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2017年2月19日(日)

日本から世界へ! 進化する“お米パン”

近田
「いらっしゃいませ。
焼きたてのパンはいかがでしょうか。」

小郷
「うわー!いろんなパンがありますね!」

近田
「今日(19日)は、おいしいパンを用意しました。
しかも、ただのパンじゃないんです。 これは、お米でできたパンなんですよ。」

小郷
「米粉パンですか。 いっとき、よく聞きましたよね。」

近田
「さすが、詳しいですね。
下の段が、米粉でできたパンなんですよ。
アレルギーや病気で、小麦が食べられない人たちの間で需要が高まっていて、欧米でも人気なんです。
米粉のパンだけではないんです。
上の段、これは玄米でできたパンなんです。
このフランスパンもそうですし、惣菜パン、メロンパンも玄米でできているんです。
ビタミンなどの栄養が豊富で、今、女性たちの間で大人気なんですって!」

小郷
「食べてみたい!」

近田
「進化を続ける、お米パン。
その開発の最前線を取材しました。」

進化する“お米パン” 女性に人気のワケは?

連日たくさんのお客でにぎわう、熊本県のパン屋さんです。
その、人気の秘密は?

「やっぱり素材。
玄米を使っているから。」



 

こちらのパン。
主な原料は、栄養豊富な玄米。
これまで、玄米は硬いため、加工が難しく、あまりパン作りには使われてきませんでした。

 

このパン屋では、独自の技術を開発。
玄米をペースト状にすることに初めて成功しました。

しかも、ビタミンやミネラルなどの栄養は、一般的な小麦のパンに比べ、数倍以上です。
健康や美容に敏感な女性の心をガッチリつかみました。


 

「健康によくて、おいしければ言うことないですよね。
子どもにもそっちを食べさせたいし、自分も食べるならそっちがいいなと。」


 

実は、このパン屋さん、意外な企業が運営しています。

農業機械の販売会社です。
年々、農家が減り、販売台数が落ち込む中、玄米パンで米の消費を拡大しようとしているのです。


 

農業機械販売会社 西山忠彦社長
「(農家と)共存共栄、ウィンウィンの形をどうやって築いていくか。
出口を拡大しないことには、農産もできませんので。」


 

玄米パン用の米の栽培に、積極的に取り組む農家も出ています。

農家 鏡幸一さん
「今年はペースト用米をここに、1町3反ぐらい入れようと思う。」

去年(2016年)、仲間とともに玄米パン用の米の栽培を始めた鏡さん。
今年(2017年)は、さらに面積を2倍に増やす予定です。

農家 鏡幸一さん
「新しいことにチャレンジする。 いい成績がでているから、もっと出していこうと。」

進化する“お米パン” 米粉が世界でブーム

一方、海外では今、パンやケーキの原料として、米粉が注目されています。

ドイツ西部の町に住む、ベアーテさんです。
毎日食べるパンに使っているのは、インターネットで購入した日本の米粉。


 

ベアーテさん
「とても細かく製粉されています。」



 

なぜ、小麦粉を使わないかというと、ある病気を患っているからです。

ベアーテさん
「2000年、ずっと前に撮った写真です。
この年に、私は『セリアック病』と診断されました。」


 

セリアック病とは、小腸に影響を及ぼす病気です。

小麦などに含まれるタンパク質、「グルテン」を摂取すると、小腸のじゅう毛などに炎症が生じ、栄養を十分に吸収することができなくなるのです。
ベアーテさんは一時、体重が30キロ台までに落ち込み、激しい腹痛に襲われました。

ベアーテさん
「私は完全にグルテンを断つことにしました。
よく食べる小麦のパン、ライ麦、大麦、すべてを諦めました。」

日本では、なじみの薄いセリアック病。
ドイツやイギリスでは、100人に1人にのぼると見られています。

そのため、欧米のスーパーでは、小麦粉のグルテンを含まない、「グルテンフリー商品」の売り場が充実。
その市場規模は、1兆円以上。
今後も伸び続けるとみられています。

グルテンフリー担当者
「3か月ごとに新商品が発売されます。
非常に大きな市場になっています。」


 

このグルテンフリー市場をチャンスと捉え、動き出した企業があります。
郷土菓子の「かるかん」など、和菓子用の米粉を生産する鹿児島の製粉会社です。
米の削り方や水分量などを変えることで、400種類以上の米粉を作ってきました。
しかし近年、全国的に和菓子店が減少。
会社の将来に危機感を募らせていました。
そこで始めたのが、小麦が食べられない人に向けた、パンやケーキ用の米粉の開発でした。
しかし、米粉のみでパンを作ると…。

製粉会社 開発担当 小城吉輝さん
「膨らんでいるという感じではないですよね。
(表面は)亀裂が入って割れている。」


 

実はこれまで、多くの米粉パンは、小麦や添加物を加えることで、パンを膨らませていたのです。
米粉100%でふっくらさせるには、どうしたらいいのか。
2年の歳月をかけ、改めて400種類の米粉を分析。
粘り気の強い特性を持つものを探し出し、独自のブレンドでふくらみやすい米粉を作り出しました。

製粉会社 開発担当 小城吉輝さん
「かなりハードルが高いことでしたので、どういう風にしたらいいのか、毎晩考えていた。」

去年12月。
開発担当の小城さんは、できた米粉を携え、ドイツにやってきました。
スーパーで、試食販売の機会を得たのです。

製粉会社 開発担当 小城吉輝さん
「(たくさん客が)来てくれるといいですけどね。
あいにくの雨になっているので。」
 

パン用に加え、ケーキとパイ用の米粉も用意。
多くの人の興味をひくため、伝統のドイツパン「シュトーレン」も準備しました。

「シュトーレンをいただきます。
とても素晴らしい。
伝統的な(小麦の)シュトーレンと変わらない。」


 

地元の人も大満足。
その味に驚き、次々と購入していきます。

そんな中やってきた、小さな女の子を連れたお母さん。
目新しい米粉に興味津々です。
理由は、娘のエミリアちゃんにありました。

シュテフィーさん
「娘に甘い物をすべて我慢させることは大変です。」
 

エミリアちゃんは4歳の時、「セリアック病」と診断されました。
以来、小麦を使ったパンやお菓子が食べられなくなったのです。
エミリアちゃんが心奪われたのは、ロールケーキでした。

シュテフィーさん
「娘の希望を、なんとしてもかなえてあげたいと思います。
この米粉で作ってみようと思います。
作ってみようね。」

 

家に帰った2人。
早速、ロールケーキをつくることに…。
しかし、母のシュテフィーさんは、本当にできるか半信半疑でした。

シュテフィーさん
「グルテンフリーの生地だと、うまく巻けない。
家庭で作るのは難しいと、皆言っています。」

果たして、その出来栄えは…。

娘 エミリアちゃん
「見るのがこわい。」

シュテフィーさん
「見て!」

娘 エミリアちゃん
「おいしそう!」

シュテフィーさん
「上出来だわ。
ちょっと待ってね。」

娘 エミリアちゃん
「食べちゃお。」

シュテフィーさん
「とてもよかった。
娘が、おいしいものを食べられなかったことに心を痛めていたから。」


 

現在、小城さんの米粉は、ドイツ国内170のスーパーで販売されるまでになりました。
今後は、ほかのヨーロッパの国々でも、販路を広げていこうと計画しています。

製粉会社 開発担当 小城吉輝さん
「無限大に広がっていく可能性はあると思う。
うちは米粉にこだわって、日本のいい文化とともに、世界に発信していけたらなと思っています。」


 

近田
「エミリアちゃんも食べていた、米粉で作ったロールケーキをスタジオにも用意しました。」

小郷
「味や食感が気になったんですよね。 いただきます。」

近田
「どうですか?」

小郷
「ふわふわ!
小麦粉と全然変わらないですね。
これだったら、食べられなかった人はうれしいですね。」

近田
「エミリアちゃんの笑顔も分かりますよね。
海外のグルテンフリー市場への売り込みというのは、ほかの企業も進めているんです。
熊本県や岐阜県の企業がアメリカに輸出を始めるなど、今後も増えていくと考えられています。
国も大きな期待を寄せていまして、日本産の米粉のブランド化を図るなど、輸出を後押ししていく考えです。」

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