これまでの放送

2017年8月5日(土)

九州北部豪雨から一か月 新たな危険 迫る集落

小郷
「台風5号が九州に接近する恐れがある中、被災地は不安に包まれています。」

二宮
「被害の大きかった朝倉市の現場に、中澤アナウンサーがいます。」
 

中澤
「けさ、私は、朝倉市の杷木寒水地区です。
台風5号の接近に伴って、今のように少し風が吹き始めています。
また、上空にも少し雲が出始めました。
この地区というのは、河川の氾濫によって大量の土砂や流木が流れ込みました。
44世帯すべての住宅に被害が出ています。
台風が近づく中で、ここ数日は急ピッチで土砂の撤去作業が行われています。」

小郷
「土砂の撤去は順調に進んでいるんでしょうか?」

中澤
「その証明するものが、私の後ろにある建物です。

こちらの写真は、1か月前にほぼ同じ位置から撮影したものです。
後ろの住宅、1か月前は、1階部分の半分以上の高さまで土砂に覆われていました。
今、ようやく撤去作業が進んで、このような状態になりました。
土砂の撤去作業というのは、私有地などの住宅は、住民自らの手で行わなければなりません。
けさは、特別に撮影の許可をいただいています。
家の中に流れ込んだ土砂、片付ける作業は思うように進んでいない、こういった住宅が数多く残されています。
なので、被災した皆さんというのは、ボランティアの力に頼らざるを得ません。
復旧が進まない焦り、そして、台風によって、また新しい災害が発生するのではないかという不安が広がっている被災地の現状をご覧ください。」

九州北部豪雨から1か月 “新たな危険”迫る集落

リポート:森将太(NHK福岡)

先月(7月)5日、朝倉市杷木林田地区で撮影された映像です。
地区を流れる赤谷川が氾濫している様子が映されていました。
赤谷川の川幅は、もともと10メートル。
豪雨で一気に広がり、100メートルを超えました。

豪雨の前、112世帯が暮らしていた東林田集落です。
赤谷川は青色で示したところを流れていました。
ところが…。


 

豪雨のあと、地形が変わり、以前住宅や水田があったところが川になってしまいました。
川の流れが変わったことで、集落にあらたな危機が迫っています。


 

奈須敬介(なす・けいすけ)さん、60歳。
自宅の横に突如、川が現れました。



 

奈須敬介さん(60)
「ここに道があった。
ずっと向こうに行ける道が。」


 

道路があった場所に大量の土砂が積もり、その上を川が流れています。
雨が降って水かさが増せば、自宅が被害に遭う恐れがあります。
不安を感じ、隣町の息子の家に身を寄せています。

奈須敬介さん(60)
「台風がきても、軽い感じで終わればいい。
大きいのが来たら怖い。」

今も雨が降り続くと、集落には避難指示が出されています。

「河川の水位が上昇しています。」

住民が高台の公民館に次々と避難してきます。

「今の状態で激しい雨が降れば、山から流木が流れてくる。
それが怖い。」



 

また川が氾濫するかもしれない。
二次災害の恐怖にさらされ続けています。
国や県は、被害を拡大させないために動き出しています。

豪雨によってできた新たな川。
増水すれば、川沿いの住宅に被害が及びます。
そこで、もともとあった川に水を流し、分散させることで水量を減らす対策が考えられました。

先月27日。
もともとあった川が堀り起こされ、水が流れ始めました。
しかし、作業が完了するには数か月かかる見込みです。
予断を許さない状況が続きます。

 

国土交通省 筑後川河川事務所 原田隆二課長
「大きな雨が降る前に、応急復旧を完了したい気持ちはある。
時間がかかってくる。」


 

こうした中、集落を離れることを決めた人も出始めています。

この場所で妻と2人で暮らしてきた、久保山哲男(くぼやま・てつお)さん、76歳です。
長年暮らした自宅には、もう住むことはできません。
久保山さんは、5年前の九州北部豪雨も経験しました。
もう二度と同じ恐怖を味わいたくないと考えたのです。

久保山哲男さん(76)
「また3回目の水害にあうなら、体がいくつあっても足りない。
住むのは難しい、今の状態なら。」
 

二宮
「今、地区には2つの川ができているということですが、今後はどうなっていくんでしょうか?」

中澤
「もともとあった川については今のまま残していく方向です。
一方で、新しくできた川については、防災上の観点や地元の住民の皆さんの意見を聞きながら、今後、慎重に判断することになっています。
2次災害への不安が被災地で広がっている中で、このようなデータがあります。

先日、NHKが朝倉市内で被災した方40人に、今後の生活拠点について聞きました。
すると、今の場所に住み続けると答えた方が15人。
同じ地区の他の場所に住むと答えた方が11人いました。
一方で、他の地区に移住せざるを得ないと答えた方も14人いたんです。
2次被害の不安が広がる中で、住み慣れた場所を離れなければいけないという住民の方の判断もあるということです。
また、被災した方に話を聞いたところ、この台風によって、また雨が降ると、被災地には、再び土砂や流木が流れ込んでしまうと。
そうすると、片付けた土砂や流木というのが、これまでの努力が無意味になってしまうと。
できることであれば、台風で雨が降らないければいいなと、祈るような気持ちですと話していました。
被災した皆さんは、台風や大雨による心配、さらに今後の生活、どこで暮らしていけばいいのかという不安も抱えている被災地です。」

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