ高知県で日本一伸びた? 外国人観光客の消費単価

高瀬
「もはや外国人なしではなりたたない日本の観光について考えていきます。
岩野アナウンサーとお伝えします。」

外国人旅行者 「1人あたりの消費単価」は下がっている

岩野
「日本を訪れる外国人旅行者の『数』は毎年、過去最高を更新し続けていますが、その一方で『1人あたりの消費単価』は下がっているんです。
こちらをごらんください。
青く塗られているのは、3年前と比較して、1人あたりの消費単価が下がっている地域です。
その数、実に『37』都道府県にものぼっています。」

和久田
「かなり多くの地域で、下がっているんですね。」

消費単価が最も伸びているのが高知県

岩野
「そうなんです。
地域への経済効果を高めるためには、この消費単価をどう上げていくかがポイントになります。
一方、赤く塗られているのは消費単価が伸びているところ。
中でも大きく伸ばしている県があるんです。
こちら、高知県です。
過去3年間で、全国で最も大きな伸びとなっています。」

高瀬
「高知県?
それまでが低かったという訳ではないんですよね。」

岩野
「こちらは、都道府県別に見た1人当たりの消費額なんですが、高知県は、東京、そして北海道に次ぐ、全国3位。
全国平均が25,000円くらいなんですが、それを35,000円あまりも上回っているんです。」

和久田
「高知は、伸び率も実際の金額も高いということなんですね。」

岩野
「高知を取材すると、いかに外国人にお金を使ってもらうかのヒントが見えてきました。」

外国人に大人気 高知特産の「サンゴ製品」

高知といえば、坂本龍馬像がある桂浜。
そして、高知城。
しかし、データを分析すると、こうした観光地以外に、外国人が押し寄せている場所がありました。

それは、中心部にある商店街です。
商店街のあちこちで買い物を楽しむ外国人の姿が見られます。

岩野
「あちら、にぎわっている店がありますね!
まだ朝10時なんですが。」

中でも多くの人が集まっていたのが、高知特産の「サンゴ製品」の店です。
サンゴは高級品なんですが、外国人に大人気。

多い日には、1日の売り上げが数百万円以上にのぼる店もあるといいます。

カナダから来た夫婦
「サンゴのネックレスです。
とってもきれい。
私たちの国にはありませんから。
1個800カナダドル(約6万8千円)までは出しますよ。」

サンゴ店 社長 清岡光二さん
「気に入ったものを選ばれる。
金額とは関係なくですね。
ありがたいなと思っています。」

【戦略1】ターゲットは外国人「富裕層」

なぜ、商店街で、外国人がこれほどお金を使っているのか。
そこには、高知独自の戦略がありました。
まず、ターゲットにしたのが、外国人の「富裕層」。
高知県は港を整備し、大型客船を積極的に誘致。
その結果、外国客船の数が、ここ3年でおよそ5倍になっています。

岩野
「ああ、クルーズ船入ってきてますよ!
大きい!」

この日、入港したのは、乗客2,800人の豪華客船。
滞在時間はわずか8時間。

【戦略2】滞在時間有効に使う“消費のゴールデンルート”

この限られた時間で、いかにお金を使ってもらうか。
そこで考え出されたのが、“消費のゴールデンルート”です。
まず、船から降りた客を、県が用意した無料シャトルバスで、中心市街地のバスターミナルへ。
そこから、高知城まで1.5キロ歩いてもらいます。
その間にあるのが商店街。
こうしたルートを作ることで、経済効果を生もうというのです。

【戦略3】商店街で待ち受けている「オセッカイスト」

「(英語)何か手伝いましょうか?」

そして、商店街で待ち受けているのが「オセッカイスト」と呼ばれる、市民のボランティアたちです。
モットーは、「頼まれなくても世話を焼く」こと。
要望を聞き取って、これまで外国人が行かなかったような店にも橋渡しをしています。


夫の着替えが無くなってしまったというこちらの女性。

オセッカイスト
「男の人のTシャツって置いています?」

店員
「置いてますよ。」

オセッカイストは、地元の衣料品店に案内しました。

「ナイス!」

「サンキュー。」

おせっかい協会 田村樹志雄さん
「この地域にお金を落としていただくことが、一つの大きな支援の目標です。
お店の中に、一歩入るというところをつなげていけたらいい。」

地元デパート 売り上げ「前年の倍・倍・倍」

そして、最後に訪れるのが地元のデパートです。

ここに、外国人観光客のために「免税カウンター」を設けました。
デパートと商店街が提携し、商店街で買った商品でも、一括して「免税手続き」を行えるようにしたのです。
すると、デパートの来客数も急増、外国人客の売り上げが、ここ3年で5倍に増えたといいます。

高知大丸 森本憲吉さん
「前年の倍・倍・倍という形で、売り上げが伸びてきております。
日本人に向けの商売というのは年々マイナス傾向が続いておりますので、(外国人の売り上げは)唯一うちの中でも伸びている。」

緻密な戦略を協力して実行していくことが大事

高瀬
「オセッカイスト、外国人観光客をうまく地元の商店街に取り込んでいましたね。」

和久田
「港の整備と特産のサンゴをきっかけに、すべてのねらいと仕掛けが噛み合っていて、気持ちがいいくらいうまくいっていましたね。」

岩野
「こうした外国人の消費額を上げるためには、消費へとうまくつなげる仕掛け作りが重要だと専門家は指摘しています。」

東洋大学国際観光学部 矢ケ崎紀子教授
「地域に外国人旅行者が来る。
でも来ただけでは、地域に落ちる消費にはそく結びつかない。
何かその間をつなげる、『人』なり『こと』なりが必要になってくる。
高知の場合は、オセッカイストさん。
(外国人観光客の)パイ自体は広がっていますので、ほかの地域にも十分、チャンスはある。」

岩野
「全国的に外国人旅行者の消費単価が下がっている県が多いわけですから、これをプラスに転換することができれば、それぞれの地域はもちろん、日本全体にとっても大きな経済効果につながります。
そのためには、高知のように地域の実情に合わせて緻密な戦略をたて、その戦略を、行政、地元の商店街や企業、市民が協力して実行していくことが何よりも大事だと、取材を通して感じました。」

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