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2018年3月13日(火)

ヨガには危険もある 動き始めた指導者たち

和久田
「今日(13日)のけさクロは『ヨガ』。
私も最近やっていたんですが、今、人気ですよね。」



高瀬
「その『ヨガ』を巡って、『あるトラブル』が、最近急増していることが分かってきました。」

650万人がヨガを楽しんでいる

場所を選ばず、手軽にできる「ヨガ」。
今や、ヨガを楽しむ人は650万人とも言われ、人気が高まっています。

ヨガ教室 受講者
「体ひとつあればできる、どこでも。」

ヨガ教室 受講者
「肩こりがなくなる。
頭がすっきりする。
体の調子がよくなると、心の調子がよくなる。」

ヨガのレッスン中にけが 1年たっても痛み残る

健康維持やリラックスに効果があるとされる「ヨガ」。
その一方で、ヨガの最中にけがをしたという人がいます。

東京都内に住む、鈴木まゆみさんです。
去年(2017年)2月、ヨガのレッスン中にけがをしました。
足を開き、上半身をひねるポーズをとっていたところ、インストラクターに右足の付け根を上から押され、強い痛みを感じたといいます。

ヨガでけがをした 鈴木まゆみさん
「歩くのも痛い。
歩けないし、片足で立てない。
洋服を着替えるのも難しかった。」

骨の内部が傷つく「骨挫傷」と診断された鈴木さん。
インストラクターの責任を問うことはしませんでしたが、1年あまりがたった今も、痛みが残っているといいます。

ヨガでけがをした 鈴木まゆみさん
「(ヨガで)こんな大きなけがをするとはまったく思っていなかった。
危険というか、用心していなかったのは正直なところ。」

けがは ここ数年で急増

ヨガ教室でのけがは、どれぐらい起きているのか。
NHKは、国民生活センターに情報公開請求を行い、体へのトラブルについての相談の数や内容を調べました。
すると、「肩のけん板を損傷した」「指導に基づいて運動中に圧迫骨折した」「ホットヨガでアレルギー症状やじんましんが出た」という相談もありました。

詳しく分析したところ、平成25年度まではゼロ、または1ケタでしたが、ここ数年で急増。
昨年度は40件に上り、前の年度の2倍近くに増えていました。

けがの背景に「不適切な指導」も

なぜトラブルが増えているのか。
取材を進めると、インストラクターの指導方法にも問題がある可能性が見えてきました。

都内でヨガ教室を経営する、中村尚人さん。
体の仕組みなどについて、専門的な知識が必要な理学療法士の国家資格を持っています。
急増するトラブルの原因を探ろうと、去年89人のインストラクターに聞き取り調査を行いました。
その結果、「指導中にけがをさせたことがある」と答えた人の4割近くが、その原因が「自分の不適切な指導」だと回答したのです。
中村さんは、多くのインストラクターが体についての知識を身につけないまま、指導にあたっていることがトラブルの背景にあるのではないかと考えています。

ヨガインストラクター 中村尚人さん
「ヨガは日常的じゃない動きまで持っていく。
『足を首にかける』とか。
危険性もしっかり理解して、そのリスクをわかった上で教えないと(いけない)。」

リスクに向き合い 安全対策を学ぶ講習会を始める

そこで、中村さんは今年(2018年)1月、ヨガを安全に指導する方法を学んでもらう講習会を始めました。
参加したのは、およそ120人のインストラクターです。
理学療法士としての専門知識をもとに、どういう指導がけがにつながるのかを、具体的な動きを挙げて教えます。

ヨガインストラクター 中村尚人さん
「角度がいかない(曲がらない)。
手を使わないとできない。
(インストラクターが)手を使うということは“無理やり”。
ひざに来る。
ひざが壊れる。」

ヨガの決められた「ポーズ」に無理に体を当てはめるのではなく、個人の体の特徴に応じて指導することが大切だと強調しました。

受講したインストラクター
「リスクと危機意識、危機管理。
それをしなければいけないということを自覚した。」

受講したインストラクター
「何も知らずに、何も考えずにがむしゃらにやってもけがにつながるだけ。
それをわかった上で、安全に留意してヨガを(指導)するべき。」

「人気が高まる今だからこそ、リスクにきちんと向き合う」。
それが、ヨガを本当の意味で社会に定着させるために欠かせないと、中村さんは考えています。

ヨガインストラクター 中村尚人さん
「まさに“危機感”。
いいことだけ言うのは、よくない。
インストラクターがよかれと思っていることでも、人を傷つけることには変わらない。
まずは安全対策に対して、こういうことを活動としてやっているということがすごく大事。」

ひとくくりにルールを作るのは難しい実情も

和久田
「取材にあたった岡山放送局の周記者です。
ヨガの最中に骨折まですることがあるなんて、驚きました。」

周英煥記者(NHK岡山)
「知り合いから『ヨガで首や腰を痛めた』という話を聞いて取材を始めたんですが、こうしたトラブルは岡山だけではなく、全国各地で起きていることがわかりました。」

高瀬
「ヨガのインストラクターって、国家資格などは必要ないんでしょうか?」

周記者
「そうですね、特別な資格は必要ありません。」

高瀬
「であれば、ヨガ業界の中で、必要な知識などについて統一的なルールをつくればいいのではないかと思うんですが。」

周記者
「実は、それが難しい理由があるんです。

例えばインターネットで『ヨガ協会』で検索してみると、このように、さまざまな団体がヒットするんです。
なぜかと言いますと、ヨガにはさまざまな『流派』があるからなんです。
『めい想』が中心でゆっくりと体を動かすものもあれば、きついポーズをとる流派もあります。
ひとくちにヨガといっても、やり方はさまざまなので、ひとくくりにルールを作るというのは難しいのが実情なんです。」

和久田
「そうなんですね。
では、私たちが何かできることはあるんでしょうか?」

周記者
「多くのヨガ教室では体験レッスンを行っているので、まずは、自分に合った内容かどうかを見極めることが大切だと思います。」

高瀬
「見極めると言っても簡単ではないですよね。」

周記者
「例えばレッスンの前に、インストラクターに体調などをしっかり伝え、それを踏まえて指導してくれるかどうかも1つのポイントです。
いずれにしても無理のない範囲で楽しむことが大切だと思います。」

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