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2017年10月15日(日)

いま再び注目“社歌” その理由とは

♪:“愛と光と夢で つつもう”





昭和52年の大手電機メーカーの朝礼。
歌っているのは『社歌』です。

♪:“互いの力 信じて 和して
幸せつくる 松下電器”





二宮
「成長を目指して、社員が一丸となることが求められた時代。
社歌は、会社の理念や精神を歌い上げ、愛社精神を育む役割を果たしました。」

小郷
「右肩上がりの時代が終わるとともに、歌われることが少なくなった社歌。
しかし今、以前とは違った形で、再び注目を集めています。」

“社歌”に再び注目 その理由とは

「朝礼始めます!」

岡山県にある事務用品の販売会社です。
歌い始めたのは…。



♪:“アイ!あふれる世の中を ラブ!目指してハツラツと”

去年(2016年)作った、ラップ調の社歌です。

♪:“willとskill磨ききる 求めるつかみ取るthrill
目指す頂上 気分上々
S(素直)・K(謙虚)・K(感謝)”

素直さや謙虚さなど、顧客に対する姿勢の大切さを歌っています。
事務用品の販売やオフィスのデザインなどを手がけ、顧客の細かいニーズに応えることで成長してきた、この会社。
ラップ調の社歌を導入する以前から、会社としての理念を共有するため、社歌を歌ってきました。
しかし、昔ながらの社歌では、社員が関心を持ちにくくなったため、社長の伊澤正信さんがリニューアルを決めました。

伊澤正信社長
「やっぱりラップは言葉が大事。
社歌は言葉、魂だから。
ラップが一番合うと直感的に思った。」



社歌作りは社員たちに任されました。
自分たちの仕事で何が大切なのか、考えて欲しいという狙いです。

制作メンバーの1人、田淵光さんです。
趣味でバンド活動をしていたことから選ばれました。
何をテーマにすればいいのか。
悩んだ末、注目したのは、創業当時からの社是である「迅速」という言葉です。
堅い印象のある言葉を、社歌ではこうアレンジしました。

♪:“ユー!聞こえるあなたの声
行くよそこへ ひとっ飛びで”

社歌制作メンバー 田淵光さん
「お客さんのところにすぐ行きますとか、すぐご提案させていただきますとか、そういう意味合いを込めて、かみ砕いて作りました。」

この会社は、顧客のニーズに「迅速」に応えることを大切にしてきました。
社歌作りを通して、田淵さんは、そのことを再認識できたと言います。

社歌制作メンバー 田淵光さん
「会社が何を大切にし、何を発信していきたいかに立ち返るきっかけになった。
すごくいい機会。」



社員が一緒に社歌作りを行うことで、一体感も生まれました。
社歌を見つめ直すことが、新たな活気をもたらしています。

♪:Here We Go!”

今、社歌を作る会社が増えているといいます。
こうした状況を受けて、去年、中小企業が自慢の社歌を競い合うコンテストも始まりました。
今年(2017年)も、20以上の会社から個性的な社歌が集まっています。

こちらは、社員全員が踊るリサイクル会社の社歌。
明るさを全面に出し、地味な業種というイメージを変えようと作られました。
再び注目を浴びる社歌。
ただ、そのスタイルは、かつてとは様変わりしています。


年間30社あまりの社歌を制作している会社です。
現代の社歌は、会社の理念を歌うものでも、それがより身近に感じられるよう工夫され、歌うだけでなく、聴いて楽しめるものが多いといいます。

社歌制作会社 井手次郎代表
「理念を言葉で説明されたり、紙に書いたものを暗唱したり、昔はしていた。
頭ごなしに説明されるより、すっと入ってくる形で理念を共有できるものがあればいい。
そういう形に音楽がマッチして、理念の共有に、いいツールとして使っている。」

こんな社歌を作った会社もあります。

♪:“トイレのふたを閉めましょう
靴をそろえて脱ぎましょう
朝はおはようございます”

一見、仕事とは関係なさそうなマナーを歌う、この社歌。

作ったのは、大阪市にある社員10人の金属加工会社です。
新幹線の部品加工を手がけるなど、高い技術力を誇ります。




社長の中川裕之さんです。
ある悩みを抱えていました。
この会社が大切にしてきたのが、「整理・整頓・清掃」の3Sです。
精密な加工を効率的に行うには、工具の整頓やチリなどが混入しないよう、清潔さを保つことが欠かせません。
この基本が徹底できない若手社員が増えているといいます。

中川裕之社長
「(工具は)平行、垂直や。
わかってんの。」




中川裕之社長
「精度をきちんと上げてくる人間は、靴もきちんとそろえるし、身の回りもきれい。
身の回りがくしゃくしゃしている人間は、仕事の段取りも下手。」



そんな若手の1人、一昨年(2015年)入社した山内大輔さんです。
飲食店のアルバイトなど、職を転々としてきた山内さん。
これまで厳しい指導を受けたことがなく、中川社長の指導に戸惑っていました。

中川裕之社長
「大丈夫か?
きれいにせえよ。」

山内大輔さん
「いつも心がけているけれど、できていない時はできていないと言われる。
毎日言われるのが、ちょっと嫌な時もある。」



この会社では、3年間で4人の若手社員が退職しました。
人材確保が難しい時代。
中川社長も、若手とのコミュニケーションに悩んでいました。

中川裕之社長
「どこまで言ったらいいかというのは、分からない部分は正直ある。
ジレンマはある。」

そんな時、思いついたのが歌でした。

♪:“トイレのふたを閉めましょう
靴をそろえて脱ぎましょう”

押しつけではなく、自然に思いを伝えたい。
社歌には、3Sの大切さだけでなく、日ごろからの努力がいつか実を結ぶというメッセージも込めました。

♪:“古くさいけど懐かしい 努力が報われる幸せを
信じられる職場でいよう”

社歌を作って半年後。
年に一度の社員旅行です。
旅の締めくくりに、社員たちは肩を組んで社歌を歌いました。



♪:“トイレのふたを閉めましょう
靴をそろえて脱ぎましょう
朝はおはようございます
終わればお疲れさまでした”



厳しい指導に戸惑っていた山内さん。
歌詞カードを持たずに歌っていました。

山内大輔さん
「歌にすることで(メッセージが)入ってきやすい。
これで気合いを入れて、仕事に取り組みたい。」

中川社長は、社歌を作ったことで、若い社員とのコミュニケーションが以前よりもとりやすくなったと感じています。

中川裕之社長
「なかなか口で言っても伝わらないけれど、コミュニケーションのツールはいろいろある。
歌詞がメロディーにのってきて、すっと心の中に入っていって、伝わったと思う。」


二宮
「まず朝礼でみんなでラップというのは驚きましたが、曲調など表現方法は変わっても、会社の考え方ですとか、目指す方向性を共有するという社歌の役割自体は変わっていないんだなと感じましたね。」

小郷
「でも、今、社歌に注目されるというのは、ちょっと意外な感じもするんですけれども、なんでなんですかね。」

二宮
「マーケティングアナリストの原田曜平さんによりますと、『かつての企業では、社員が一丸となって成長を目指していたが、現代は雇用形態や働き方が多様化して、仕事に対する考え方も人それぞれ違う。社員全員で同じ方向を向くのが難しい時代だからこそ、社歌への期待が高まっているのではないか』と話していました。」

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