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2016年8月31日(水)

北米最高峰デナリ 大滑降に挑む

険しい山岳地帯を猛スピードで滑り降りる、「ビッグマウンテンスキー」。



 

その第一人者が、佐々木大輔さん、39歳です。
ヒマラヤ、南米パタゴニアなど、世界で活躍する佐々木さん。



 

今、挑もうとしているのが、北米大陸の最高峰「デナリ」です。

山岳スキーヤー 佐々木大輔さん
「すばらしい斜面という感じ。
でかい。」


 

成功すれば、世界初。
その究極の挑戦を追います。

阿部
「今回、佐々木さんが挑むのが、アラスカにそびえるデナリ。
かつてマッキンリーと呼ばれていましたが、去年(2015年)先住民の呼び名である『デナリ』に名称が変更されました。」
 

和久田
「目指すのは、その『南西壁』です。
この斜面を標高差3,000メートルにわたって、滑り降りる計画をたてています。
岩が多い複雑な地形で、傾斜も最大60度近くです。
世界中の誰も滑ったことがない、まさに前人未踏の斜面です。」

阿部
「この挑戦に向けて、今年(2016年)の夏、佐々木さんは第一歩を踏み出しました。」

北米最高峰デナリ 大滑降に挑む

リポート:服部泰年(おはよう日本)

今年6月。
佐々木さんは、デナリへ向かいました。
本番は、来年(2017年)の夏。
今回は、その準備のためです。

降り立ったのは、標高2,200メートルのベースキャンプ。

山岳スキーヤー 佐々木大輔さん
「最高の気分です。」


 

今回はまず、南西壁に下から近づき、滑るルートを確認します。
その後、緩やかな斜面を回り込んで、南西壁の中腹に到達、雪質などを確かめます。
およそ2週間の日程です。
まず、氷河の中を歩き、15キロ離れた南西壁へと向かいます。
想定したルートには、1つ心配な点がありました。
最後にある険しい岩場を通り抜けられるのか。

山岳スキーヤー 佐々木大輔さん
「地図上では岩場があるので、そこをぬって滑らなきゃいけないんですけど、そこが果たして(雪で)つながっているのかどうか。」

 

山岳スキーヤー 佐々木大輔さん
「深いね。」

深さ10メートルにもなる氷の割れ目「クレバス」が至る所で口を開けています。
転落しないよう、慎重に進みます。
登山開始から3日目。

 

山岳スキーヤー 佐々木大輔さん
「はい、つながっている。
ばっちり、ラインがつながっていました。」


 

想定ルートは、もっとも狭い場所で幅2mほど。
滑り抜けるには、高い技術が必要ですが、可能だと判断しました。

山岳スキーヤー 佐々木大輔さん
「今までいろいろ考えていたのが、現実的に手が届きそうな実感が今。」

次に、南西壁の中腹を目指します。
標高3,500mメートルを超えました。

佐々木さんは、登山途中で何度も滑降を繰り返します。
高山の薄い空気の中で滑る感覚を、少しずつ研ぎ澄ませていきます。
このデナリでの冒険は、佐々木さんにとって長年の夢でした。


 

北海道で生まれ、3歳からスキーを始めた佐々木さん。

山の世界に憧れたきっかけは、少年の頃出会った植村直己さんの冒険記。
その植村さんが世界で初めて、冬季単独登頂を果たした後、亡くなったのがマッキンリー、のちのデナリです。


 

そのデナリで、いつか自分も大きな冒険を成し遂げたいと、トレーニングを続けてきました。
佐々木さんは、夏は登山、冬はスキーのガイドをしながら、家族と暮らしています。

 

末っ子の稜(りょう)くんは、まだ4か月です。




 

妻 陽子さん
「無事に帰ってきてくれれば、話を聞かせてくれたらいいよね。」



 

家族のためにも、必ず無事に帰ってくる。
その思いが、入念な準備を進める原動力になっています。

登山開始から10日目。
いよいよ南西壁の中腹に足を踏み入れます。

山岳スキーヤー 佐々木大輔さん
「標高差1,000m以上ある。」

 

初めて間近に見る、デナリ南西壁です。
岩が入り組んだ、険しい斜面が谷底まで続いています。
 

山岳スキーヤー 佐々木大輔さん
「結構きてるね、これ。」

「今の笑いは何ですか?」

山岳スキーヤー 佐々木大輔さん
「すばらしい斜面だという感じですね。
でかい。
こんなすごい斜面が世の中にはあるんですね。」

しかし、状況は予想以上に厳しいものでした。

太陽の熱で溶けた雪が、強風にさらされて凍結。
硬いアイスバーンになっていたのです。
この状態で滑るのは、ブレーキがきかず危険です。


 

山岳スキーヤー 佐々木大輔さん
「この表面くらい、全部がてかてかになっちゃうと厳しいかな。」



 

果たして、滑降は可能なのか。
斜面の一部を実際に滑り、感触を確かめることにしました。
佐々木さんも、これほど巨大なアイスバーンの経験はありません。

意を決して、ターン。
何とか、成功。
しかし、バランスを崩せば、谷底まで転落しかねません。
徐々にスピードを上げていきます。
標高差200メートルほどを無事滑り降りました。

山岳スキーヤー 佐々木大輔さん
「硬いけど滑れます。
これくらいのコンディションだったら、何とか滑れそうです。」

来年は、標高差3,000mを滑りおりる計画です。
成功のためには、自分の限界を乗り越えなければなりません。

山岳スキーヤー 佐々木大輔さん
「自分の判断力だったり、体力だったり、想定以上に高めていかなければいけない。
今後1年間あるので、もう少し研ぎ澄ませていきたい。
来年は今まで積んできたことを生かして、成功させたいと思います。」
 

決意を新たにした佐々木さん。
全身全霊で、大自然と向きあう「究極の冒険」は、もう始まっています。
 

和久田
「私たちには想像のつかないほどの数多くの困難があると思いますが、ぜひ世界初の挑戦、成功させてほしいですね。」