これまでの放送

2017年4月21日(金)

“着物を身近に” 京都 若手の挑戦

高瀬
「今、日本の伝統、着物に新たな風が吹いています。

京都、日曜の昼下がり。
ちょっと変わった着物姿の人たちが集まってきました。
着物にブーツ、そしてサングラス。
「気軽に着物で集まれ」という呼びかけから始まったイベントです。

「たんすの肥やしになっていたので引っ張り出して着た。」

「日本人だなという実感がわく。」

7年前から続き、多い時には全国から200人を超える人たちが押し寄せています。

高瀬
「取材した京都局の福本カメラマンとお伝えします。
…カメラマンには見えませんね。」

福本充雄カメラマン(京都局)
「私が着ている着物、先ほどのイベントで着られていたものなんですが、何か気づくことありますか?
こちら、ジーンズに使われているデニム生地でできているんですよ。」

和久田
「一見わからないですね、珍しいですよね。」

福本カメラマン
「着物は、成人式など人生の節目に着るというイメージで、一着100万円以上するものもあるのですが、こちらは5万円。
洗濯もできるんです。」

高瀬
「それでも簡単に手が出る価格ではないかもしれませんが、着物としてはお値打ちというところでしょうか。」

福本カメラマン
「着物は戦後しばらくまでは、ふだん着としても着られていました。
先ほどのイベント、京都の着物業界などの若手グループがかつてのように『日常の中に着物を着る機会を取り戻したい』と始めたことなんです。
挑戦する姿を追いました。」

“着物を身近に” 京都 若手の挑戦

リポート:福本充雄カメラマン(京都局)

「5月いつやるのか告知しておかないと。」

この日、イベントを企画する若手グループが集まっていました。
主催者の1人、着物の裏地作りを手がける浅見崇史(あさみ・たかし)さんです。
コメントを添えて、フェイスブックで発信。
イベントは京都だけで60回、全国22か所に広がっています。

着物裏地メーカー 浅見崇史さん
「着物を着た人が写真を撮る姿を見ていたらうれしそうだったし、本当に良かったと思う。」

浅見さんが、もう一度、着物を日常に取り戻したいと思ったのは8年前。
父親から事業を受け継いだときでした。
驚いたのは、あいさつ回りをしたとき。
着物業界でも多くの人が背広姿だったのです。

着物裏地メーカー 浅見崇史さん
「着物を作っている人も着物を着ていないというのが第一印象。」

売り上げが減少する中で、高級化に活路を見いだしていった着物業界。
その中で、着物を着る機会が失われていったことを痛感しました。

着物裏地メーカー 浅見崇史さん
「(着物が)いくらで売られているかといったときに、到底買えるものではないとしみじみ思ったし、自分が買える中で欲しいものを考えたとき、身近になることをしないといけないと思った。」

もう一度身近なものにするにはどうすれば良いのか。
浅見さんは日常の中から、その方法を探してみることにしました。

長く歩くときにはスニーカー。
洗濯機で洗うために、素材も絹以外のものに見直しました。



 

着物裏地メーカー 浅見崇史さん
「普通の子どもの服とかが入っている中に入れてガラガラ回している。」

木綿であれば、子どもも気軽に遊べます。


 

「かわいい。
おべべ、ものすごくいいやん。」

そして、毎日着物で出かける中で、浅見さんは周りの人たちにも着物を着たいという思いがあることに気づいていきました。

着物裏地メーカー 浅見崇史さん
「(自分が)着ているというのがすごく大きいと思う。
着なかったらみんな“着物なんて”だけど、身内で着物を着ている人がいると、みんな関心を示してくれる。」

着物を着たいというニーズが手応えから確信に変わったのは、古着店を訪れたときでした。
古着店では実家の整理などでタンスに眠っていた着物が出回り、中には2,000円のものもありました。


「かわいい、チェックが。」

その着物に女性たちが新鮮さを感じ、おしゃれ心をかき立てられていたのです。


「大胆な柄やおもしろい柄があるので、すごく楽しい。
おしゃれの幅が広がっていると思う。」

着物を着て過ごす日常に、楽しさを見いだす人たち。
生活のあらゆる場面で着こなしていました。

着物裏地メーカー 浅見崇史さん
「着る(機会)を作れば、人は着物をまた着たいと思ってくれる。
着物は絶対に楽しくなっていける。」

着物をもっと身近なものにしたいという思いは、まわりの着物店にも広がっていきました。
この老舗販売店が今、力を入れているのが、こちらの商品。

着物専門店 社長 野中順子さん
「デニムの着物。」

これまで、10万円を超える商品を多く扱ってきましたがこのデニムの着物は3万円台からにしました。
浅見さんたちのイベントに参加したとき、若い人から自分も着てみたいといわれたことが商品化を後押したといいます。

着物専門店 社長 野中順子さん
「びしっと決めるところは決める、そういう着物もあっていいし、本当に遊んで着るデニムのような着物があってもいい。
共生が出来たときに本当に着物文化は未来に続く衣装として残ると思う。」

先月(3月)26日、7年目を迎えて初めてになる着物のイベントが開かれました。
そこには浅見さんたちが当初思い描いていた、ふだん着の想像を超える着こなしの人たちが多く集まっていました。
なんと、洋服とコラボ!

襟シャツとアフリカ柄を組み合わせています。
こちらの女性。
ハイヒールに、シルバーのアクセサリーです。

「着物にアクセサリーをつけてはいけないけど、これは洋服と変わらない。」

着物をもっと身近なものにしたい。
その思いは、人々の豊かな発想のもとで可能性を広げています。

着物裏地メーカー 浅見崇史さん
「着物を着る人、特に若い方が着物を着るようになったと実感。
着物は親子三代ずっと渡されていくもの。
それがまた起きたらいいと思う。」

“着物を身近に” 京都 若手の挑戦

高瀬
「伝統のある京都で、こうした動きが起きているということに驚きましたが、とはいえ、本来の着こなし、礼儀作法を重んじる方も多いと思うのですが?」

福本カメラマン
「確かに、取材ではそういった声も聞かれました。
ですが、着る機会が限られたままでは、着物文化は衰退してしまうという危機感は業界全体にあります。
正装としての着物を守りながら新しいジャンルを生み出していくことで、業界全体の底上げをしていこうとしているんです。」

和久田
「確かに間口が広がれば、これから着物を着る機会は増えていきそうですよね。」

福本記者
「実は、経済産業省が行った調査でも、20代の女性の7割は着物を着たいと答えていて、若い世代の高い関心がうかがえます。
そして、3年後に東京オリンピックを控え、海外からの日本の文化への注目が集まっています。
京都では色合いや鮮やかにひかれ、町じゅうで着物を楽しむ外国人観光客の姿も多く見られます。
場所や機会に応じた、さまざまな着こなしが増えれば、日本、そして世界にも、着物はいっそう広がりを見せると思いました。」

Page Top