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2016年9月5日(月)

こんなところでも ○○放題

この夏、ネット通販大手が始めた新たなサービス。

「200タイトルの電子雑誌が読み放題。」



 

月々決まった金額で、週刊誌など200誌以上を読むことができる、読み放題のサービスです。
飲み放題や食べ放題でおなじみの「定額制サービス」。
今や、電子書籍に加え、映画やドラマの見放題など、さまざまな分野に広がっています。



さらには、こんなところでも。
その驚きの最前線とは?



 

阿部
「食べ放題や飲み放題と聞くと、何か得したような気もするんですよね。」

和久田
「料金が決まっていると、安心感もありますよね。」

阿部
「こうした『定額制サービス』。
消費が伸び悩む中、新たな分野でも有望なビジネスモデルとして注目されています。」

和久田
「消費者の心をつかむことはできるのか。
拡大する定額制サービスの背景を取材しました。」

こんなところでも… ○○放題

リポート:野上大輔(経済部)

今や、女性のおしゃれに欠かせないネイルサロン。
季節や洋服に合わせて、色やデザインを楽しみます。
でも、気になるのは、お値段。
サロンによっては、1回5,000円以上かかり、また、デコレーションなど、オプションによっては追加料金も発生します。
しかし、この店では、月額3,430円でネイルし放題。
月に何回来店しても、どんなデコレーションをしても、追加料金はありません。

利用客
「どんなにわがままを言っても値段が変わらないし、追加料金がないので安心感がある。」



 

オシャレはしたいけど使える金額は決まっているという若い世代をターゲットに、現在、会員はおよそ1,000人。
コストを抑え会員数を増やすことで、採算は取れるとしています。

こんなところでも… 広がる定額サービス

定額制サービスは、暮らしの身近なところにも。

IT企業に勤める富樫尚明さんです。
営業で人と会う機会が多いため、ふだんから第一印象を大切にしているという富樫さん。



特に強いこだわりを持っているのが、ワイシャツです。
そんな富樫さんが、最近利用を始めたのは…。



 

富樫尚明さん
「来ました。」



 

1か月分のワイシャツを定額でレンタルできるサービス。
月額の利用料は、12,800円。
購入したり、クリーニングに出す費用や手間を考えるとお得だと判断しました。

富樫尚明さん
「いいですね。
真新しいのでビシッとくる感じ。」

利用の決め手は、金額だけではありません。

富樫尚明さん
「ライトグレーの柄。
ホワイトのストライプ。
好みの柄を多くしました。」
 

このサービスでは、色や柄、襟の形状など、好みに合わせ、豊富な種類からシャツを選ぶことができます。
服装にこだわりのある富樫さんも納得できる品ぞろえです。

このサービスを提供している、都内のベンチャー企業。
料金だけではなく、消費者のニーズにきめ細かく応えることを重視してきました。
その1つが、こちら。

 

長尾淳社長
「ブランドタグの下のほうに、お客様の専用の番号。」



 

ワイシャツには、1枚1枚番号が割りふられ、契約期間中はそれぞれの顧客専用のシャツとしてレンタルされます。
他の客との着回しは嫌だという利用者の声に応えようという工夫です。
消費者の選択の幅を広げ、満足度をあげることで、これまで定額制サービスが定着しにくかった分野でも成功できると手応えを感じています。

長尾淳社長
「一番は客の声を適時、直接聞いて、それを可能なかぎり反映させていく。
客の期待を裏切らないサービス展開をしていかないといけない。」

こんなところでも… ○○放題

定額制サービスは、海の向こうでも広がりを見せています。
注目を集めているのが、スケールの大きい、こんなサービスです。



 

渡部圭司(アメリカ総局)
「こちらは、ロサンゼルス郊外にある空港です。
アメリカでは、定額で飛行機が乗り放題になるビジネスが始まっています。」

 

カリフォルニア州の航空会社が始めた「飛行機の乗り放題」。
月額およそ20万円で、州内を結ぶ便に何度でも乗ることができます。
IT企業が集まるシリコンバレーの玄関口、サンフランシスコ。
エンターテインメント産業が盛んなロサンゼルス。

 

この2つの都市の往復は、大手航空会社を使うとおよそ6万円。
月4回の行き来で、24万円です。
週に1回以上往復すれば、「乗り放題」の方が割安になります。

利用できる路線は、2つの都市の間だけではありません。
日本の国土より広いカリフォルニア州。
合わせて、13か所が結ばれています。


 

“乗り放題”利用者
「週に3回か4回は利用している。
便利さと時間が節約できるのが全て。
人生の時間は限られている。
とても重宝している。」
 

この会社が「乗り放題」に踏み切った背景には、航空会社の激しい競争があります。
人口がアメリカで最も多いカリフォルニア州には、サンフランシスコ・ロサンゼルス間など、全米有数の航空路線が集中。
航空各社がこぞって参入し、利用客の奪い合いが起きています。
「乗り放題」は、何とか客を囲い込もうと始めたビジネスモデルなのです。

設立から3年。
会員数は、3,000人を超えました。
業績が伸びる中、会社側は現在12機で運航する事業規模を拡大させようと、メーカーに新たに53機を発注しています。


 

ジェフ・ポッターCEO
「定額制サービスを導入したことで、顧客と関係を結ぶことに成功し、さらに会社の成長にもつながっていると考えている。」

広がる定額制サービス その背景は

阿部
「さまざまな定額制サービスが登場しているんですね。
ここからは、取材した経済部の野上記者とお伝えします。
こうした定額制サービスは、消費者にとっては『お得感』を感じたりもするわけですが、逆に、提供する企業側は、採算が取れるものなのでしょうか?」

野上大輔記者(経済部)
「例えば、リポートで紹介したネイルサロンでは、受け付けの担当者を置かずに人件費を抑えたり、ソファーなどの豪華な内装をやめたりして、設備にお金をかけずに、コストの削減を図って、採算を確保しています。
ワイシャツのレンタルでは、アパレルメーカーと契約をして、大量に一括で仕入れることでコストを抑えています。
ただ、1人あたりでは、高い収益を確保できるというビジネスモデルではありません。
企業側としては、多少、利益を削ってでも、長く付き合える客を確保しておこうという、いわば『囲い込み戦略』を重視しているんです。
サービスが次々に登場している背景には、こうした企業側の思惑もあります。」

和久田
「ただ、囲い込むと言っても、消費者の財布のひもを緩めるのは簡単ではありませんよね?」

野上記者
「いわゆる『安かろう悪かろう』では、消費者の心をつかむのは難しいかもしれません。
新しいサービスを始めようという企業としては、採算を確保するためにコスト削減などのさまざまな工夫を考えなければなりません。
一方、消費者としては、この定額制サービスに切り替えて本当にお得なのか、それを見極める目も大切となります。」