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2016年11月25日(金)

日本発“ムスリムファッション”最前線

阿部
「今、あるファッションに世界が注目しています。」

今週、東京で開かれたファッションショー。
ランウェイに登場したのは、イスラム教を信仰する国々の最新ファッションです。
肌の露出を抑えた、エレガントで洗練されたデザイン。
“ムスリムファッション”と呼ばれています。


「モダンでエレガントで、すてきでした。」


「おしゃれで、びっくりしました。」



 

世界の名だたるブランドも次々とコレクションを発表するなど、“ムスリムファッション”は今、大きな注目を集めています。

世界に16億人といわれるイスラム教徒。
巨大市場への期待が高まる中、ムスリムファッションの最前線に迫ります。

阿部
「こちらのように、全身や顔のほとんどを黒い布で覆う装いから…。




こちらは、東南アジアで多く見られる比較的華やかなものまで、“ムスリムファッション”のスタイルは国や地域によってさまざまです。」



 

和久田
「その大きな特徴は、肌を露出しないこと。
頭には、ヒジャブと呼ばれるスカーフ。
そして着るものも、体のラインを強調しない、足元まですっぽりと隠れるものが着用されています。」

阿部
「イスラム教徒の多いインドネシアやマレーシアなどの国々の経済発展もあって、急成長しているムスリムファッション市場。
日本からも熱い視線が注がれています。」

“ムスリムファッション” 日本人デザイナーの挑戦

デザイナーの井上里英香(いのうえ・りえか)さんです。
ムスリムファッションの将来性に注目し、1年前からヒジャブなどのデザインを手がけるようになりました。




きっかけは、出張で東南アジアの国々を訪れたとき。
戒律を守りながらおしゃれを楽しむ女性たちの姿に、大きな刺激をうけたといいます。

デザイナー 井上里英香さん
「黒い体を覆う服を着なければならない人たちだという知識しかなかった。
思い思いのヒジャブをつけて、ファッションの一部に。
制限の中で最大限楽しんでいるのがムスリムファッション。
すごく感銘を受けた。」

 

井上さんがデザインした作品です。
日本でも流行のワイドなパンツに、スタイリッシュなジャケット。

ヒジャブにはレースのアクセントを添えました。
制約も多いムスリムファッションですが、日本人女性の価値観に通じるものがあると感じています。

デザイナー 井上里英香さん
「肌を見せないことが上品という価値観。
日本の方も、誰もが肌をばんばん見せたいわけじゃない。
日本でも受け入れられると思うんです。」

井上さんは今、日本人にも着てもらえる、新たな“ムスリムファッション”に挑戦しています。

ファッションショーで紹介したこちらのデザイン。
一見、シックな印象ですが、ジャケットを脱げばご覧の通り。
モードな装いへと変身します。
ファッションショーでも評判となりました。

デザイナー 井上里英香さん
「女性が服を着てきれいになりたいという気持ちは一緒だと思う。
共通のものが着られるという概念を、もっと強く発信していけたらと思います。」

“ムスリムファッション” 地方発アイディア商品

日本ならではの工夫をこらした商品開発も、地方を舞台にはじまっています。

福島県白河市で、ヒジャブを製作する会社を起業した名和淳子(なわ・じゅんこ)さんです。
市場の大きさやライバル企業が少ないことに着目し、主婦仲間に声をかけ、会社をたちあげました。



こちらは、子育ての経験をいかして開発した“インスタントヒジャブ”です。
 

通常のヒジャブでは、何か所もピンで留めなければならず、装着に手間がかかりましたが…。
 

インスタントヒジャブなら、かぶるだけ。
育児や家事に忙しい女性のためにつくりました。

名和淳子さん
「育児中のお母さんって時短ですよね。
早くしたい、忙しいときに(使ってほしい)。」


 

仕事をきっかけに、イスラム教の女性たちとの交流も始まっています。
インドネシア出身のアスリーさんです。



 

日本人と結婚し、来日して16年になるアスリーさんですが、今も気になるのが、周囲からの視線だといいます。

インドネシア出身 アスリーさん
「周りに(ヒジャブをつけてる人が)いないから、やめたほうがいいとよくいわれます。
授業参観に行っても、子どもからママが一番目立つからヒジャブつけないでと言われたことがあります。」

 

ヒジャブをもっと親しみやすいものにしたいと、一緒に新しい柄を検討することになりました。

インドネシア出身 アスリーさん
「真っ黒のヒジャブだと、日本では怖いイメージがある。」


 

候補にあがったのは「花柄」。
アスリーさんによれば、こうした華やかな柄を身につける人も増えているといいます。



 

インドネシア出身 アスリーさん
「きれいな色ですね。
花ならいいです。
特に日本の花は有名。
桜とか、もみじもいいと思う。」

名和淳子さん
「四季があるのは日本の特徴。
それを出すのもおもしろい。」

インドネシア出身 アスリーさん
「(名和さんの)ヒジャブ作りは希望であり光。
見られても、これファッションだからって思えるようになればいいと思う。」


 

ムスリムファッションをきっかけに生まれた交流。
名和さんは今後も、こうした声に耳を傾けていきたいと思っています。

名和淳子さん
「イスラムの方の思いや、最終的にヒジャブを使う人の気持ちが大事だと思う。
実際に話して分かることが非常に多いと思うので、こういう場が事業を通してもっとできたらいいと思います。」



 

阿部
「イスラム教徒の女性というと、黒を基調にしたおさえめな服という印象を持っていたんですが、ファッションショーの衣装は華やかでしたね。」

和久田
「すぐにつけられる“インスタントヒジャブ”もアイディアが光っていましたね。
福島県の名和さんがつくっているヒジャブは、インターネットやモスクなどで売られていて、今後は子ども向けのムスリムファッションにも力を入れていきたいということです。」