これまでの放送

2017年10月5日(木)

「見えない支出」を洗い出せるか

高瀬
「けさのクローズアップ。
今、生活保護を受給する人が増え続けていまして、過去最多の164万世帯に達しています。」


和久田
「国は、生活保護を受ける前に支援を行おうと、2年前、ある事業を立ち上げました。
『家計相談支援』です。
自治体からファイナンシャルプランナーや社会福祉士などが委託を受け、家計を診断して、立て直しを支援します。」

高瀬
「生活が行き詰まる前に、どう再建していくのか。
相談の多いケースを取材しました。」

月10万円の年金 退去を迫られて

リポート:宮川俊武(おはよう日本)

諸岡金造さん
「飯は、これだけですよ。」





福岡県内の市営住宅に住む、諸岡金造さん、80歳。
およそ10万円の年金で生活しています。




諸岡金造さん
「脳梗塞の薬です。」





3年前、脳梗塞で倒れ、医療費に充てるため、20万円を超える借金を背負いました。
返済に追われた諸岡さん。
毎月1万円の家賃を2年間滞納し、今年(2017年)3月に退去を迫られました。

「家計を立て直す計画」を作る

住む場所を失いたくないと、頼りにしたのが「家計相談支援」でした。

担当した相談員は、ファイナンシャルプランナーの井隈こずえさんです。

相談員 井隈こずえさん
「病院代は4,500円。
お酒とか、たばことかは?」

諸岡金造さん
「吸わない。」

相談では、まず諸岡さんのお金の使い方を聞き取り、家計を立て直す計画を作ります。

年金は、月に9万8,500円。
聞き取りをした結果、支出は、電気や水道代、さらに医療費などで合計4万3,000円。
残りの5万5,000円あまりは、主に食費に充てていました。

相談員 井隈こずえさん
「セブンイレブンだと思うけど、おかず?」

諸岡金造さん
「そうかもしれないね。」

食費管理 まとめ買いを指導

このままでは家賃の返済ができません。
相談の結果、生活保護費の食費にあたる金額を参考に、3万円を食費としました。
そうすることで、滞納していた家賃を2万5,000円ずつ返済できるようになりました。

諸岡金造さん
「神様みたい。」





食費を予算内に納めるためのポイントも教わりました。

冷蔵庫を開けてみると、1か月分の食材が入っています。

諸岡金造さん
「干し魚、ほっけ。」

スーパーやコンビニに出かけると、つい無駄遣いしてしまうので、買い物の回数を減らし、まとめ買いをするよう指導されています。
かつて5万円だった食費が2万円ほどに抑えられました。
支援を受け始めて半年。
この日、諸岡さんは、寒くなる前にコタツを買い換えたいと相談しました。

相談員 井隈こずえさん
「2万円くらいの(こたつ)を探したら、11月には買えそうですよ。」





生活に余裕が出てからもサポートを続けることで、経済的な自立を目指します。

相談員 井隈こずえさん
「今まで我慢して我慢してきたが、うれしくて使おうというお気持ちにならないように、将来困らないように一緒に考えていけたらと思う。」

現役世代からも家計相談 広がる

福岡県内の生活協同組合です。
北九州市や久留米市などから依頼を受け、相談に当たっています。
今、年金生活者に加え、現役世代からも数多くの相談が寄せられています。

「借金のご様子をおたずねします。」





住宅ローンやクレジットカードの利用で、借金が膨んだという相談。
本人が気付かないうちに、生活困窮の“予備軍”となっている人が多いといいます。

「見えないお金がある」 支出を洗い出す

49歳のシングルマザー、小林加奈子さんです。
正社員として障害者施設で働きながら、2人の娘を育てています。
収入は毎月26万円。
教育費や住宅ローンなど、出費も多く、貯金はありません。
来年(2018年)、娘の高校進学を控えた小林さん。
家計を見直すために相談を受けることにしました。

「食費がひと月いくらか分かります?」

小林加奈子さん
「だいたい5万ぐらい。」



8月の出費です。
夏休みだったため、子どもにかかった費用が7,000円増えましたが、そのほかの目立った支出はありません。
この月は270,000円ほどの収入があり、支出は265,000円。
5,000円の黒字となりました。
しかし、通帳を見てみると、月の収支はマイナス27,000円。

実は、小林さんは、食材の宅配サービスなどを銀行引き落としで利用していました。
利用している口座では、残高が足りない場合、銀行が自動的に貸し付けをする仕組みになっていたのです。
小林さんが気付かないうちに赤字が生み出されていたのです。

「悪循環というか、自転車操業的なことになる。
計画的にした方がいい。」

なぜ、残高が足りなかったのか。
小林さんは改めてレシートを探し、洗い出してみました。

コンビニでの飲み物代、2学期に向けた子どもの学用品、おやつ代など、合計10,000円程を意識せずに使っていたことがわかりました。

小林加奈子さん
「見えないお金があるということを気付いてなかった。
理由によって、それを貯蓄に回せるかなと、いいイメージを描けるようになった。」

本人の希望や楽しみを聞きながら

高瀬
「家計が改善した後も、相談を続けているところが印象に残りました。」

和久田
「相談員の方によりますと、『大事なのは、数字だけではなくて、本人の希望や楽しみを聞きながら、一緒に考えていくこと。そうすることが、最終的に経済的な自立につながる』と話していました。
この『家計相談支援』は、全国360の自治体で実施されています。
相談を検討する方は、まずは、お住まいの市町村にお問い合わせください。」