これまでの放送

2018年1月15日(月)

いま「中学受験」に関心が高まる理由

高瀬
「けさのクローズアップ。
中澤アナウンサーとお伝えします。」



中澤
「昨日(14日)、一昨日(13日)、大学入試センター試験も行われ、本格的な受験シーズンが到来しました。
そんな中、特に最近、受験者数が増えるなど関心が高まっているのが、私立や公立の中高一貫校の入試に挑む『中学受験』なんです。
こちら、見てください。

一見、受験には関係なさそうな、青年コミック誌。
先月(1月)からは『中学受験』をテーマにした漫画の連載が始まって、人気になっています。

こんな感じのマンガなんですが、こちらは、中学受験をする男の子が、過去の問題を手に塾講師に質問するシーン。
『中学受験』の様子がリアルに描かれていると、大きな反響を集めています。」

和久田
「こういう塾に通う小学生の姿、駅などで時々見かけますよね。」

中澤
「中学受験への関心の高まりの背景には、日本の入試の大きな変化があります。」

小学6年生の5人に1人が中学受験

今年(2018年)の中学入試は、首都圏では先週から本格的に始まっています。

こちら、埼玉県にある私立の学校で行われた試験には、6,462人が出願しました。
2月上旬まで試験シーズンが続きますが、首都圏では、今年小学6年生の5人に1人、およそ6万人が中学受験をするとみられています。
受験者の数は一時、不況の影響で減りましたが、ここ3年は増え続けています。

理由は2020年度の大学入試変更

その大きな理由と考えられているのが、2020年度に大学の入試が大きく変わることなんです。
これまでの知識重視の形から「思考力」「判断力」「表現力」などを評価する方針に変わります。
センター試験は、新たな「大学入学共通テスト」に変わり、記述式の問題が導入されます。
この2020年度の変更にいち早く対応しているのが、中学入試を行う中高一貫校なんです。

「思考力」や「表現力」などを養う独自のカリキュラムを導入して、新たな大学入試に備えようとしているのです。
実際、わが子に中学受験をさせようという親御さんたちはどう思っているのか。
都内にある大手の進学塾で聞いてみました。

保護者
「(大学入学)共通テストに対応できる力を学べる授業をするような学校を選びたい。」




保護者
「(私立などは)自由な発想で、今後の大学入試を見据え教えてくれると、期待している。」

塾では、来年(2019年)以降も中学受験者数は増えていくと見ています。

栄光ゼミナール 入試サポート部 山中亨課長
「私立のほうがフットワーク軽く、先進的な指導方法を取り入れている場合が多い。
環境を用意してくれる学校に対して、(保護者は)大きな期待を持っている。」


先ほどご紹介した「中学受験」をテーマにした漫画も、この入試の大きな変化を見据えて連載が始まりました。

作者の高瀬志帆さんです。
塾や学校、保護者へも取材を重ね、よりリアルな実態を描きたいと心がけています。
主な読者層である「子を持つ親世代」から反響が大きくなっているそうです。

『二月の勝者』作者 高瀬志帆さん
「世の中の皆さんも興味があるのではと思って、よし、はやく描くぞと。
現在(受験が)進行している方からは、『とてもヒリヒリする』『冷や汗をかきながら読んでいる』という言葉をいただく。」

暗記型だけでは対応できなくなる

中澤
「この2020年度の大学入試の改革、ちょうど今の中学3年生が大学を受験するときから大きく変わることになります。
改革に際して、文部科学省が『身につけるべき力』としているのが、『学力の3要素』と呼ばれるものなんです。
それが、こちら。

十分な知識・技能。
思考力、判断力、表現力など。
主体性を持って、多様な人々と協同して学ぶ態度。」

高瀬
「知識を覚えるだけではダメだということですか。」

中澤
「そうなんです。
これまでの暗記型のような勉強だけでは対応できないのではないかと、戸惑いの声も聞かれています。」

和久田
「どんなテストになりそうなんですか?」

中澤
「まだ具体的な部分は決まっていませんが、『大学入学共通テスト』では、マークシートに加え、記述も課される予定です。
そこで、こうした新たなテストの考え方を取り入れた試験が、いち早く『中学入試』で行われていて、受験熱の高まりの一因にもなっているんです。」

「思考力」と「表現力」を試験で見極める

都内にある、こちらの私立中学校もそうした新しい試験を行っています。
一昨日、その試験を体験する説明会が開かれました。
学校側が見極めようとしているのが、論理的に考えていく「思考力」と「表現力」です。

「丸太から正方形を作るには、どうすればいいか。」

試験の問題は、与えられたヒントを使って、丸太から切り出せる最も大きな角材を求めるというもの。
ただ、答えを出して終わりではありません。
考える中で、気付いたことを文章にまとめます。
これまでのような計算力や知識だけではなく、自分の考えを言葉で表現する力もはかっているんです。

聖学院中学校 清水広幸副校長
「最終的に自分の頭で考え、言葉に置き直し、記述し、答えを出していく力は必ず求められる。
大学入試でも、その力が問われるのは、もう明らかなこと。」

独自の「発想力」や「表現力」を見たい

一方、こちらの学校。
今年から始める新たな入試で見たいとしているのが、独自の「発想力」やプレゼンなどの「表現力」です。

「パスタでアートタワーを作ろう。」

入試の体験会で示されたのは、パスタや折り紙、テープなどで、グループごとにタワーを作るという課題です。

このグループは、紙を巻いて立てようとしますが、うまくいきません。





そこでパスタを半分に切って、積み上げていくことにしました。
最後は、どう考えて作ったのか、みんなの前で発表します。




「キャンプファイヤーをモチーフにした。
土台をちゃんとしないといけないので、積み立てた。」





こうした新たな形で選抜した子どもたちを、今後の大学入試に対応できるよう育てていきたいと学校側は考えています。

宝仙学園中学校 理数インター 米澤貴史教務部長
「原石を見つけて、学校の中で磨いてあげるので、もう学校の中で磨いてあげるので、そういう子をまずとりたい。」

「思考力」入試 中学校のおよそ4割で実施

中澤
「大手進学塾によると、こうした『思考力』などを見るという入試を実施する中学校は全体のおよそ4割に上り、増えているということなんです。
去年(2017年)は、多くの大学への合格実績のある、いわゆる進学校の入試でも、こんな問題が出て、関係者を驚かせました。」

“今まで算数を学んできた中で、実生活において算数の考え方が活かされて、感動したり、面白いと感じた出来事について簡潔に説明しなさい。”

中澤
「お2人は答えられますか?」

和久田
「算数の問題に文章に答えるということですよね。
『駅伝のレースを見ているときに、このぐらいのペースで何秒追い上げているとしたら、何秒後に追いつくかなとか、そういう計算をしながら見ると面白い』とか。」

中澤
「いいかもしれないですね。」

高瀬
「『1足す1は2である。それは確かに正解だけれども、それだけではないことに気づいたということに感動した』。」

和久田
「算数を超えていますね。」

中澤
「取材した進学塾によれば、社会の大きな流れとして、思考力などが求められていく中で、今後、高校入試や大学入試でも、こうした問題にシフトしていく可能性があるということです。
日本の入試、大きく変わっていきそうです。」

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