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2017年10月14日(土)

変貌遂げる甲子園への“道”

全国の球児たちの憧れの舞台、甲子園。
この甲子園を目指す「道」が、今、様変わりしています。
小学校低学年から通うのは、最先端の野球塾。
中学では、部活動ではなく、常連校にルートがあるクラブチームへ。
変わる「甲子園への道」。
その最新報告です。

小郷
「夏の全国高校野球では、ホームランの最多記録の更新など、今年(2017年)も記憶に残る多くの場面がありましたよね。」

二宮
「甲子園は、いつの時代も野球少年にとってあこがれの舞台ですが、その甲子園を目指す道には、大きな変化が出始めています。」

目指せ!甲子園 小学生からの“英才教育”

リポート:佐藤滋(ネットワーク報道部)

甲子園を目指す「道」。
戦いは小学生から始まっています。
野球教室の合宿に集まった全国の小学生たち。

講師は、プロ野球の大洋や巨人で活躍した、屋鋪要さんです。

屋鋪要さん
「この肩をこうやって入れちゃダメ。
ちゃんとまっすぐ左足と同じ方向にステップしてごらん。」

この合宿。
4泊5日で10万円余りかかりますが、人気を集めています。

参加した小学生
「僕が知らない技術とか、いろいろ知っていて、すごい勉強になった。」





屋鋪要さん
「お子さんにかける思いというのは、昔よりも強いんじゃないか。
(親の思いは)僕はよくわかっているから、中途半端なことできない。」




こちらは、愛知県の小学1年生。
週に1回、個人指導の野球塾に通っています。




ここの売りは、動作解析です。
子どものうちから体の使い方を学びます。
まず、投球フォームを撮影。
どこに問題があるのか、映像をもとに指導を受けます。

コーチ
「前足が着く位置、これどう。」

小学生
「横。」

コーチ
「斜めになっているな。
足が外側を向いているから、無理やり上半身、腕だけでまっすぐ投げようとしているから。」

足をまっすぐするための指導を20分。
母親も真剣に見守ります。
その効果は…。



しっかり修正できました。
変化もひと目でわかります。

コーチ
「足を着く位置が、ちゃんとまっすぐになっているから、コントロールもよくなる。」

この動作解析は、標準的なプランでは、1回50分で1万8,000円かかります。

母親
「チームだと、たくさんの子どもを見ているので、やっぱり全員を見れないと思うので、何でもやってあげようという気持ちにはなる。」

甲子園常連校への近道 “部活”より“クラブチーム”

英才教育で目指す甲子園。
常連校に入るためのルート選びにも変化がみられます。

中学校の部活動ではない、このクラブチーム。
全国大会でも上位に入る強豪です。

チームの主軸の1人、関遼輔くんです。
中学2年で身長は、すでに180センチあまり。
甲子園で活躍して、プロに進むことが目標です。
関くんが、このチームを選んだ大きな理由。
甲子園を目指せる常連校との強いパイプです。

進路担当の幹部
「このまま希望校で行くのか。」





この日は、進路について、チームの幹部と親子で面接。

関遼輔くん
「高校はやっぱり甲子園に近い、行けそうな強いチームに行きたいと思う。」

進路担当の幹部
「間違いなく入れると思う。
もうちょっと努力すれば、もっと上の高校も狙えると思う。」

このクラブチームの実力は甲子園の常連校にも認められ、多くの選手が毎年、進学します。
その実績を見た子どもたちがチームに集まり、3年間、鍛えられて常連校に進学。
甲子園につながるルートが確立されているのです。

東練馬リトルシニア 横田勘二名誉会長
「いろいろな高校の監督さんや部長さんがみえて、“こういう選手が欲しいですね”と。
(常連校との)ルートも、うんとある。」



自宅でも練習を欠かさない関くん。
ただ、中学の部活よりも金銭的な負担が大きいのは現実です。
1万円の月謝に加え、グローブは1つ3万円以上。
遠征には数万円かかることもあります。


父 泰弘さん
「道具類にかかるお金も含めて、ある程度、親がサポートしてあげないと、なかなかこの夢を実現するのは難しいかなという風には感じている。」




関遼輔くん
「お父さん、お母さんが働いてくれたから、今のこういう生活ができているし、今の僕がある。
甲子園とか大きな舞台で、みんなが見ている前で、しっかりいいプレーをして、みんなに恩返しというのができたらと思っている。」

過熱する“英才教育” どうする!?部活動

小郷
「取材した佐藤記者とともにお伝えします。
甲子園につながる道も『ここまで来たのか』という印象がありますね。」

佐藤滋記者(ネットワーク報道部)
「VTRで紹介したような硬式のクラブチームには、早稲田実業の清宮選手やブロ野球・日本ハムの大谷選手など、多くの選手が中学時代に所属していました。
今では、甲子園球児のいわば『主流』とも言われていまして、調べてみますと、今年、夏の全国大会でベストフォーに入った高校でベンチ入りをした選手のうち、実に85%近くはクラブチーム出身だったんです。
こうしたクラブチームというのは以前からありました。
ただ、中学校の部活の部員がこの10年間でおよそ40%減少した一方で、硬式のクラブチームに入る中学生というのは、およそ20%増えています。
常連校へのルートを重視する傾向というのは強まっていると感じます。」

二宮
「ただ、こうしたクラブチーム、お金もかかりますし、皆が行けるわけではないと思うんですが、より多くの子どもたちにもチャンスがあるといいですよね。」

佐藤記者
「そうですね。
こうした現状について専門家は、中学校の部活動でやれること、できることを検討すべきだと話しています。」

早稲田大学 友添秀則教授
「部活のあり方そのものとも大きく結びついてくる問題だと思う。
“拠点校”というような形で、軟式(野球)あるいは硬式(野球)の代表的な学校を作っておいて、そこに教師を配置して(外部)指導者を配置して、子どもたちが選びながら、その学校に放課後行って、練習ができるような、しつらえを作る必要がある。」

小郷
「今、『拠点校』という言葉がありましたけど、これはどういうことなんでしょうか?」

佐藤記者
「『拠点校』は、地域で拠点的な学校を決めて、生徒たちは放課後やりたい競技ができる学校に通い、部活動に取り組むというものです。
『拠点校』については、すでに取り組みを始めている自治体もあるということなんです。
どんな状況でも、甲子園を目指せるような環境づくりが進んでほしいと思います。」