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2017年5月13日(土)

あなたの住まいは大丈夫!?急増する限界マンション

二宮
「築26年、およそ80平方メートルのマンションが、195万円。
こちらは築26年、53平方メートルのマンション、10万円です。」


 

小郷
「築年数が多少たっているにしても、いくらなんでも安すぎませんか?」

二宮
「こうした値段の物件の中には、建物の老朽化が進み、管理修繕も行き届いていないものもあり、価格をいくら下げても買い手がつかないという事態になっているんです。
こういったマンションは、『限界マンション』とも呼ばれています。
専門家は、高度経済成長期以降に大量に供給されたマンションが、今後、限界マンションになりかねないという警鐘を鳴らしています。」

あなたの住まいは大丈夫!? 急増する限界マンション

リポート:加藤弘斗(おはよう日本)

東海地方にある、18戸のマンション。
築37年。
至るところで老朽化が進行しています。

「亀裂が、かなり入っています。
非常に危険な状況。」



 

非常用階段は腐食が進み、使用するには危険な状態になっていました。

「1回下りたことがありますけど、やはり怖かったです。」

天井から水漏れする部屋も。
雨水が壁のひびを伝い、部屋の中まで流れ込んでいました。
なぜ、このような状態に陥ったのか。
原因は、マンションの修理に必要な修繕金の不足でした。

一般的なマンションでは、管理組合が各部屋から部屋の広さに応じ、1万円から数万円程度の管理費と修繕費を毎月徴収し、マンションの修繕を行っています。


 

ところが、このマンションでは空き部屋が3割に及び、滞納している部屋も複数あるため、資金が不足。
必要な管理修繕が行われてきませんでした。
管理組合では、滞納者に支払いを求めるとともに、修繕費の値上げも検討していますが、高齢化の進んだマンションでは、対策は思うようにいかないといいます。
 

管理組合 副理事長
「『年もとっているから、余分なお金はかけたくない』という発想で、みなさん考えていると思います。」


 

マンション管理士 小泉健司さん
「マンションは、どんどん劣化して、人が住めない状況になってしまう。
(修繕金が集まらず)資金不足で工事ができない。
これが悪循環を繰り返す。」

 

限界マンションをどう防ぐのか。
新たな取り組みを始めた管理組合があります。

築48年、126戸のマンションです。
修繕費の滞納に長年頭を悩ませてきた管理組合は、思い切った策を講じました。

管理組合は、滞納金がある部屋を競売にかけ、居住者に退去を促すことにしたのです。
買い手が現れれば、その収入は管理組合に。
そして、新たな所有者には修繕費を収めてもらいます。

 

一方で、競売で買い手がつかなかった場合は、管理組合が費用を支出し、部屋をリフォーム。
中古マンションとして不動産市場で売却します。
管理組合は現在、複数の部屋で競売の手続きを進めています。
差し押さえと売却を通し、滞納者を優良な居住者に入れ替えたいとしています。
 

管理会社 合人社計画研究所 三谷昌弘さん
「苦肉の策というところはあります。
何も行わず、現状のまま放っておいても解決には至りませんので、組合員にとってはメリットがあるのではないかと考えています。」

 

滞納者を退去させることなく、救済する仕組みを整えた管理組合もあります。

築43年、190戸のマンション。

管理組合の理事長、佐藤芳雄(さとう・よしお)さんです。
現在、修繕費の滞納者はいませんが、今後、住民の高齢化に伴い、金銭的な問題を抱える人が出てくることに備えて手を打ちました。


 

導入したのが、「リバースモーゲージ」という制度です。
リバースモーゲージは、住まいを担保にお金を借りる制度。
所有者が亡くなった時に、住まいを売却し、借り入れを返済する仕組みです。

このマンションで1人暮らしをしている津田晴美(つだ・はるみ)さん、73歳です。
今は、年金から修繕費をまかなっていますが、病気などで多額の出費が必要になれば、リバースモーゲージを利用しようと考えています。

津田晴美さん
「ありがたいですよ。
もしものことがあったら、その時には、頼ろうかな。」

管理組合理事長 佐藤芳雄さん
「住んでいる人があって、初めてマンション。
住む人がいなくなったマンションは、単なる粗大ゴミ。
管理組合の取り組みが必要な時代がきているんだろう。」

あなたの住まいは大丈夫!? 限界マンションを防ぐには…

二宮
「ここからは、マンション問題に詳しい、富士通総研の米山秀隆さんに伺います。」

小郷
「こういった限界マンションというのは、今後、増えてくるのでしょうか?」

米山秀隆さん
「築40年を超えるマンションは、2035年には、2015年の6倍ということで、急増することが予測されています。
建物の老朽化が進むことはもちろんなんですけれども、居住者、例えば30歳、40歳で購入したとすると、70歳から80歳ですので、建物と居住者の2つの老いが進展すると。
そういう状態になりますと、非常に状況が悪化しますので、それまでの段階で、中古としての競争力を保つために、維持・修繕をきちんとしていくということが重要になります。」

二宮
「どうすれば、この限界マンションを防ぐことができるのでしょうか?」

米山秀隆さん
「ポイントは2つありまして、1つは、管理組合の意識です。
購入当初では、まだ新しくて、維持・修繕の意識は低いんですけれども、必要な時に必要な修繕を行っていかないと、あとで大変なことになるという意識を高めていくということが、まず重要になります。」

小郷
「限界マンションにしないという居住者それぞれの意識づけが大事ということですね。」

米山秀隆さん
「自分の資産は、やはり自分で守るという、そういう強い意識です。」

小郷
「そして、2つ目は?」

米山秀隆さん
「2つ目は、資金計画ということになりまして、通常、当初の時点の計画では、修繕金の積み立て計画というのは低めに設定されることが多くて、20年、30年経って、段階的に引き上げられることが多いんですけれども、その段階ですと、例えば年金生活者、負担が多くて払えないということにもなりますので、できましたら、管理組合が合意の上で、当初からある程度、積み立てておいた方が、あとで楽になるということです。」

小郷
「段階を踏まずに、もう最初から一律の金額にすると。」

米山秀隆さん
「資金がショートしますと、修繕の元手がなくなりますので、劣化が一気に進みますので、これが重要なポイントになります。」