これまでの放送

2017年4月17日(月)

不登校の子ども 受け入れの場が…

和久田
「4月も半ばを迎えましたが、まだ新しい環境になじめないという人も多いかもしれません。」

高瀬
「特に子どもたちは、進学やクラス替えをきっかけに、いじめにあったり、孤立したりして、学校に通えなくなることも少なくありません。
小中学校の不登校の子どもの数は高止まりし、12万人を超えています。
こうした子どもが通う『学校以外の場』の1つが、民間の『フリースクール』です。
全国で450以上あるとされています。
しかし、その多くは小規模で、さらに不登校の子どもが増えると受け入れができなくなるおそれもあります。
その実態を取材しました。」

学校に通えない子に学びの場を

リポート:田畑佑典記者(松山局)

松山市にある「翼教室」です。

学校に通えなくなった小学生や中学生たちが平日の日中、ここで過ごします。
スタッフが一人一人に合わせ、勉強を指導します。
去年(2016年)4月からここに通うユホさん。
中学1年生のとき、友人や先生との関係に悩み、学校に行けなくなりました。

ユホさん
「おはようございます。」

「いらっしゃい、おはよう。」

当時は、誰に対しても心を閉ざしていたといいます。

ユホさん
「急に私のことであまりよくないことがクラスや学年の中で流れていて、私は学校に行かずに、ただ家に閉じこもっていただけだったり、“自分はいないほうがいい”と思って。」

ここでのユホさんを支えているのが、悩みを受け止めてくれる大人の存在です。

翼教室を運営する、大野まつみさん。
心理カウンセラーの資格を持っています。
ユホさんの話をじっくり聞きながら、過去に向き合い、前に進むよう励まします。

NPO代表 大野まつみさん
「中学校で何があったか、そんなことを少しずつ、本当は思い出したくない、しんどい悲しいことを思い出しながら、そこをクリアしていく1年にしよう。」

大野さんたちの後押しが、ユホさんの原動力になっています。
もう1つ、ユホさんの力になっているのは、同じような仲間の存在です。

翼教室では毎年春、学校への復帰や就職が決まると、みんなで見送ります。
自立する仲間の姿が励みになるのです。

「翼教室で、たくさん自分を変える機会をもらって、いつの間にかできることが増えていきました。」

この先輩は、この春から学校に復帰することになりました。
ユホさんも、再び学校に通うことが明確な目標になってきました。

ユホさん
「“生きている意味がない”と私も思っていたんですけど、翼のみんなに会ったら、そのことも忘れられるし、頑張ろうって思います。」

しかし今、翼教室は大きな課題に直面しています。
教室があるのは2階建ての一軒家。
大野さんの自宅の一部屋を使っていますが、子どもの数が30人余りと以前の2倍に増えたため、手狭になってしまったのです。
大野さんは1人でも多くの子どもを受け入れるため、自宅を丸ごと教室に改修することにしました。

NPO代表 大野まつみさん
「壁だったのを壊していただきました。」

リビングと風呂場の脱衣所をつなげ、新たな教室を作りました。
費用は200万円。
大野さんは、家族でほかに部屋を借りて引っ越すことになりました。
それでも課題は残ります。
今後、子どもがさらに増えた場合、今のスタッフでは足りなくなります。
運営費の多くは寄付などでまかなっているため、新たに雇用するのはきわめて厳しい状況です。

NPO代表 大野まつみさん
「経済的に破たんするのではないか。
もうとっくにそういう状況ですので。
なんとかやめてはいけない。
この子たちを死なせてはいけないと思い、つなげている。」

フリースクール 運営がひっ迫

高瀬
「ここからは、松山放送局の田畑記者とお伝えします。
このフリースクール、こんなにもひっ迫した状態になっているんですね。」

田畑佑典記者(松山局)
「こうした状況、実は全国でも起きるおそれがあるんです。
フリースクールの全国団体によると、通う子どもの数はここ1年ほどで2割近く増えているといいます。
規模の小さい施設も多く、自宅の一部を開放したり、マンションの一室を利用したりしています。
スタッフもボランティアに支えられているのが現状です。
取材した他の施設では、保育施設と同じように『待機』という形で受け入れを制限しているところもありました。」

和久田
「こうした状況を、何とか解決するヒントはないのでしょうか?」

田畑記者
「去年12月、不登校の子どもたちを支援する新たな法律が成立し、今月(4月)上旬には文部科学省が基本的な指針を公表しました。
この中では、自治体がフリースクールとの連携を進めることが盛り込まれています。
そのモデルケースとして注目されているのが、川崎市のフリースクールです。」

不登校の子どもたち 学びの場 どう確保

広い運動場で、のびのびと遊ぶ子どもたち。

ここは、川崎市が建設した教育施設です。
一部をフリースクールに無料で貸し出し、およそ130人が通っています。




このフリースクールの運営費は年間3,700万円余り。
川崎市が半分を負担しています。
このため、フリースクールは10人ほどのスタッフを雇用し、さまざまな年齢の子どもたちにきめ細かな対応が可能です。

保護者
「しっかり認められているところだから大丈夫というか、安心して通える。」

不登校の子どもたち 学びの場 どう確保

高瀬
「自治体が積極的に関わることでフリースクールが財政的に安定して、その分、子どもたちにサービスをということなんですね。」

田畑記者
「そうですね。
ただ、こうしたフリースクールは全国的にもかなり珍しい例です。
いじめなど、さまざまな理由で学校に通えなくなることは、どんな子どもにも起こりうることです。
自治体には、地域の実情に応じてフリースクールとの連携を具体的に進めるなど、子どもたちが通える『学校以外の場』を確保していくことが求められていると思います。」