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2018年2月27日(火)

医療的ケアが必要でも 夢を目指す社会へ

和久田
「けさのクローズアップ。
人工呼吸器や、たんの吸引など医療的ケアが日常的に必要な子どもたち『医療的ケア児』は、全国に1万7,000人以上。
その数は増え続けています。」

高瀬
「今日(27日)は、その子どもたち本人の思いに迫ります。
先月(1月)『医療的ケア児』と家族が思いを届けるコンクールが初めて開かれました。」

「私を学校に行かせて」「よくぞ、わが家に」

コンクールには、「医療的ケア児」とその家族10組が参加し、それぞれの思いを発表しました。

人工呼吸器をつけている、9歳の女の子。
学校に通う体制が整わず、自宅で勉強せざるを得ないといいます。

「お友達と一緒に勉強したり、遊んだりしたいだけです。
頑張って勉強しますから、私を学校に行かせてください。」


こちらの母親は、難病のある2歳の娘への思いを語りました。

「よくぞ、わが家に生まれてきてくれました。
世界でいちばん感謝して、尊敬しています。」

大学進学目指す16歳

“「医療的ケア児」であっても夢を持って生きたい”と訴えた青年がいます。
加藤空(かとう・そら)さん、16歳です。

加藤空さん
「(医療的ケア児が)将来のことを考え、夢を話せるようになることが、僕たちにとって、どんなにすばらしいことか想像してみてください。」

空さんは、都内の特別支援学校に通う、高校1年生です。
24時間、酸素の吸入が欠かせません。
肺の機能が生まれつき弱いためです。

急に体調が悪くなる時もありますが、ソファに横になりながら勉強を続けます。
将来の夢は、研究者になること。
そのために大学への進学を目指しています。

加藤空さん
「勉強は好きですね。
理科とか数学への興味を持って、きわめられたらいい。」

周囲の支えで小中学校を過ごす

わずか1,200グラムの小さな体で生まれた空さん。
肺や腸などに病気が見つかり、「医療的ケア」が必要になりました。

小学校6年生の空さんです。
小中学校では、学校や友人など、周囲に支えられて普通学級に通うことができました。

「なにこれ?」

加藤空さん(当時小学6年生)
「これね、ルーターといって、点滴が通ってるの。」

「ここらへんに来てんの?」

加藤空さん(当時小学6年生)
「ここに来てんの。
針、刺してんの。」

コンクールでは、当時、支えてくれた人たちへの思いも伝えました。

加藤空さん
「(周囲が)僕が学校に通うために、理解と多くの工夫をしてくれました。
おかげで、友だちとたくさんの時間を過ごすことができました。」

高校受験で直面した壁

ところが、高校受験の時、「医療的ケア児」であることが大きな壁になります。
空さんは研究者を目指し、数学や化学などを専門的に学べる高校を希望。
成績も合格圏内に入っていました。
しかし、行きたかった高校はどこも「医療的ケア児を受け入れる体制をとるのが難しい」という、消極的な対応でした。
次第に、“自分は社会に受け入れてもらえない存在”だと感じるようになっていった空さん。
行きたい学校への進学を断念しました。

加藤空さん
「もう自分では、どうすることもできないので、しょうがないのかな。
なんていうか、悔しい気持ち。」

仲間のおかげで前向きな気持ちに

夢を諦めかけていた空さん。
支えてくれたのは、中学校の同級生たちです。
いつも、ありのままの自分を受け入れてくれる仲間たち。
将来についても気兼ねなく、語り合います。

「もう夢が決まっているって言ってたから。」

「カーデザイナー。」

加藤空さん
「車?
じゃあ、車買うわ。」

仲間たちのおかげで、空さんは前向きな気持ちを取り戻していきました。

加藤空さん
「もともと生物とか、そういう研究者になりたかったから。」

「空は昔からずっと。」

加藤空さん
「夢はいっぱいあればあるほどいいな。」

加藤空さん
「いまの夢は、自分の病気を、医学とか生命医学とかで解き明かすこと。
大学に行ってやりたいことをやりたい。」

研究者になるという夢を追い続ける空さん。
「医療的ケア児」であるというだけで、“将来の可能性を閉ざさないでほしい”と訴えました。

加藤空さん
「医療的ケアがあることによって、いろいろな希望が失われるのは悲しいことです。
だから医療的ケアがあっても選択肢がほしいです。
そういった機会が、僕にも皆さんにも増えることを願います。」

医療的ケア児の願いや夢をかなえられる社会に

高瀬
「医療的ケア児については、この番組でも何度かお伝えしていますが、助かる命が増えていること、それ自体がまず、すばらしい。
であれば、その子たちが大きくなっていって、その願いや希望、夢をかなえられる社会になっていけるか、そんな優しい社会になれるかということを問われているような気がしますね。」

和久田
「そして、今まさに夢を目指している空さんは、医療的ケア児の未来を切り開いている存在ですし、子どもたちやその家族にとって希望ですよね。
現在、空さんは高校1年生ですが、すでに大学進学に向けた準備を始めています。
『医療的ケア児』が受験をしたり、授業を受けたりするにあたって、どういったことが必要になるのか、大学側と話を始めているそうです。」

高瀬
「空くんの真っ直ぐな瞳が印象的でした。
ぜひ、研究者になってほしいですね。」

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