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2018年5月26日(土)

AI兵器が戦場を変える!?

小郷
「急速に進化を続ける、人工知能=AI。」

新井
「その活用は、こんなところにまで広がろうとしています。」


人工知能を搭載したロボット、「ターミネーター」。
次々と人を抹殺。
30年以上前の映画の世界が、まさに、現実のものになろうとしています。

「両手を挙げて出てきなさい。」

今、人工知能=AIを活用した兵器の開発競争が加速しているのです。
火薬、そして核兵器に次いで、“第3の革命”と呼ばれる「AI兵器」。
人類の脅威となるのでしょうか。

“AI兵器”に殺される!? 未来の戦場とは…

新井
「AI兵器の出現は、戦争をどう変えるのでしょうか。
政治部の西井建介記者とお伝えします。」

小郷
「AIを搭載した兵器の開発が実際に始まっているということなんですが、どこまで進んでいるのでしょうか?」

西井建介記者(政治部)
「専門家によりますと、すでに、各国で開発競争が加速しています。




まず、アメリカでは、AIを搭載したドローンなどの無人機、それに地上歩行型の戦闘用ロボットなどの開発が行われているとみられています。
これに対抗意識を燃やしているのが中国だといわれています。
さらに、ロシア、イスラエル、あるいはイギリス、韓国なども開発に取り組んでいるとみられています。」

新井
「今後、より開発が進んでいきますと、実際には、どのような戦いが予想されるのでしょうか?」

西井記者
「未来の戦場、それがこちらです。
AI兵器に詳しい、東京理科大学の平塚三好教授に、“未来の戦場”について聞きました。

こうした戦いで、まず、最初に展開されるのが『サイバー攻撃』の応酬です。
戦いに使われるのは、AIを搭載したパソコン、あるいは人工衛星などです。
これらが、自ら敵のミサイルの迎撃システムや、戦闘機の通信システムなどといった標的の弱い部分を判別して、コンピューターウイルスや電磁波を使って攻撃していくんです。
敵の攻撃機能の、いわば“頭脳”となる部分を無力化させるわけです。

さらに、次に考えられるのが、無人機どうしが空域で戦闘を行うという戦闘です。
こうした戦闘では、人間の司令官は、遠く離れた安全な場所で全体の指揮を執るだけということになります。」

小郷
「そうしますと、戦闘の危険な現場には、人間の兵士は行かなくなるということですよね?」

西井記者
「そういうことなんですね。

例えば、こちら『偵察用ロボット』と呼ばれるものですけれども、攻撃される恐れのある場所でも情報収集することができるロボットです。

そしてこちら、物資運搬用の『馬型ロボット』と呼ばれるロボットですけれども、戦場で重い武器や弾薬を運ぶことができる、兵士の負担を減らすことができるんです。」

小郷
「こうしたAI兵器、いわば人間の肩代わりができるということですよね。」

西井記者
「そうなんです。
実は日本でも、防衛省がこうした利点を防衛装備に転用できるものがないかということで、研究を始めています。

元防衛大臣で、現在、大臣の政策参与を務めています、森本敏さんは、『今後、人口が減っていき、自衛隊は現在の半分の隊員で、倍のシステムを動かさざるを得なくなる。そうすると、AIを用いた省力化は欠かせない』というふうに話していました。」

新井
「ただ、AI兵器が進化し過ぎて、先ほどの映画のターミネーターのようになりますと、ちょっと怖い気もするんですけれども。」

西井記者
「確かにそうなんです。
実際、今、国際社会でもAI兵器の進化に対する懸念が高まっているんです。
こちらをご覧ください。」

車から放たれた大量のドローンの群れ。
自ら標的の居場所を察知すると、壁を破壊して、建物の内部に侵入します。

そして、逃げ惑う人間を追いかけ、攻撃を繰り返します。
この映像は、AI兵器の開発に反対する団体が作ったもの。
AI兵器が進化し、殺人に至る判断までもを行うようになってしまうと、大量殺りくなど、収集のつかない事態に発展すると、警鐘を鳴らしています。

小郷
「これは、ちょっと恐怖ですね。」

新井
「考えたくないです。」

西井記者
「今のように、AI兵器の進化がさらに進んで、人間の判断を一切挟まないという段階まで達した自律型の兵器、これは『キラーロボット』というふうに呼ばれています。

このキラーロボットに対して、世界では規制を求める動きが始まっています。

国連では、去年(2017年)『キラーロボット』の規制について議論する、初めての公式会合が開かれました。
ただ、この会合では、アメリカやロシアなどが『開発前の予防的な規制は拙速だ』と反対して、議論は平行線となっています。
また、日本の国会でも動きがありました。

先月(4月)、与野党の議員が参加する勉強会が発足しました。
『キラーロボットは倫理的に認められない』という考えのもと、議論を重ねていくことにしていて、参加した議員の中には、『一定の歯止めをかけるために、日本が国際社会の議論をリードしていくべきだ』という声もあります。
AIというと、生活を一変させる便利な技術というイメージがありますけれども、兵器としての開発競争が今後、行き過ぎれば、人間がAIに殺されるという時代が来ないとも限りません。
そういう危険性があることを忘れずに、AIと向き合っていくことが必要だと思います。」

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