これまでの放送

2016年9月13日(火)

台風10号で“北海道産”は今…

阿部
「台風10号、北海道でも甚大な被害が出ています。
大きな打撃を受けているのが、『農作物』です。」

和久田
「私たちの食卓にもおなじみの、じゃがいも・たまねぎ・にんじん、そしてとうもろこし。
こうした農作物の生産量日本一を誇るのが、北海道です。」

阿部
「収穫の最盛期を迎えた農業王国・北海道を襲った記録的な大雨。
消費地への影響と、生産地の今を取材しました。」

台風10号から2週間 “北海道産”への影響は…

都内にあるスーパーです。
安さを売りにしているこの店ですが、この10日余り、北海道産の野菜が値上がりしています。




にんじんは例年のおよそ2倍。

だいこん、そしてじゃがいもは1.3倍です。




 


「高いですね。
なるべく買わない感じで、ほかの物で代用してやってます。」


 

台風による農作物への被害が伝えられる中、品薄感や先行きへの不安が仕入れ値を押し上げているとみています。

新妻洋三社長
「北海道というのが痛いですね。
どんな状態なのか正しく知りたい。」


 

影響は加工食品にも…。

産地直送の食品などを宅配している生活協同組合です。
この2週間、情報収集に追われています。



 

パルシステム 生活協同組合連合会 渋澤温之常務
「雨ひどかったでしょ。
どうその後、産地の状況は?
午前中、降ってる?
日が出ないかぎりダメだね。」
 

影響が心配されているのは、こちらの商品。
じゃがいもやにんじん、かぼちゃを使った「離乳食」です。

原料は北海道産にこだわってきました。
その安心感がうけ、年間30万食を売り上げる人気商品です。
しかし、今年(2016年)はもともと収穫量が少ないことに加え、台風でかぼちゃなどの収穫が遅れ、来月(10月)以降の供給が滞るおそれが出ています。

 

パルシステム 生活協同組合連合会 渋澤温之常務
「非常に売れている商品なんですが、このあとの配置(供給)が本当にやれるかどうか、今、見通しがなかなかついていない。」

台風10号から2週間 北海道の生産地は今

リポート:鈴木啓太記者(帯広局)

消費地に不安が広がる中、生産地は今どうなっているのか。
被害を受けた地域では、台風後も断続的に降り続いた雨が、ここ数日、おさまりました。




大型機械を使った収穫作業も、ようやく始まっています。
しかし、天候の回復とともに、被害の実態も明らかになってきました。

北海道芽室町の農家、瀬川幹生さんです。




 

農家 瀬川幹生さん
「これ、立ってるところなんですけど。」
 

近くを流れる芽室川が氾濫。
濁流が、収穫を目前にした畑をのみ込みました。
 

農家 瀬川幹生さん
「すごい勢いで川がブワーと、見える範囲、全部川になっててですね。
川にさらわれたというか。」


 

さらに衝撃を受けたのが、この水が引いたあとでした。
変わり果てた畑の姿を目にしたのです。

川から大量の砂が流れ込み、一面を覆っていました。
場所によっては、1メートルを超える砂が積もっていました。
35ヘクタールの農地のうち、じゃがいも畑・8ヘクタールが被害をうけました。

農家 瀬川幹生さん
「見た時はすごい無残な姿で、ショックで、このあとどうしたらいんだろうって。
もう全然やりきれない感じですね。
言葉にならないというか。」

 

台風10号による北海道の農地の被害は、これまでにわかっているだけで1万2,000ヘクタールに上っています。
影響は今年の収穫にとどまらず、長期化する懸念も出ています。




巨大な流木が流れ込んだこの場所は、台風の前まで畑でした。
農家の梶沢幸治さんです。
濁流で、畑の一角が土ごと流されました。


 

農家 梶沢幸治さん
「もともとこれだけの土壌があった。
今回の雨で川に流された。」

残された畑も水につかりました。

育てていたのは、来年(2017年)の作付けに欠かせない種イモ。
地域の農家が、来年春に植えるためのものです。
水に長くつかったことで、一部が腐っていました。


 

農家 梶沢幸治さん
「もう何もない状態。
畑全体でこういうか所がたくさんありますから、本当にどれぐらい製品として出せるか。
来年度のジャガイモをまく農家さんの種が供給できないという不安、危惧している。」

 

さらに梶沢さんが心配しているのが、台風の影響で小麦の種まきが遅れていることです。




 

梶沢さんは、安定的な生産を行うために、じゃがいものほかにも、小麦やビートなど毎年違った作物を育てています。
この地域で盛んな「輪作」です。
収穫が遅れると、来年以降のほかの作物に影響がでかねません。
遅くとも来月初めまでにはまかなければならない小麦ですが、見通しは立っていません。

農家 梶沢幸治さん
「来年、再来年、そのあとにつながっていく深刻な問題なんです。
そこはやっぱり心配ですね。」


 

台風10号による記録的な大雨から2週間。
消費地への影響が懸念される中、生産地では試練の秋を迎えています。

深刻な被害 その全容は

阿部
「取材にあたった帯広放送局の鈴木記者です。
もともと畑があったとは思えないような状況になっていて、深刻な被害が出ていましたね。
影響はどこまで広がるのでしょうか?」

鈴木
「北海道は8月以降、台風10号を含めて相次いで4つの台風に見舞われ、これまでに分かっているだけで、農地の被害は全体で2万4,000ヘクタール、金額にして340億円余りに上っています。
収穫量が大きく落ち込むのではないかという懸念から、消費地では野菜の価格が上がっています。

では実際の収穫はどうかというと、北海道では、ここ数日、ようやく天候が回復しました。





被害が少なかった畑で、遅れていた農作物の収穫が急ピッチで進められています。
ただ、依然、畑がぬかるんでいて収穫できない場所があるほか、実際に収穫をしてみて初めて、作物の傷み具合が分かるということもあり、どの程度収穫量が確保できるか、はっきりとしていません。
野菜の価格が落ち着くかどうかは、収穫量次第だと言えます。」

長期化への懸念 問われる対応

和久田
「来年以降の作付けまで不安の声が出ていましたよね。」

鈴木
「その点が非常に大きい問題です。

今回、川からあふれた濁流で、土が流されたり、土砂や流木が入り込んだりといった被害が多く出ました。
農地をどう元に戻していくのか。
現場では、個々の農家の努力だけではとても追い付かないという声も聞かれます。
北海道は冬になると雪でさまざまな作業が滞るだけに、公的な支援も含めて、一刻も早い対応が必要です。

ただ、土を元に戻しても、豊かな農地にしていくには10年以上かかるとも言われています。
北海道に残された台風の爪痕は、農家、そして食卓に長く影響を残すことも考えられます。」