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2017年5月7日(日)

ロン毛とモヒカンが営む みんなの銭湯

小郷
「今日(7日)で大型連休も最終日。
遊び疲れたという方もいるかもしれませんが、ほっこりする銭湯の話題をお届けします。」

 

二宮
「江戸時代から庶民に愛されてきた銭湯。
大きな湯船で足を伸ばして熱いお湯につかる。
とっても気持ちいいですよね。
かつてどこの町にもあった銭湯。
しかし、50年前は1万7,000軒あった銭湯が、今、2,600軒まで激減しています。」

小郷
「そんな中、奇抜な風貌の2人の若者が、とある銭湯の運営に乗り出しています。
ロン毛とモヒカンが営む銭湯。
ちょっと、のぞいてみましょう。」

ロン毛とモヒカン 銭湯文化を守る

埼玉県川口市。
中小の工場が並ぶ、ものづくりの町です。
夕方、住宅街の一角に町の人たちが集まってきます。
戦後まもなくから営まれてきた「喜楽湯」。

長年、鍋を作る鋳物工場の職人などに親しまれてきた町のお風呂屋さんです。
子どものころから銭湯が大好きだったという、ロン毛の湊研雄(みなと・けんゆう)さんと、モヒカンの中橋悠祐(なかはし・ゆうすけ)さんです。
1年前、この銭湯のオーナーから運営を引き継ぎ、住み込みで働いています。

喜楽湯 番頭 湊研雄さん
「この鏡も、静岡で廃業しちゃって取り壊すっていう銭湯があって、ご主人に連絡して『もらえる物があったらもらっていいですか』って。」


 

喜楽湯 番頭 中橋悠祐さん
「煙突が見えるんです、ここから。
常に煙突の見える部屋、最高です。」

しかし、銭湯の運営は想像以上に大変なことでした。

 

湯を沸かすのは「まき」。
今もすべて家屋や家具の廃材を使います。
1日でおよそ400キロにもなります。

閉店の夜11時まで、湯の温度が下がらないようにまきをくべます。
閉店したあとの深夜には、1時間かけて風呂場をくまなく磨きます。
営業は年中無休、1日の休みもありません。

中橋悠祐さん
「一番重要なポイント、この掃除が。
お風呂ってきれいでないと嫌じゃないですか。」

2人が銭湯にこだわるのには、あるわけがありました。
幼い頃から父に連れられ、銭湯に通いつめた悠祐さん。
ここで人づきあいの基本を学んだといいます。

中橋悠祐さん
「いろんな人がいて、子どもから大人までおじいさんまで、全部合わさったものがすごい心地よかったので、あの空間が好きだった。」

19歳で静岡から上京した研雄さん。
都会での生活になじめない中、近所の銭湯で交わした会話に救われたといいます。

湊研雄さん
「友達もはじめできなくて。
銭湯に行くと女将さんが『こんばんは、元気』とか、なにげない会話をしてくれた。
それが心のどっかに安心感、安心できる。」

2人にとっての銭湯は、人のぬくもりを感じることができる、かけがえのない場所だったのです。

午後3時。
開店と同時に客が押し寄せます。

自宅にお風呂があるのにも関わらず、毎日やってくる常連客も。
入浴料は430円。
疲れた体をゆったりと休め、思い思いの時を過ごしていきます。


「気持ちいいよ、お風呂もきれいだし。」

2人を応援したいと、差し入れを持ってくる人もいます。

「2人で一生懸命やっている。
こういうイメージが全然なかった。」

夕方になると、家族連れの姿が目立ちます。

中橋悠祐さん
「こないだ(歯)抜けたばっかり?痛かった?」

子ども
「自分でこうやってぐりってやって、それでポロって抜けた。」

悠祐さんが、自分が子どもだったころを思い返して優しく接します。
2人が始めて1年。
客の数は以前より3割も増えました。
しかし、銭湯を続けていく上で、ある問題が起きていました。
まだ経験が浅い2人。
まきを十分におろしてくれる仕入れ先が見つかりません。

湊研雄さん
「まきがなかったら何も始まらない。
どんだけ掃除しても、お湯が沸かなかったらなにも始まらない。」

立て看板を置いて、客に助けを求めることにしました。

湊研雄さん
「まきがまた無くなりそうで。」


「あそこやっているんじゃない。
あのとなりアパートもまたやっているよ。」


「そこ壊しているよ、アパートみたいなの。」

さっそく、教えられた解体現場へ交渉に向かいます。

「骨のあるとこだけって形で大丈夫ですか。
行く前に連絡します。」

およそ3週間分のまきを譲ってもらえることになりました。

湊研雄さん
「お店のお客さんが結構目になってくれて、みんな教えてくれますよ。
こういうときにマジで助けられているなと思います。」

今、2人は自分たちと同じ若い世代に銭湯の魅力を伝えようとしています。

この日向かったのは、大学生向けの賃貸マンション。
ここに住む客の1人に案内してもらいました。
初めて都会で暮らす地方出身の学生たちに、銭湯をPRするチラシを手渡しします。

湊研雄さん
「みんな1人暮らしで結構寂しいって言っているから、俺も東京に来たときに同じ気持ちだったと思って、こういうの企画したんで、もしよければぜひぜひ遊びに来ていただけたら。」

湊研雄さん
「マンションの子も、同じ建物に住んでいても寂しい思いをしているのでは。
友達作りのとっかかりになれればなと、その思いだけ。」

先月(4月)、2人が手がけて1年を迎えた喜楽湯。
企画したのは「フリーマーケット」です。
普段、銭湯になじみのない人もたくさん訪れてくれました。
「銭湯を地域の人たちのふれあいの場所にしたい」。
2人の願いです。

湊研雄さん
「どの年齢の層も来てくれているのがうれしい。
銭湯って昔はきっとそうだっただろうし。
どの年齢の人も来られる場所でありたいですね、銭湯は。」

中橋悠祐さん
「みんなが楽しんで、人が集まって、交流が生まれて、新しい文化が生まれるような場所にしたいですね。」

ロン毛とモヒカンが営む銭湯。
古き良き日本の文化を守ろうとする取り組みは続きます。

ロン毛とモヒカン 銭湯文化を守る

二宮
「私も大学生で1人暮らしをはじめた頃、よく銭湯に行きましたが、慣れない土地ってやっぱり不安も多いんですけれども、銭湯に行くとその街の一員になれた気がする、受け入れてもらえる安心感のある場所だったなと思い出しましたね。」

小郷
「私もよく小さい頃、銭湯に行ってたんですが、行くと学校の友だちや近所の人に会えたりとかして、ちょっと特別な場で、すごく楽しかった思い出があるんですよね。
でも最近なかなか見かけなくなりましたよね。
そんな銭湯に、こうした今どきの若者が取り組むというのは意外だったんですが、頑張ってほしいなと思いました。」