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2017年11月9日(木)

トランプ大統領と面会 拉致被害者の家族に聞く

高瀬
「アジア各国で注目されるトランプ大統領。
その大統領の来日中、特別に面会を果たしたのが拉致被害者の家族たちです。
今日(9日)はスタジオ生出演で直接伺っていきます。」

今週月曜日、トランプ大統領と面会した拉致被害者の家族たち。
高齢化が進む家族会を支えるのは、若い世代の2人です。

母・早紀江さんとともに活動を続けてきた、横田拓也さん・49歳。
13歳で拉致された姉・横田めぐみさんの1日も早い帰国を訴えてきました。

そして、飯塚耕一郎さん・40歳。
母の田口八重子さんが拉致されたのは、飯塚耕一郎さんが1歳の時でした。
ここ数年、2人はアメリカやEUを何度も訪ね、拉致問題の解決を世界に訴えてきました。

田口八重子さんの長男 飯塚耕一郎さん
「拉致問題は、もはやこれ以上、時間をかけていい問題ではない。」

横田めぐみさんの弟 横田拓也さん
「(拉致被害者が)一日も早く故郷の地を踏み、家族が抱き合えるよう力をお貸しください。」

トランプ大統領との面会で何を訴えたのか。
問題解決の糸口は見えたのか。
2人にスタジオで直接伺います。

トランプ大統領に何を訴えたのか

高瀬
「横田めぐみさんの弟・横田拓也さん。
そして、田口八重子さんの長男・飯塚耕一郎さんです。」

和久田
「今回のトランプ大統領との面会は30分間でした。
これがその時の写真です。

トランプ大統領と向き合う形で、手前から横田拓也さん、横田早紀江さん、飯塚繁雄さん、飯塚耕一郎さん、さらに曽我ひとみさんもいらっしゃいます。
後ろには他の家族会の皆さんが並んでいらっしゃいます。」

高瀬
「この面会はどのようにして始まったのでしょうか。
そして、トランプ大統領の第1印象から聞かせていただけますか?」

飯塚耕一郎さん
「最初に安倍総理から各家族をご紹介いただいて、トランプさんは1人1人と目を合わせながら握手をしてくださいました。
トランプさんの印象としては、やはり過激な発言が多い方なんですが、われわれの話を本当に真摯(しんし)に、まじめに聞いていただいて、印象深い思いがありました。」

高瀬
「最初に発言したのはお母さんの早紀江さんだったそうですが、どんな話をされたのでしょうか?」

横田拓也さん
「全体で4人しかお話しする機会がなかったということもあり、その先頭を母が務めたということです。
通訳を含めて2分だったのですが、当日、母ののどの調子が悪くて、あまり長い時間お話しすることができなかったんです。
ただその時に、大変厳しい外交日程の中でわざわざ家族のために30分時間をいただいたこと、そして国連総会の演説の中で私の姉について取り上げていただいたことについて、大統領に直接お礼を申し上げた形になります。」

引き裂かれた家族の写真

高瀬
「今回の面会では、それぞれの皆さんが拉致被害者の方の写真を持って臨んだということですが…。

早紀江さん、めぐみさん、弟のお2人。
拓也さんは、めぐみさんの隣ですね。
とても楽しそうに歩いている様子ですが、今回こうした写真を家族の皆さんがそれぞれ持って行ったのは、どういう意図があったのでしょうか?」

横田拓也さん
「限られた時間で、長く時間を割いて話ができないということがありましたので、ビジュアルで、短時間でリアリティーを伝えるのが大事だということと、われわれは40年間、苦しい時間の中にいるという現実と、当時皆さんの家族が幸せだった頃との対比を分かりやすく説明するには、写真を持って説明するのがいいだろうということで持参しました。」

高瀬
「写真を見たトランプ大統領の反応はいかがでしたか?」

横田拓也さん
「大統領に『これが姉です』とジェスチャーでお話したのですが、正面にいらっしゃった大統領が直接右手を差し出してくださって、この写真を手に取って、すぐ返されるのかなと思ったんですが、ずっと手元に置いて眺めて、メラニア夫人の方にも目を配りながら、直接言葉は聞こえなかったんですが、『これはひどいな』というようなことを口にしていた様子でした。」

和久田
「そして、飯塚さんのお持ちになった写真がこちらですね。
どうしてこの写真を選ばれたのでしょうか?」

1歳の時に生き別れた母

飯塚耕一郎さん
「私と姉と八重子さんの3人で写っている唯一の写真を引きのばしたものなんですが、唯一、われわれをほほえましく見ている母親の面影がとても印象深く写っている写真でしたので、父とおじと3人でこちらを選びました。」

和久田
「当時22歳の時のお写真ということですね。
飯塚さんは、当時1歳の時に母親と生き別れた息子さんだと紹介されたということですが、大統領の反応はいかがでしたか?」

飯塚耕一郎さん
「いちばん最初に、代表の飯塚繁雄から、息子が1歳の時に生き別れて、今は40歳になっているんだと紹介されたんですが、大統領はそれを聞いて、ちょっとびっくりしたような表情を浮かべ、メラニア夫人と『ありえない』というような表情で顔をつきあわせて、われわれの話を聞いていただきました。」

和久田
「今回、全体の面会を通して、大統領からの反応、手応えはどんなところにあったでしょうか?」

飯塚耕一郎さん
「われわれ家族からは、まず横田早紀江さん、飯塚代表、曽我ひとみさん、有本明弘さんの4人から話を聞いていただいたんですが、各家族の話を真摯に聞いていただき、『こんなひどい話はありえない』という感想をいただきました。
また、安倍総理と協力して、この問題にできる限り協力していくというお言葉をいただきました。」

めぐみさん拉致事件からまもなく40年

高瀬
「今回の面会が実現したのは、横田拓也さんが9月に訪米して政府関係者と直接会ったことがきっかけの1つだとされています。
めぐみさんの拉致事件が起きてから、まもなく40年。
横田さん一家は当初から活動の先頭に立ってきました。」
当時のこんな映像も残っています。

和久田
「昭和53年、めぐみさんが姿を消した数か月後の、横田さんのご家族の映像です。
当初は何の手がかりもなかったそうですね。」

横田拓也さん
「今日の夜いなくなって明日になっても帰ってこない、1週間たっても姉がいないという、それが本当になぜか分からなくて、拉致という言葉もその当時まだ認識がなかったので、もがき苦しんだ毎日の連続でした。」

和久田
「その後、次第に北朝鮮による拉致の疑いが明らかになり、帰国を実現するよう政府に訴えましたが、事態は動きませんでした。」

横田早紀江
「いつまで悲しい思いをしなければならないのですか。」

事態が動いたのは拉致から20年以上

高瀬
「この当時のご家族としては、どんな思いだったんですか?」

横田拓也さん
「われわれは本当に、必死に自分たちの家族を助けてほしいと日本政府に頼んではいるものの、何も動かない、こちらを向いてくれないという、本当に悲しみと怒りが全面に立つような毎日でした。」

和久田
「そしてようやく事態が動いたのは、拉致から20年以上がたってからでした。」

平成14年に行われた日朝首脳会談。
北朝鮮が初めて拉致の存在を認め、5人の帰国が実現しました。
しかし、めぐみさんをはじめ12人について、北朝鮮は死亡や入国が確認できないと説明。

横田滋さん
「この“死亡”を信じることはできません。」

娘の生存を信じて、その後も活動を続けた横田さん夫妻。
しかし、進展がないまま15年が過ぎました。
横田早紀江さんは81歳、滋さんは84歳になりました。

高瀬
「今回の面会では、これまで被害者家族の先頭に立ってきたお父さんの滋さんは、体調がおもわしくないということで不参加だったということですね。」

横田拓也さん
「最近少し、歩くことや言葉を発することが不自由になっているもので、周りの方にご迷惑をかけてしまうということもありますし、これは実は父だけではなくて、各家族の高齢の親世代の方がやはり体調を崩されて出られないとか、残念ながら他界されているようなケースもあるので、本当に時間との戦いというのは毎日見せつけられているという感じです。」

北朝鮮情勢 緊張高まる中で

高瀬
「今、核兵器やミサイルの開発を押し進める北朝鮮に対しては強硬に対応すべき、圧力をかけるべきだという声が強まっています。
トランプ大統領は『北朝鮮を完全に壊滅させるしか選択肢はない』などと、武力攻撃も辞さない姿勢を示しています。
また、安倍総理大臣も『今は対話の時ではなく、最大限の圧力をかける時だ』と今回の記者会見で発言しています。
核問題で強硬な姿勢を崩さないトランプ大統領ですが、今回の首脳会談後、こんな気になる発言もありました。」

アメリカ トランプ大統領
「キム・ジョンウン委員長がもし拉致被害者を返してくれるなら、それは大変大きなシグナルになる。
多くの特別なことの始まりになるだろう。」

高瀬
「この発言、トランプ大統領がいわば拉致問題を対話の条件に加えたともとれるのですが、どう受け止めましたか?」

飯塚耕一郎さん
「北朝鮮とは、やはり核とミサイルという問題がありますが、それとは別に、拉致問題を進めるということに関しては、ある意味、容認していただいたと捉えていいのではと考えております。
今年の5月に欧州議会に行った時も、同様の議論がされたのですが、その際も話を聞いていただいた欧州議会の方々からは、拉致問題に関しては北朝鮮と日本が1対1で話してもいいのではないかという発言をいただきました。
核やミサイルという重要な問題があるにもかかわらず、命の問題という何にも代えがたいものだということに関して理解をいただいたのではと考えております。」

解決はただ「家族の帰国」のみ

高瀬
「一方、家族会はこれまでにも平成18年にブッシュ大統領と面会、平成26年にはオバマ大統領とも面会しましたが、成果にはつながりませんでした。
そうした中で、今回のトランプ大統領との面会を具体的な進展につなげるためには、日本政府にはどのようなことを求めたいですか?」

横田拓也さん
「拉致問題解決の当事者が誰か、それは日本政府であるということ自体を、政府が改めて認識してもらうことがいちばん大事だと思っているのと、今回のトランプ大統領との面会は政治的にとても大きなメッセージを発信することができると思いますが、それをイベントだけに終わらせてはだめで、やはり日本政府が水面下の交渉を含めて具体的な歩みをしてほしい。
それだけですね。」

高瀬
「安倍総理は圧力を最大限高めていくという姿勢で、解決に結びつけるには同時に出口戦略というところも考えていかなければならないと思いますが、それについてはどうお考えですか?」

飯塚耕一郎さん
「まず解決の定義ですが、これに関しては『われわれの家族が日本に帰国する』ということになります。
それ以外、われわれ家族は望んでいませんし、報告書を受け取るなどは論外だと思います。
その上でポイントは2点あると思っていて、1点目はキム・ジョンウン氏が拉致被害者を返すことによって、ある意味、一定のメリット・享受を受けられることを理解していただく。
キム・ジョンウン氏しかこの問題を解決するという判断ができる人は北朝鮮にはいないからです。」

関心を持ち続けてほしい

飯塚耕一郎さん
「もう1点は、日本が主体的に解決のための道を模索することが重要になると思います。
安倍総理は常々、この問題が最優先・最重要であると言っています。
ですが、核・ミサイル問題もあるけれども、拉致問題をやはり進めていくんだということをもっと国外に発信していくことが重要だと思います。
今回、トランプ大統領の訪日によってご協力いただくという姿勢を受けましたけれども、やはり日本の問題に関しては日本政府が主体的に進めるべきだと思います。」

和久田
「今月(11月)15日にはめぐみさんが拉致されて40年になりますが、今後も多くの人に関心を持ち続けてもらうことも大事ですよね。」

横田拓也さん
「国民の皆さんの関心が高いこと、それが日本政府に伝わって、政府が外交交渉をするというベクトルが大事だと思います。
その上で、日本の国民の皆さんには、改めて40年間という長い時間の現実というものを肌で感じていただきたいのと、やはりみんな一緒という認識で、めぐみとうちの両親が日本の地で再会できること、他の被害者の方々もそうですが、そのことを自分のこととして祈ってほしい、願ってほしいと思っています。」