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2017年5月30日(火)

仕事・育児・介護に“更年期” 女性にのしかかる「四重苦」

和久田
「あの『体調の変化』が、今の女性たちを、さらに苦しめています。」

週2日、NPOが行っている電話相談です。
40代や50代の女性から、不調を訴える声が相次いでいます。
 

電話:52歳 女性
「だるくて動けないのが、つらいですね。」

電話:46歳 女性
「休職ということも考えたんですけど(辞めた)。」

不調の原因は、更年期障害。
女性のライフスタイルが変化する中、これまで以上に深刻な問題となっています。

NPO法人 女性の健康とメノポーズ協会 三羽良枝理事長
「子育ての悩みもある。
介護の問題を抱えている。
働き手としても、バリバリやっていかないといけない。
“四重苦”という厳しい状況です。」
 

高瀬
「取材した中川記者とお伝えしますが、更年期が四重苦ということなんですか?」

中川早織記者(報道局)
  「『更年期障害』は、閉経前後に女性ホルモンが急激に減ることにより、心や体に重い不調が出ることを言います。
かつては、子育てがいち段落してから自分の体とゆっくり向き合う時期だったんですが、今は、出産・育児も遅くなり、親の介護、さらに仕事が忙しくなる時期と重なることで、より深刻な状況に陥るケースが増えているんです。
この忙しさの中で、体の不調の原因が更年期だと気付くことができず、何年間も悩み続けた女性がいます。」

めまい・食欲不振・関節痛 まさか“更年期障害”とは…

森永ゆみさん、53歳です。
更年期障害だと分からず、長い間苦しんできました。
看護師として働きながら、4人の子どもを育ててきた森永さん。
48歳のある日、突然、めまいに襲われ、おう吐しました。

森永ゆみさん(53)
「ぐらぐらっときて、1人で歩けないような状況。
夫と息子にすがるような感じ。
抱えてもらって病院に行くという状況だった。」

脳卒中を疑い、救急外来へ。
精密検査を受けましたが、結果は異常なし。
「めまい」の症状から耳鼻科での受診を促されましたが、ここでも異常は見つかりませんでした。
その後も、さまざまな症状に悩まされます。
食欲不振となり、内科へ。
股関節が痛くなり、整形外科へ。
両手の痛みで、リウマチ内科へ。
しかし、それぞれの診療科でも異常はないと言われたのです。

森永ゆみさん(53)
「“この症状は何なの”、“私は調子悪いのよ”って。
たいしたお薬も出るわけじゃない、“異常は無い”ので。
“どうしたらいいの”って。」

 

仕事に育児、さらに離れて暮らす親の看病も重なり、ますます体調は悪くなったと言います。
原因が分かったのは、症状が現れ始めてから2年半が経った時のことでした。
健康診断のため、たまたま婦人科を受診した森永さん。

血液検査をしたところ、70以上あると安定するといわれる女性ホルモンの値が、ほぼない状態。
「更年期障害」だと診断されました。
不調の原因がすべて女性ホルモンによるものだとは、思いもよりませんでした。

森永ゆみさん(53)
「全然ノーマークでした。
お産のときのトラブルもなく、つわりで苦しんだ思いもなく、ずっときてた。
“婦人科(系の病気)は私大丈夫じゃない?”という変な思い込みがあった。
えーっという感じだった。」

夫の健司さんです。
症状に苦しんでいたころの妻は、別人のようだったといいます。

夫 健司さん
「地べたに、ばーっと寝てるんですよ、仕事から帰ってくると。
急に怒り出したりとか、あるので。
娘と2人、つかんで殴り合ってるんですよ、台所で。
普通(の状態なら)しないですよね。」

家事も子育ても十分できなくなった妻を目の前にした健司さん。
出口の見えないトンネルに入ってしまった気がしたといいます。

夫 健司さん
「思い出しちゃった。」



 

家族も苦しめた更年期障害。
診断後、森永さんは女性ホルモンを補う治療を始めました。

森永ゆみさん(53)
「これが女性ホルモンの貼り薬ですね。」

すると、つらかった症状が嘘のように改善していきました。

森永ゆみさん(53)
「水やりを忘れたお花が、水をもらって起き上がってくる感じ。
中からじわっと元気が涌いてくる感じ。
そういう選択肢があるというのを、まず知っておくと、全然違った。」

森永さんのような女性を1人でも減らしたい。
更年期障害の対応の仕方を知ってもらおうと活動を始めたグループがあります。
メンバーは更年期障害について学び、「メノポーズカウンセラー」という民間資格を取った人たちです。
 

メノポーズカウンセラー 越川典子さん
「こちらが口の中のケア(グッズ)。
更年期世代はドライマウスになるので。」


 

更年期の症状や治療方法を知らせるフリーペーパーを発行。
手に取りやすいデザインにして、医療機関だけでなく、美容サロンなどにも置いています。
長い人生を生き生きと過ごすためには、更年期に対する正しい知識が欠かせないとグループでは考えています。

メノポーズカウンセラー 越川典子さん
「更年期を過ぎて、閉経過ぎても、40〜50年生きていかないといけない時代。
いかに早く準備をするか。
体の変化に、自覚的であるかどうかで、その後の人生が大きく変わってくる。」
 

和久田
「更年期障害というと、よくほてりとか、イライラ感というのは聞きましたけれど、めまいや吐き気まで、そんな症状もあるんですね。」

中川記者
「医師に聞き取っただけで、50種類近くもあるんです。
動悸やほてりなどだけではなく、頭痛や耳鳴り、関節痛などの身体的な症状、そして不安感などの精神的な症状。
女性ホルモンは全身に関わるため、症状も多岐にわたるんです。」

高瀬
「取材に応じてくださった森永さんも仕事、それから育児などでいっそうつらかったということですけれど、森永さん自身は看護師でしたよね。
それでも、やっぱり分からなかったということですか?」

中川記者
「人によって出る症状にとても差があるからなんです。
森永さんも、ある程度の知識はあったんですが、まさか次々に現れた不調が全て更年期に関わっていたとは分からなかったということでした。」

高瀬
「そうした症状が病気から来るのか、それとも更年期から来るものなのかという、その判断というのはなかなかしにくいと?」

中川記者
「血液検査を行って、女性ホルモンの値が低ければ、更年期障害が疑われるんです。
そうでなければ、他の病気の恐れもあります。
40代になったら、婦人科などのかかりつけ医を持つことが健康を維持する上でも望ましいということです。」

高瀬
「家族のサポートというのが必要ですね。」

中川記者
「そうですね、家族に関わる問題ですので。
更年期の『更』という字には、『あらためる』という意味もあるんです。
今の40〜50代は、人生まだまだこれから折り返し地点です。
人生の転換期と考え、自分の体と正しい知識を持って向き合うことが大事だと感じました。」

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