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2016年11月30日(水)

広がる“イクメンブルー”

阿部
「今、悩めるパパが増えています。」

休日の公園。
子どもを連れているのは、パパ、パパ、パパ!



今や、仕事だけでなく、積極的に家事や育児に関わる「イクメン」がすっかり浸透しています。

妻 彩恵さん
「すご~い。」




望月辰哉さん
「昔ながらの父親っていうタイプじゃないので、全然苦じゃないよって感じで。」




 

一方で、長時間労働など働き方が変わらない中で、仕事と家庭の両立に悩み、メンタルの不調に陥る人もいることが分かってきました。

育児中にうつ病になった男性
「負荷が多すぎる、やることが多すぎる。
“イクメン”はすごくプレッシャーのあることば。
なんでもできないといけないと暗に言われているような。」


 

阿部
「こちらをご覧ください。

民間の研究所が20~40代の父親、およそ1,000人を対象に行った調査によると、『仕事と育児の両立は必要だ』と答えた割合は8割に上ります。
仕事だけでなく、家事や育児も担いたいという意識は男性に浸透してきているようです。」

和久田
「また、フルタイムで働く妻が増える中で、家事・育児の担い手として夫への期待も高まっています。
しかし実際は、理想と現実のギャップに苦しみ、うつ病などの心の不調、いわば“イクメンブルー”に陥る父親が少なくないことが分かってきました。」

“イクメン”たちの新たな危機

リポート:三木佳世子(おはよう日本)

子どもが生まれたあとに、うつ病になった男性です。
共働きのため、保育園への送り迎えや掃除・洗濯などを夫婦で分担していました。



 

育児中にうつ病になった男性
「自分は子どもが生まれたときからちゃんと関わっていきたい。
気持ちとしてはあった。」

しかし、男性が育児を担うことに、職場の理解は得られませんでした。

育児中にうつ病になった男性
「子どもが熱を出したり体調が悪いとき、保育園の迎えに行ったり、それが続いたりすると、奥さんができないのかとか言われたり。」


残業で疲れて帰っても、休む暇はありません。

夜中までかかって、残った家事を片づけることもしばしばでした。





しかし、フルタイムで働く妻にも余裕がなく、もっと多くの家事育児を担ってほしいと求められ、男性は追い詰められていきました。




 

育児中にうつ病になった男性
「いちばん大変なのは妻かもしれないので、妻にぶつけるということもしてはいけない。
自分が頑張らなくては。
つらいと言えず、ため込んだ。」

 

夜眠れなくなり、心療内科を受診。
うつ病と診断され、休職せざるを得ませんでした。
こうした父親の心の不調は、医療現場でも問題視され始めています。



今月(11月)、東京で助産師を対象にした講習会が開かれました。
父親のメンタルヘルスを研究している、竹原健二さんです。

国立成育医療研究センター 竹原健二さん
「お父さん、もっと(妻を)サポートしてあげてねと言われるのがつらいという話を聞く。」



 

父親になった男性のうち、子どもが生まれて3か月までの間にうつの傾向を示した人は16.7%という調査結果を報告。
支援を呼びかけました。

国立成育医療研究センター 竹原健二さん
「ママの産後、うつはとても大きな問題。
それと同じくらいの頻度で、お父さんもそう判定される。
そういったことが一切知られていない。
ママのそばに寄りそうだけでなく、パパのそばにも一緒に寄り添うといい。」

仕事と家庭の両立に悩み、孤立する父親たち。
専門家は、家族の形が変わる一方で、社会の理解が追いついていないことが背景にあると指摘します。

武蔵大学 社会学部 田中俊之教授
「男性が仕事をセーブすることが社会的に整っていない中で育児をするというプレッシャーがかかれば、そこには大きな矛盾が生じるので、悩みが深まることは当然起きて、まじめに働いてまじめに育児もやろうとする、生真面目な人ほど疲弊してしまう。」

どう防ぐ “イクメンブルー”

どうすれば“イクメンブルー”を防げるのか。

メンタルの不調を乗り越えた、望月辰哉(もちづき・たつや)さんです。
原因は、家事や育児の方法を巡って、妻との衝突が絶えなくなったことでした。



 

妻 彩恵さん
「夫は夫なりに子どもを育てているつもりでも、私の子育てのスピードとずれる。
出来て当たり前というのを、当時は押しつけていたのかな。」

望月辰哉さん
「涙が止まらなくなってしまって、感情をぶつける先がない状況だったので、物に当たったりとか。」



 

望月さんの支えになったのが、近所のパパたちとのつながりです。
家事育児のやり方や、妻には言いづらい悩みも相談できます。

望月辰哉さん
「あるじゃないですか、こだわり。
(洗濯物の)たたみ方とか干し方とか、柔軟剤を入れるタイミング。
ここはきっぱり、妻が選択で、料理は自分でと線引きできている。」

こうした「パパ友」を作ったことで、心に余裕が出てきたといいます。

望月辰哉さん
「“うちだけじゃない”と、ちょっと気が楽になった。」

「パパも徒党を組まないと。」

「“みんなパパが言っているぞ”と。」

子どもが生まれる前から、夫婦で予防しようという取り組みも始まっています。

神奈川県大和市の「プレ・イクメン講座」です。

出産育児で負担が増える妻に、夫が悩みを打ち明けにくい傾向があることを知ってもらおうと開きました。




 

講師 柳田正芳さん
「子どもが生まれると、夫婦2人で暮らしていた時と同じような時間の使い方は無理。
ゆっくり話をしないと、だんだん相手の考えが分からなくなる。
苦しい感じになります、暮らしていても。」

 

夫婦が互いに感じていることや望んでいることを紙に書き出し、話し合います。


「だってあまり言ってくれないじゃん。」


「遠慮しているんだよ。」


「何でも言ってほしい。」

こうした作業を通じて、夫婦のコミュニケーション力を高め、深刻な事態に陥るのを防ぎたいと考えています。

参加した男性
「自分の心配とか不満とか、口に出して言ったほうが伝わっていい。」



 

大和市役所 母子保健担当 大澤美穂子さん
「お互いがお互いの思いをいたわり合いながらことばにするという体験を、ワークショップを通じて知っていただく。
知っているのと知らないのとでは雲泥の差がある。
(子どもが生まれる前が)よい時期だと思っています。」

 
 

阿部
「“イクメン”が増えることはとてもいいことだと思いますが、同時に、こうした悩みを抱える人も増えていくということなんですね。」

和久田
「そうした悩みを生まないためにも夫婦が感謝しあいながら、お互いの気持ちを理解することが大切なんですね。」

阿部
「そもそも子育ては、人生を豊かにするものです。
そのために、社会全体の理解や仕組みづくりが求められています。」

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