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2016年12月5日(月)

先人の思いを胸に“女性の声を政治に”

来月(1月)公開の映画「未来を花束にして」。

“女性に参政権を!
今こそ行動を。”

舞台は、20世紀初頭のイギリス。
新たな人生を生きるため、参政権を求めて戦った女性たちの物語です。
映画の中で女性たちに大きな影響を与えるのが、メリル・ストリープ演じる、エメリン・パンクハーストです。

“将来生まれる少女が、兄や弟と同じ機会を持てる、そんな時代のために闘うのです。”

エメリンは、実在の人物。
女性参政権運動のカリスマ的リーダーでした。

先週、そのひ孫にあたる女性が来日しました。
エメリンの志を引き継ぎ、女性の地位向上に向けて活動している、ヘレン・パンクハーストさん。
ヘレンさんの日本へのメッセージとは。

 

和久田
「女性が職場や家庭で十分な権利を認められず、厳しい状況に置かれていた100年前のイギリス。
そうした社会を変えようと、ときに過激な運動で訴えたのがエメリン・パンクハーストです。
女性の参政権獲得に大きな役割を果たしました。」

阿部
「そのひ孫にあたるヘレン・パンクハーストさん。
NPO法人の代表も務め、家庭内暴力や貧困など、現代の女性が直面する問題に取り組んでいます。」

和久田
「エメリンの思いを受け継ぎ活動するヘレンさんは、今の日本を見て、どのように感じたのでしょうか。」

先人の思いを胸に “女性の声を政治へ”

リポート:相澤祐子(政治部)

映画の公開に先立って来日したヘレン・パンクハーストさん。
女性の声をもっと政治に反映させることが日本でも重要だと考えています。

ヘレン・パンクハーストさん
「男性と女性の間にある不平等を解消するには政治が最も大切です。
そのための鍵となるのが、女性の政治参加です。」


 

日本で、女性に参政権が認められたのは終戦直後のことです。
初めての衆議院選挙で選ばれた女性議員は39人。
全体の8%でした。


 

それから70年。
衆議院で女性議員が占める割合は9%。
世界の国会議員の交流を推進する団体の調べによると、世界193か国のうち156位。
先進国の中では最下位です。
日本は一歩踏み出さなければならない。

ヘレンさんは、女性議員を増やす活動に取り組む、超党派の議員連盟と意見交換を行いました。



 

議員連盟では去年(2015年)、新たな法案をまとめました。
国政選挙や地方議会選挙での立候補者の数をできる限り、男女同じにするよう、政党に努力義務を課す法案です。
しかし、その審議は始まっていません。
ヘレンさんは、女性議員が増えることで社会に大きな変化をもたらすことができると訴えました。
 

ヘレン・パンクハーストさん
「女性議員が増えれば教育分野の予算が増えることは証明済みです。
たとえばインフラ整備でいいますと、男性は鉄道や建物を思い浮かべがちですが、女性は教育などの社会的なインフラを想像します。
保育所や学校、健康保険など、社会的なインフラが整備されていけば、女性にとって環境が整い、より多くの女性が立候補するでしょう。」

男性社会の厚い壁をどう突き破るのか。
映画では、厳しい弾圧や妨害の中、立ち上がる女性たちの姿が描かれています。

“女性に参政権を!”

ときに過激に。
そして、ときには命をかけて社会のあり方を変えようとしたのです。

“あきらめず、闘い続けて。”

今の若い世代にも、先人たちの思いを受け止めてほしい。
ヘレンさんが訪れたのは都内の高校です。

ヘレン・パンクハーストさん
「みなさんと議論できるのを楽しみにしてきました。」

生徒たちに男女の違いや役割で、先入観を持っていないか問いかけました。

高校生
「一人一人の意識のなかに差別がまだ残っていることを感じる。
男女が完全に一緒の存在であるわけではないのが難しいところ。
女性しか子どもを産むことができないとか、体力的な差とか。」

高校生
「家庭の大黒柱は男であるべきだし、役割として『女の人は家事、男の人は仕事』というイメージが、今の私にもあることはある。」

若い世代にも残る固定観念。
ヘレンさんはそうしたものを取り払い、社会を変えていってほしいと訴えました。

ヘレン・パンクハーストさん
「大切なことが3つあります。
1つは、法律は変えられるということ。
2つめは、男性も女性も尊重される社会に変えていくこと。
3つめは、みなさんが映画の登場人物のように声を上げることです。」

(映画のワンシーン)
“あなたにとって選挙権とは?”

“ないと思ってたので、意見もありません。
もしかしたら、他の生き方があるのではないかと。”

高校生
「女性たちの活躍が社会を変えていったということにすごく感銘を受けて、『自分なんか』と思わずに『自分がいれば何かが変わるかもしれない』と自信をもって生きていくことが必要かなと思いました。」

ヘレンさんには、日本でどうしても訪れたい場所がありました。
日本で女性参政権運動に取り組んだ市川房枝の記念館です。
イギリスの参政権運動に強い影響を受けた市川房枝。


 

イギリスを訪問した際、エメリン・パンクハーストをモデルにした人形を手に入れ、亡くなるまで大切にしていたといいます。
100年前、権利を求めて立ち上がった女性たち。
その思いを1人でも多くの人に知ってほしいと考えています。

ヘレン・パンクハーストさん
「先人たちは勇気を振り絞って、私たちが生きやすい環境を作ってくれました。
だからこそ、今の状況に甘んじることなく、歴史を作っていかなければならないのです。
日本がこの分野で前進すれば、さらに豊かに、より民主的で暮らしやすい国になるでしょう。」

“女性の声を政治に” 取り組みは

阿部
「スタジオには、政治部の相澤祐子記者です。
ヘレンさんの話は、女性の政治参加について改めて考えさせられる内容ですね。」

相澤祐子記者(政治部)
「日本でも、女性が参政権を得て、今年(2016年)でちょうど70年になるわけですが、社会の多様な意見を政治に反映させる上で、女性、そして若者の政治参加は課題になっています。



世界を見てみますと、女性議員を増やすために議会に女性枠を設けたり、政党に女性の候補者を一定の割合以上、立候補させることを義務づけたりするなど、何らかの制度を設けている国もあるんです。
こうした国は、選挙制度などの調査を行う国際機関などのまとめによりますと、3年前の時点で、フランスや韓国など、85の国と地域にのぼっています。」

和久田
「先ほどのリポートにありましたが、日本では、女性議員を増やすための制度を作るのは簡単ではなさそうですね。」

相澤記者
「国会では、制度を作ることは『女性を優遇することになり、逆差別になる』などと慎重な意見も根強く、各党の調整はなかなか進んでいません。

ヘレンさんは、男性の意識の変化が必要だとしていますが、『女性はこうあるべきだ』という女性自らの意識が、政治の世界への進出を阻んできた面もあると指摘しています。
また、ヘレンさんは『法律は、声を上げる人によって作られている』とも話しています。
政治に多様な声を反映させるために、どうすればいいのか。
性別にかかわらず、あらためて、私たちひとりひとりに問われていると思います。」

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