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2018年4月11日(水)

外国人への“依存”で 農業が変わる

高瀬
「今、さまざまな産業で外国人への依存が進んでいます。
特に進んでいるのは、人手不足が深刻な農業です。
今日(11日)は、独自に分析したデータから読み解いていきます。」

20代・30代の外国人 茨城県では3人に1人

和久田
「こちらをご覧ください。
農業に従事している外国人の数ですが、1995年にはおよそ2,800人だったのが、毎年増え続け、2015年には2万1,000人と、この20年で7.5倍にもなっています。

さらに、こちら。
重要な働き手である20代・30代の外国人の割合を都道府県別に示したデータです。
香川県ではおよそ19%、長野県では17%、そして、その割合がもっとも高いのが茨城県です。
およそ30%、実に3人に1人が外国人となっているんです。」

高瀬
「こうした中、産地では、日本の食卓にも影響を与えるような事態が起きています。」

外国人が補うはずが メロン農家は半分以下に

リポート:本間祥生(水戸局)

全国一のメロンの産地、茨城県の鉾田市です。
町では、いたる所で外国人の姿が見られます。

記者
「どちらから来ました?」

「中国から。」

「国はインドネシアです。」

「タイです。」

鉾田市は20代・30代の若い世代の、実に5人に1人が外国人。
そのほとんどが、一時的に日本の農家で働く「外国人技能実習生」です。

当初、「実習生」はメロン農家の人手不足を補ってくれるはずでした。
しかし、この20年でメロンの生産量は減り、メロン農家も半分以下になっています。
いったい、なぜなのでしょうか。

毎月給料を払うため 葉物野菜に転換

農家の石﨑芳則さんです。
高齢の両親が農作業をできなくなったため、実習生を雇うようになりました。
今では中国人とベトナム人、あわせて5人が働いています。

農家 石﨑芳則さん
「ここは最初にメロンを作って、それからほうれん草にかわったんですよ。」

石﨑さんは、もともと家族でメロンを栽培していました。
ところが、実習生を雇うようになったことで、メロン栽培から葉物野菜にかえたというのです。
その理由は、「外国人技能実習」の制度にあります。
農家は実習生と年間を通して雇用契約を結び、毎月給料を払わなければならない仕組みです。

ところが、メロン栽培に収入があるのは年2回の収穫期のみ。
そのほかの時期には仕事が少なく、ほとんど収入もありません。
農家にとって、収入がない時期にも実習生に給料を払うのは大きな負担です。

一方、葉物野菜の場合、時期をずらして種をまくことで毎日収穫ができます。
1年を通して収入があるため、毎月、実習生に給料を払いやすいといいます。

農家 石﨑芳則さん
「メロンでは収入が5月から11月か、12月までしか入ってこなくて、あとの半年間は収入がないんです。
なかなか(実習生に払う)お金のほうも大変ですね。」

こうした理由でメロンから葉物野菜への転換が進み、鉾田市の農業は大きく変わってきています。

「実習生がいなければ日本の農家は終わってしまう」

今の農業を維持していくために実習生が欠かせないという石﨑さん。
去年(2017年)、実習生の宿舎を新築しました。
電化製品をそろえるなど、生活環境も良くして、将来的にも実習生を確保し続けたいとしています。

「この家はどうですか?」

中国人実習生
「とても居心地がいいですね。」

中国人実習生
「日本に来て、お金もたくさん稼げて、(中国の)家族も喜んでいます。」

農家 石﨑芳則さん
「今になると実習生がいない生活なんていうのは、ちょっと無理かなと思います。」

「実習生がいなくなったら?」

農家 石﨑芳則さん
「もう農家は終わっちゃうでしょ。」

食卓への影響も広がっている

高瀬
「ここからは、取材した飯田記者とお伝えします。
実習生として来ている外国人頼みの農業になっていて、さらに、それによって作物の転換まで起きているとは、驚きですね。」

飯田暁子記者(ネットワーク報道部)
「これは鉾田市だけでなく、全国的に見ても担い手不足などの影響でメロンの生産量は減っているんです。
さらに、メロンと同じ状況にあるのが、『みかん』です。
みかんも収穫期が限られているため、外国人実習生を雇いにくいといわれていて、出荷量がこの10年ほどでおよそ25%も減少しています。
ほかにも『和牛』や乳製品の原料となる『生乳』なども、同じような状況にあります。」

和久田
「食卓への影響も広がっているんですね。」

「日本の農業が破綻するリスクがある」

飯田記者
「外国人実習生にあわせて栽培する作物を変えたことで収入が増えたという農家も多いので、今後こうした動きはさらに広がっていく可能性もあります。
ただ、こうした外国人頼みの農業について、警鐘を鳴らす専門家もいます。
農業の担い手の問題に詳しい、日本農業経営大学校の堀口健治校長は、『これまでどおり外国人実習生が確保できるとは限らない。すでにほかの国との奪い合いが起きているし、自分の国が発展すれば、わざわざ日本に来なくなる。そうすると、日本の農業が破綻するリスクがある』と話しています。

外国人によって農業が支えられていることで、私たちの食卓が変わりつつあるという現実があります。
この現実を受けとめた上で、日本の農業は今後どうあるべきか、考えていかなければならない時期にあると思います。」

高瀬
「NHKではこちらの特設サイトで、今日お伝えした特集や詳しいデータなどを紹介しています。」

和久田
「外国人への依存が進む中で、日本社会で何が起きているのか、今後もお伝えしていく予定です。」

<関連リンク>
外国人“依存”ニッポン

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