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2016年10月28日(金)

始まった“羽毛”のリサイクル

阿部
「秋も深まり、街ではコート姿など冬の装いを見かけるようになってきました。
ファッションの世界での新たな動きです。」
 

若者の街、東京・原宿。
ここに先週、新しいファッションの店がオープンしました。

捨てられた車のエアバッグから作られたカバン。




 

こちらのジャンパーは、使わなくなった漁業用の網から作られています。
今、環境に配慮した商品がファッションの世界に次々と登場しています。


「すごい、いいですよね。
こんなによく生まれ変わるって、すごい。」


「『地球にいいことしているな』というのもあるけれど、人と違うところがあって、おもしろい。」

阿部
「流行の服を大量に安く販売する、いわゆる『ファストファッション』が人気を集める一方で、若者を中心に今、環境に優しいファッションが注目されています。
その1つが『リサイクルした羽毛』を使った洋服です。」

和久田
「軽くて温かいことから、布団や洋服に使われる羽毛。
もともと食肉用に処理されたアヒルやガチョウの副産物として利用されてきました。
しかし今、異変が起きていると指摘されています。」

“羽毛に異変” 海外での指摘

海外の動物愛護団体が中国で撮影したとする映像です。
羽毛を大量に生産しようと、生きたまま羽をむしり取る悪質な農場が一部で存在すると指摘しています。


 

今、欧米では羽毛の生産のあり方に関心が高まっています。
新興国の経済発展に伴い、世界的に羽毛需要が増加。
需要と供給のバランスにひずみが生じていると懸念されているからです。

始まった羽毛リサイクル

こうした現状に、世界のファッション業界も動き出しました。
アメリカのアウトドアファッションのメーカーです。
今シーズンから、欧米や日本を含むアジアなどで、リサイクルした羽毛を使った製品を売り始めました。

中の羽毛は、フランスの工場で再生した100%リサイクル品です。




 

パタゴニア 製品開発担当 マーク・リトルさん
「将来への影響を考えずに、ただ消費と廃棄を今後も続けていけば、わずか10年後でさえ、どうなっているか分からない。
リサイクルダウンは社会に変化をもたらす1つの方法。」

 

日本でも、羽毛をリサイクルする取り組みが始まっています。
去年(2015年)、アパレルメーカーや商社などが連携して立ち上げた「グリーンダウンプロジェクト」。
現在、25の企業や団体が参加しています。

代表の長井一浩さんです。
一企業だけで行うことが難しい羽毛のリサイクルを共同で進めようと呼びかけました。

まず、参加企業の店頭で使わなくなったダウンジャケットなどを回収します。
各企業で集めた羽毛は、三重県にある工場へ。


 

一つ一つ解体して、中の羽毛を取り出します。




 

独自に開発した技術で汚れを取り除いた上で、新たな製品に再利用します。



 

リサイクルしたダウンであることを示す共通のラベルをつけ、現在4社で販売が始まっています。



 

グリーンダウンプロジェクト 理事長 長井一浩さん
「羽毛製品を取り扱っている企業や関係者も含めて一緒になって、売りっぱなしではなく、きちんと回収もして循環資源として使っていこう。
羽毛は捨てるのではなくて循環資源、ペットボトルやアルミ缶のような。
そういった社会を作っていきたい。」

羽毛リサイクル 広げるには

百貨店などでの販売を手掛けるダウン専門のブランドです。
去年からこのプロジェクトに参加していますが、リサイクルを定着させる難しさを感じています。
羽毛が再利用できることがあまり知られていないため、回収が思うように進まないのです。

去年、回収を呼びかけましたが、集まったのはわずか30着でした。




 

パブリックスペース 社長 永嶌大輔さん
「(羽毛製品を)持ってきたお客様には、例えばクーポン券を出すとか、いろんな企画もやったんですけど、なかなか広がっていかないと感じている。」

 

そこで、プロジェクトでは山口県で新たな試みを始めました。
アパレルの店だけでなく、地域で広く洋服や布団を回収しようというのです。
住宅街にあるクリーニング店や羽毛布団を扱う寝具店などを中心に、県内47箇所で回収できるようにしました。

さらに、今月(10月)から自治体も参加しています。
ゴミとして持ち込まれた羽毛製品もリサイクルに回す仕組みを整えました。

「これもダウン。
よろしく!」

「ありがとうございます。」

 

グリーンダウンプロジェクト 理事長 長井一浩さん
「『この仕組みだったらうちでもできるね』というのものを1つでも多く発信していくことによって、回収はより進んでいくのかなと思う。」


 

企業の環境への取り組みに詳しい専門家は、ファッションに使う資源の再利用を広げていく必要があると指摘しています。

大和総研 主席研究員 河口真理子さん
「いろいろな分野で有限な使い方、サステナブル(持続可能)に物をどう使っていけばいいのかを、消費者も生産者もみんな考えていかなければいけない時代になってきている。
(服のリサイクルが)消費者の間でどんどん広がって、また企業がそういうビジネスモデルを追究するというふうになっていくと、良い循環ができるかと思う。」

ファッション 広がるリサイクル

阿部
「この羽毛をリサイクルした製品は、再生するコストがかかるために新品のものより値段が高くなることもありますが、環境への配慮には高い価値があると考える消費者も少なくないと見られています。」

和久田
「天然の素材をリサイクルする動きは、コットンやウール、カシミヤなどでも始まっています。

また、ほかにも、使用しなくなった服を染め直して新たな服に生まれ変わらせる取り組み。



 

製造の過程で捨てられていたデニムの生地からエプロンやバッグを作り布を無駄にしない取り組み。



 

それから、破れた服などを修理して使う『リペア』と呼ばれるサービスも盛んになってきています。」

阿部
「これから自分の服を選ぶときに、少し立ち止まって考えてみるのもいいかもしれません。」