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2018年1月11日(木)

三重県で「樹氷」!その日を予測せよ

高瀬
「シリーズでお伝えしている『冬点描』です。」

和久田
「今日(11日)の主役はこちら、『樹氷』です。」
実はこの樹氷、三重県の山で撮影されたものなんです。」

高瀬
「三重県というと太平洋側で暖かいイメージがありますが、こんな見事な樹氷が見られるとは驚きですね。」

和久田
「しかし、ここで樹氷が現れるのはさまざまな気象条件がそろったときだけ。
そこで、この冬、樹氷がいつ発生するのか予報を始めた人がいるんです。」

なかなか見られない 御在所岳の樹氷

取材・撮影:西名健太(名古屋局)

三重県北西部にある御在所岳です。
頂上までは、ロープウェーで15分ほど。
標高1,212メートルの頂上付近では、木々が真っ白に染まっています。

厳しい冬山が造り出す自然の造形、「樹氷」です。
美しい風景を目当てに、多くの人が訪れます。

しかし、樹氷ができるのは、年によっては、ほんの数日だけ。
しかも、気温が上がるとすぐに溶けてしまい、見られずに帰る人も少なくありません。

「せっかくなので見たかったです。」

「インターネットで調べて楽しみに来たんですけど、残念ですね、今日は。」

樹氷の「予報」を始めた気象予報士

樹氷はいつ見られるのか。
独自の予報を始めた人が、ふもとの温泉街にいます。

関谷不二夫さん、65歳。
老舗旅館の従業員です。
「樹氷予報」は、この冬から旅館の掲示板に貼り出しています。
可能性が高い順に「A」「B」「C」の3段階で示します。

関谷不二夫さん
「信頼できるつもりでやっていますけど、予報は予報。
ちょっとでも、お客さんに樹氷の景色を楽しむチャンスを与えたい。」

「あの上、回っているの。
風速計。」

実は関谷さん、自宅に風速計や百葉箱まで設置する、“気象マニア”。
独学で気象予報士の資格もとりました。

御在所岳に樹氷ができる「気温・風向・風速」

その関谷さんをひきつけてきたのが、御在所岳に気まぐれに現れる樹氷。
この山に樹氷ができるのは、日本海からの季節風が関係しています。
御在所岳が位置するのは、日本海からわずか80キロの場所。
間に高い山がないため、水分を多く含んだ冷たい季節風が直接山に吹き付けます。

この風が木にぶつかって、水分が氷の結晶に変わり、樹氷になるのです。
現れるのは気温や湿度、風向きなどの気象条件がそろった時だけ。
その日を事前に予想することはできないか?
関谷さんは、およそ20年分の気象データを独自に分析。
樹氷が発生するのは、氷点下3度以下の気温に加え、北西から風速10メートル以上の風が吹いている時だと突き止めました。

関谷不二夫さん
「最初は諦めていたけど、そのうちはまってしまった。
興味のある部分に絞ってやれば、経験を積めば分かってくる。
精度を上げるようにしたい。」

樹氷のできる条件はそろうのか?

先月(12月)下旬。
関谷さんは御在所岳に向かいました。
観光客が増える年末年始を間近に控え、樹氷が見られるのかどうか心配していたからです。
例年であれば、樹氷が発生している時期ですが…。
ここ数日、暖かい日が続き、樹氷は全くありません。

このとき、関谷さんが空に何かを見つけました。
うすい筋状の雲、「巻雲(けんうん)」です。

関谷不二夫さん
「ぼやっとした雲は、天気が下り坂になる印。
徐々に明日になって下り坂になる。」

樹氷をもたらす、日本海からの季節風が吹く兆しです。

ついに樹氷予報「A」を発表!

そして、いよいよ年末休みが始まる前日。
直前までデータの検討を続けた関谷さん。
出した翌日の予報は…。

樹氷を見られる可能性が最も高い「A」!
お客さんも関心を持ったようです。

「見たことありますか?樹氷。」


「ないです。」

「すごくいいですよ。
来るたびに見られないって言っている人が多いので、見られれば、すごくラッキーです。」


「そうですね。」

予報的中!現れた神秘の造形

予報は当たっているのか。
翌朝、関谷さんはみずから登って確かめることにしました。

関谷不二夫さん
「プレッシャーがあるような感じですね。」

旅館で予報を見ていた観光客も一緒です。

関谷不二夫さん
「どこを見ても白しかありません。」

予報は的中!
大きく発達した見事な樹氷です。

関谷不二夫さん
「お客さんたちみたいに初めて来て、すばらしいという人もいるし、今日はラッキーです。」

関谷不二夫さん
「樹氷ができるかなという気象条件の時は、ワクワクしますね。
全然なかったのに一晩で真っ白になったり、無くなったりするので、それはそれで美しさがありますね。
こんな魅力が御在所岳にあるんだと発見するなり、いい思い出の一つとして残していただけたらいいなと思う。」

気まぐれに現れる神秘の造形。
樹氷予報が会わせてくれた、冬の輝きです。

和久田
「関谷さんが予報を的中させた年末の樹氷は、たった一日で消えてしまったそうです。」

高瀬
「それほど見るのが難しい、貴重な樹氷なんですね。」

和久田
「2月下旬頃まで毎日、関谷さんは予報を続けるそうです。」

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