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2017年2月5日(日)

絶品!伝統の“江戸東京野菜”

近田
「旬体感、牛田アナウンサーとお伝えします。」

牛田
「今回のテーマは『江戸東京野菜』です。
ご存じですか?」
 

近田
「聞いたことはあります。」

牛田
「現在は、かぶや小松菜、カボチャなど、45種類が作られています。」

小郷
「そんなにあるんですね。」

牛田
「江戸時代に、参勤交代でやってきた大名が持ち込んだ種が起源とも言われています。
戦後、市場から姿を消した野菜もありましたが、伝統の味を見直そうと復活が進んでいるんです。
今、旬を迎えている『大根』と『うど』を体感してきました。」

江戸東京野菜 幻の“亀戸大根”

まず訪ねたのは東京の下町、亀戸です。

牛田
「あそこに鳥居があります。
結構渋いですね、この鳥居。」


 

1,000年以上の歴史を持つ神社がありました。

牛田
「何これ、大きい。
亀戸大根の碑。」


 

その横には、あの歌川広重が描いた浮世絵が。
宝船に亀戸大根や米などをのせて神社に奉納した様子を描いたといわれています。

宮司
「大根を食べると福を授かる。
そこまで大根は江戸庶民というか、特に亀戸の人たちは亀戸大根を愛していた。」

 

お隣の江戸川区に、亀戸大根を受け継ぐ農家がいます。
木村重佳(きむら・しげよし)さんです。
10年前から生産に取り組んでいます。
普通の大根とは、ちょっと形が違うんですよ。

 

牛田
「きれいな形。
にんじんみたいですね。
白いにんじんみたい。」

江戸時代から受け継がれてきた種。
病気に弱く、とても栽培が難しいんです。

木村重佳さん
「これ白さび病、白い斑点。
耐病性がない。」


 

牛田
「栽培しがいはありますか?」

木村重佳さん
「それを栽培しがいといえば、栽培しがいはありますね。
要するに面倒くさいんです。」

木村重佳さん
「ちょっと暑い。
(ハウスを)開けます。」

木村さんは、病気を防ぐために換気をこまめに行い、温度や湿度の調節に気を配っていました。
こうした絶え間ない努力が、亀戸大根を育むんです。
そんな亀戸大根の最大の特徴はというと…。
すり下ろしてみると分かります。

水分が少ないんですよ。
これが大根本来の歯ごたえのある食感を生み出すそうなんです。

亀戸大根を堪能できる、おすすめの食べ方は、定番の「おでん」。
寒い冬には最高ですよね。
繊維質が豊富なため、どんなに煮込んでも煮崩れしづらいんです。

牛田
「シャキシャキします。
本当に実が詰まっていて、煮込まれているのに食感が残っているのが新鮮ですね。」

木村重佳さん
「ぐにゃっとこないですよね。
新食感じゃないですか、大根的には。」

牛田
「おでんの大根って、こんな感じじゃないですよね。
すごくおいしいです。」

木村さんの亀戸大根。
和食やフレンチの料理人が買い求めに集まってきます。



 

日本料理店 店主 佐藤勝彦さん
「一つ一つを丁寧に作るというところで、生産者として非常にすぐれた能力を持っている。」


 

木村重佳さん
「ありがとうございます。
ダメなやつだなあといわれたら。」

実は、木村さん。
農業のかたわら、作家としても活動しているんです。

今、新たに執筆しているのは、亀戸大根をテーマにした小説です。
農家の青年が亀戸大根を通して、伝統を守ることの大切さに気づくストーリーです。

木村重佳さん
「味わって食べて知ってもらうのと、読んで知ってもらうのと、両方から(亀戸大根を)知ってもらえれば。」

江戸東京野菜 純白の“東京うど”

江戸東京野菜の旬をめぐる旅。
続いて、やってきたのは東京の西部、立川市です。

牛田
「『東京うど』、特産品ですって。」



 

駅からバスで15分ほどの、うど農園。
うど作り50年のベテラン、須崎雅義(すざき・まさよし)さんです。



 

牛田
「これがうどですか?」

須崎雅義さん
「うどの根株なんです。
この根を伸ばしたのが、うどなんです。」

出荷する、うどがあるのは別の場所とのこと。

牛田
「布がかぶっていますね。」

須崎雅義さん
「これが“うど穴”の入り口。」

 

現れたのは、真っ暗な穴。
この先に、うどが…。

牛田
「カメラを装着しました。」



 

須崎雅義さん
「はしご外れることはないから。」

牛田
「ちょっと中は暖かいです。」

もぐること3メートル。
ようやく穴の底にたどり着きました。

牛田
「暗い真っ暗。
何にも見えません。」

ライトをつけると…。
 

牛田
「すごい、いっぱいありますね。」

現れたのは、真っ白なうど。
畑で育てた根株を地中に埋めて、1ヶ月で70センチほどの大きさになるんだそうです。
“室(むろ)”と呼ばれる、こちらの穴蔵。
四方に、およそ1,600本のうどが植えられています。

日の当たらない地下で育てると、こうした透き通るような白さになるんです。

須崎雅義さん
「色が白くて肌もきれいで、スタイルもよくて、背も高からず低からずがいい。
まるで、あたしみたい?」

取れたての、うどを食べさせてもらいました。

牛田
「みずみずしい、切り口が。
鼻から抜けるさわやかな香りとほろ苦さ。
おいしいですね。」

 

江戸時代に尾張から伝わり、高級品として珍重されてきた、うど。
地下での栽培が始まったのは、太平洋戦争がきっかけでした。

須崎雅義さん
「戦争中にうどを作ると、非国民だと言われたらしいんですよ。
食料難でしょう。
うど食べても腹の足しにならない。
“嗜好(しこう)品”だから。
見つからないようにひっそりと、こういう穴で作ったら、たまたまうまくいった。」

戦後のうど栽培をけん引してきた須崎さん。
70歳を超え、最近体力の衰えが隠せなくなってきました。

須崎雅義さん
「南(の穴)やんべや。」

長男 彦義さん
「わかってるよ。」

今、新たな担い手として期待しているのが、長男の彦義(ひこよし)さんです。
大学の農学部を卒業して、父の後を継ぎました。
伝統の味を守ろうと二人三脚で、うど作りに励んでいます。

 

牛田
「(父)雅義さんの存在は大きいですか?」

長男 彦義さん
「うどにかける情熱は、すごいですよね。
自分も負けないように良いもの作ろうと、一所懸命やっちゃいますけど。」
 

須崎雅義さん
「あと俺もいく年頑張れるか分からないけど、安心して天国へ行けるでしょ。
あとはせがれに任せればいいよ。」

須崎さんの家では、うどを様々な料理に取り入れています。

妻 恒子さん
「まあまあだと思います。」

和洋中、何にでも合うんですよ。

 

皮のきんぴらに、左はマリネ。




 

中でもおすすめは、豚肉などと炒めた「うどの卵とじ」です。

牛田
「おいしい。
甘みと苦みが混在している。
本当にどんな料理でも合いますね。」

子どもたちも、うどが大好き。

長男 彦義さん
「せっかく作ってくれた物を食べてくれるのは嬉しいですけどね。」


 

孫 陽菜さん
「一番好きなの『酢みそあえ』。」



 

牛田
「いいですね。
ご家族でお子さんも含めて、みんなが(うどが)好きだって。」

須崎雅義さん
「みんなで一所懸命仲良くね。
苦労を分かち合いながらも、頑張っていかなきゃと思う。」

長男 彦義さん
「もし可能なら、そのバトンをまたつなげたらいい。
子どもがでかくなるまで、それまで頑張んないとね。」


 

江戸東京野菜。
伝統を守り続ける農家のひたむさに触れた旅でした。
 

小郷
「東京にいても、なかなか食べたことがなかったんですけれども、独特な味わい、食べてみたくなりましたね。」

近田
「これは、どこに行けば食べられるんですか?」

牛田
「ものによっては、地元の直売所で買うことができるものもあるということです。」

近田
「現地に足を運ぶと。」

牛田
「江戸東京野菜の普及を進める団体では、3年後の東京オリンピックの会場や選手村などで提供することを目指しているということです。」