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2018年1月22日(月)

「AI=人工知能」で雇用減? 私たちはどうなる

三條
「『春闘』で大きなテーマとなりそうな『働き方改革』。
仕事を効率的なものにするために、今、企業が次々と活用に乗り出しているものがあります。」

企業で活用進む「AI=人工知能」

「参りました。」

それは、去年(2017年)将棋で現役の名人を破り、想像を超えた進化を知らしめました。
「AI=人工知能」です。

障害物や周囲の車の動きを認識し、自動で走行する車。

「お名前は?」




「私の名前はアイです。」

目の前の相手を認識し、コミュニケーションするロボット。




ちょっと1杯のお相手も…。
AIを活用し、次々と「人間の代わりをする技術」が生まれているんです。

三條
「けさのクローズアップ、赤松アナウンサーとお伝えします。」

赤松
「そもそもAI=人工知能とは何か。
専門家によると、定義は明確なものはないのですが、大きくは、『コンピューターを使って作られた、人間のような、知能』のことを言うそうなんです。
仕事の効率化を目指す企業で活用が進んでいて、金融や製造業などを中心に、これまで人間が行ってきた仕事をAIが行い始めています。
その現場を取材してきました。」

『保険の支払いを査定』

まず訪ねたのは、大手生命保険会社。

案内してもらったのは、保険の支払いの査定を行う部署です。
医師が書いた診断書を読み込み、給付金の支払いの可否や、その額を審査しています。

「ここは、静脈認証で。」





オフィスから離れ、厳重に管理されたフロア。
ここに去年導入したAIが搭載されたコンピューターがあります。
アメリカのIBMが開発したAI。
複雑な文章や、難解な単語を瞬時に読み込む高い能力を備えています。
この会社では、過去の診断書データ5年分、およそ40万件を読み込ませ、学習させました。
そして今、人間に代わって診断書など、給付金の申請データを分析し、査定する業務を行っています。
その結果、部署で行う業務のうちの3割をAIが担うまでになっています。

和久田
「空席がありますね。」

赤松
「人手不足をAIで補っているんです。」

富国生命 八田高保険金部長
「コンピューターが優秀な『人間』として働いている。
単調な作業、単調な判断業務が、徐々にAIに置きかわっていく。」

『廃材から素材を振り分け』

さらに、今や中小企業の現場でも、AIの活用が広がっています。

埼玉県にあるこの企業は、産業廃棄物の中間処理を行っています。

赤松
「これは、まさにAIによる選別作業。」




去年2月から本格運用しているのが、AIとつながった自動選別ロボット。
フィンランドの企業が開発したものです。
ロボットがカメラとセンサーで、廃材の形・大きさ・色などの情報を読み込みます。
肝となるのは、ロボットとつながったAI。

読み込んだ廃材を、木材・コンクリート・プラスチックなどに分類します。
そしてアームが自動で動き、廃材が振り分けられていきます。
この作業、これまでは、かなりの人手をかけて行ってきました。
1つ1つ、同じものがのない廃材の中から、素材を瞬時に認識して振り分けなければならず、機械化は不可能とみられていたんです。
会社では、3か月にわたり、さまざまな素材の廃材をベルトコンベアに流して観察させ、AI自らがそれぞれの素材の特徴をつかめるよう学習させました。
こちらは、導入当初のロボットの様子です。
まだうまく素材の大きさや形などの特徴を認識できず、ミスを繰り返しました。
学習の結果、認識や分析の精度はみるみる上昇、ミスは大幅に少なくなりました。

シタラ興産 技術部リーダー 松﨑大地さん
「トレーニングを繰り返して、どんどん成長していく。
産業廃棄物は、流れている種類が一つとして同じものはない。
(従来の機械ではなく)AIじゃないとできない。」



人手不足が深刻になる中、AIの導入により、当初18人必要と考えていた作業員の数は、2人に減らすことができました。

シタラ興産 設楽竜也社長
「人と機械とAIが融合して、ひとつのものをやり遂げられるのか。
AI導入は、これからの世の中、必須。」

コンピューター能力・データ・画像認識 ニーズも大きい

和久田
「スタジオには、AI=人工知能研究者の東京大学大学院の特任准教授、松尾豊さんにお越しいただきました。」

三條
「松尾さん、AIについてはニュースでもお伝えすることが多くなってきたと思っているのですが、なぜ急激にこうした活用が広がってきたんでしょうか?」

東京大学大学院 特任准教授 松尾豊さん
「1990年代からコンピューターの能力がどんどん上がってきて、同時に企業の中、あるいはインターネット上でのデータが増えてきたということが背景にあります。
同時に、2012年に『ディープラーニング』と呼ばれる、特に画像認識で非常に力を発揮する、こういう技術が出てきたと。
日本の中では、少子高齢化、人手不足ということでニーズも大きいですから、ここ数年、急激に人工知能という技術が注目されていると。」

和久田
「技術の進歩と需要がマッチしたということなんですね。」

東京大学大学院 特任准教授 松尾豊さん
「そうですね。」

『試合データ解析 音声を自動生成する実況』

赤松
「実際に私たちの仕事がどうなるか。
こんなデータもあります。
三菱総合研究所によると、『AI技術の発達によって、2030年までに国内の雇用が240万人減る』と試算されているんです。
そして、私たちアナウンサーの仕事でもAIの活用が始まっています。」

ロボット実況
「第1ピリオドがスタートしました。」

これは、NHKの放送技術研究所が開発したAIを活用した『ロボット実況』の様子です。

ロボット実況
「アメリカ、カーペンター選手のシュート。
ゴール。」

「いつ」「誰が得点したのか」など、配信される試合のデータを瞬時に解析して、音声を自動生成。
AIを活用して実況しています。
来月(2月)のピョンチャンオリンピックで、こうした実況による動画がインターネット上で配信される予定です。

AIと連携しながら仕事をしていく時代へ

和久田
「AIなら読み間違えることもないですよね。
松尾さん、ちょっと心配になってきました。
AIの普及で仕事はなくなってしまうんでしょうか?」

東京大学大学院 特任准教授 松尾豊さん
「もちろん、今のAIですと、人の気持ちをうまくくみ取って読むとか、そういったことはできませんから、そこは人の重要な仕事だというふうに思います。」

三條
「今のAIですとということですね。」

東京大学大学院 特任准教授 松尾豊さん
「そうなんですけれども、そういう心配は、例えて言うと、自動車というのができて、これから自動車産業が広がってくるぞという時に、人には歩くすばらしさがあるっていうのを一生懸命言っているような気がするんですね。
やっぱり自動車というのが、一大産業になるということを受け止めて、その中でグローバルな闘いに勝っていかないといけないと。
もちろん人の良さはあるわけですけれども、AIをいかに活用していくかということも同時に非常に重要ではないかというふうに思います。」

和久田
「車ができても、歩くことはやめていないですものね。」

東京大学大学院 特任准教授 松尾豊さん
「そうなんです。」

和久田
「そういう感覚なんですね。」

三條
「人の感情を読み取ってどう対応するかですとか、どう対応していくのか、AIとどう向き合っていくのかというのが、これから大事になってくるのかと思いますけれども、なかなかAIが発展した世の中というのが、想像が追いつかないんですけれども、人間、我々としては、どう向き合って準備していったらいいんでしょうか?」

東京大学大学院 特任准教授 松尾豊さん
「先ほどの廃材をうまく選別するようなロボットは非常にいい例だったと思いますけれども、ああいった活用が進み、人がやっていた仕事が楽になる一方で、それをサポートする人も必要なわけですよね。
この『人』と『機械』『ロボット』『AI』というのが、うまく連携しながら仕事をしていくというふうになっていくんじゃないかと思います。
先ほど、VTRの中にありましたけれども、米国の技術、あるいはフィンランドの技術が紹介されていましたけれども、同時に日本企業にも頑張ってほしいなという思いもあります。」

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