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2017年10月20日(金)

マイクロ・インフルエンサーに企業が注目する理由

東京・原宿にある、ファッションブランドの、このお店。
若い女性に大人気です。




その理由は、店の奥に置かれた、このブース。
自由に写真を撮ることができるんです。

「インスタにアップします。」

「“インスタ映え”してますね。」

こちらのカフェでも。
料理が運ばれると、まず写真撮影。

「“インスタ映え”しそう。」

写真や動画を共有するサービス「インスタグラム」。
若い人を中心に、買い物や食事、趣味など、大きな影響を与えています。

和久田
「この『インスタグラム』、若い人を中心に、1,600万人が利用しています。」

高瀬
「私、全然分からないんですけれども…。」

和久田
「『“インスタ映え”する写真』なんて言葉もありましたけど、そうしたおしゃれな写真などのの投稿で人気のある人の中には、いつもその投稿を見てくれる『フォロワー』という人を数万人抱えている人もいるんです。
そうした人たちは『マイクロ・インフルエンサー』と呼ばれているんです。
一般の人でありながら『影響力がある人』という意味です。」

高瀬
「このマイクロ・インフルエンサーと呼ばれる人たちが持つ影響力を活用しようという動きが始まっているそうなんですが、そこには課題も見えてきています。
その最前線に迫ります。」

子育て絵日記 フォロワー5万2,000人

リポート:倉富春奈ディレクター(おはよう日本)

日本だけで数千人いるとされる、マイクロ・インフルエンサー。
ファッションや趣味、ライフスタイルなど、特定の分野で高い支持を集めています。
2人の男の子を持つこの主婦は、フォロワーが5万2,000人。
子育てや家族の休日を描いた絵日記が大人気です。

紹介した場所には、毎回「行きたい」というコメントが多く寄せられています。

かわいいファッション フォロワー9万5,000人

こちらは、20歳の小田川エリカさん。
毎日投稿するかわいらしいファッションが人気で、9万5,000人のフォロワーから絶大な支持を集めています。

エリカさんに憧れている高校3年生の、小澤未来乃(こざわ・みらの)さんです。
エリカさんの投稿は毎日欠かさずチェック。
洋服やメイク、趣味まで、すべてのお手本にしています。
この日は、アルバイトで貯めたお小遣いを持ってお買い物。
エリカさんが着ていた服が目当てです。
ところが…。

小澤未来乃さん
「この服はもう置いてないんですか?」

店員
「もう完売しています。」

小澤未来乃さん
「やっぱり、かわいいんだ。」

代わりの服を、すぐにエリカさんの写真から探します。

「着てそう、エリカちゃん。」

小澤未来乃さん
「うん、着てる。」

袖口にフリルがついた、エリカさん好みのブラウスを買うことにしました。

小澤未来乃さん
「エリカちゃんがきっかけで、洋服の幅が広がったと思う。
うれしい。」

雑誌広告の半分の費用で高い効果

フォロワーに強い影響力を持つマイクロ・インフルエンサー。
その発信力を宣伝に生かそうと、企業が目をつけています。
先月(9月)、大手化粧品会社が開いた新商品の発表会です。
集められたのは全員、マイクロ・インフルエンサー。
学生や会社員など、一般の女性200人です。

写真をインスタグラムに投稿してもらって、フォロワーの若い女性たちを取り込もうというのです。

マイクロ・インフルエンサー
「すごいかわいい写真がたくさん撮れたので、あとで(インスタグラムに)アップして、『いいね』を待ってみようと思う。」

1週間後、化粧品会社で効果が測定されました。
マイクロ・インフルエンサーが投稿した写真は、292枚。
写真が届いたフォロワーの数は、延べ472万人。
このうち、およそ13万人から、写真をほめる「いいね」がつきました。

「『この製品はなに?』というコメントがいっぱい入っている。」

従来の雑誌広告に比べておよそ半分の費用で、高い効果が得られると分析しています。

日本ロレアル PR担当 関菜美子さん
「何万人が『いいね』をして、(それが)1日2日で起きる速さも今までになかった。
絶対テレビと雑誌に(広告を)打てば売れるという時代ではもうない。
個人ベース(の広告)をこれからもっと見ていかなくてはならない。」

「共感できる人の情報」は信用できる

和久田
「取材した倉富ディレクターです。
マイクロ・インフルエンサーは、学生や社会人など一般の人なのに、どうしてここまで影響力があるんでしょうか?」

倉富春奈ディレクター(おはよう日本)
「インスタグラムのキーワードは『共感』です。
私も利用しているんですが、私の好みのおしゃれな人を見つけると、とてもうれしくなりますし、刺激も受けます。
インスタグラムを利用している人は、数多くの投稿者の中から、ファッションや趣味・ライフスタイルなど、自分のしこうに合った人を選んでフォローしているので、その人の発信する情報に『共感』して、まねをするなどの行動に結びつきやすいんです。」

高瀬
「『共感』できる人からの情報だと、宣伝効果が高いということなんですね。」

倉富ディレクター
「企業が直接情報を提供する従来の広告より、一般人であるマイクロ・インフルエンサーから紹介された方が共感できて信用できると考える人が多いのが特徴です。」

今はまだ モラルや統一ルールなし

倉富ディレクター
「一方で、一般人だからこその課題もあります。
例えば、消費者に宣伝と気づかれないように宣伝する『ステルス・マーケティング』、いわゆる『ステマ』の問題です。
実際には企業から商品提供を受けたり報酬を得たりしているのに、それを隠してフォロワーの信用を利用しているケースがあります。」

和久田
「これまでにも、ブログなどで問題が指摘されたケースもありましたね。」

倉富ディレクター
「ステマの他にも、内容が十分でない投稿もあります。
こちらは、豊胸効果をうたった食品を紹介している投稿です。


この食品には、健康被害を引き起こすおそれがあるとして、国民生活センターが『安易な摂取を控えるよう』注意喚起している成分が含まれていますが、そのことには全く触れていません。
こうした投稿がいくつもあるのが実態です。
この商品を販売している会社は取材に対して、『投稿は個人が行っているもので、関与していない』としています。」

和久田
「でもこれを見ると、こういう投稿に『いいね』が700件以上ついていて、反響があるんですね。」

倉富ディレクター
「マイクロ・インフルエンサーが行う宣伝は、発信する側も受信する側もともに『一般人』ですが、今はまだモラルや統一ルールができあがっていないんです。
こうした中、業界では独自の対策を始める企業も出ています。」

健全性を向上させる取り組みは

こちらは、企業の依頼を受けてマイクロ・インフルエンサーを紹介している、大手の代理店です。
ここでは、画像やコメントの内容が適切か、事前に会社がチェックしてから投稿させることにしています。

高瀬
「どこをチェックしているんですか?」

まずは、宣伝だと明示していることです。
『PR』や『提供』などの言葉を必ず記載することにしています。」

和久田
「この2文字だけでも、利用している人はこの部分を見ますからね。」

また、企業からどんな商品やサービスの提供を受けたか示すことも、ルールにしています。」

和久田
「この人は、『新商品の発表イベントに行ってきた』と書いていますね。」

その上で、大げさな表現や誤った表現がないかチェックして、問題があれば投稿を認めないことにしています。
さらに、マイクロ・インフルエンサーを、定期的に集めて面談をしています。」

「『PR表記を付けないで』と言われることはある?」

マイクロ・インフルエンサー
「『自分で買った』と言え(と言われたけれど)、(私は)買っていない。
(インスタを)書いていて罪悪感があるような。」

悪質な業者からの接触が無いかなど、最新の情報を集めて対処の仕方を教えたり、モラルの向上を図ったりしています。

リデル 福田晃一社長
「徹底してステマをやめさせていく、理解させていく、業界の健全性を向上させていく。
これでやっと、インフルエンサー・マーケティングに大手企業も信頼して、安心して入ってこられる。
そのために健全性をしっかりつくっている。」

高瀬
「まだまだ発展途上なんですね。」

和久田
「現時点では統一ルールがないということですが、こうした個別の対応に任されている状況なんですか?」

倉富ディレクター
「広告代理店や学者などで作る協議会が、『口コミ・マーケティング』のガイドラインを出しています。
そこでは、企業と関係のある『宣伝行為』だと明示することを義務として、企業から受けているサービスなどを具体的に示すことが望ましいとしています。
ただ、これは5年前につくられたもので、インスタグラムでの宣伝は想定していません。

そこで今、『PR』『協賛』『タイアップ』などの言葉で、宣伝であると明示するよう、理事長(江戸川大学メディアコミュニケーション学部・井上一郎准教授)を中心に、ガイドラインの改訂作業を行っているということです。」

高瀬
「インスタグラムのキーワードは『共感』だということでしたが、その『共感』を利用したビジネスの可能性があることも、忘れてはいけないですね。」

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