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2016年8月30日(火)

管理職が部下に代わって子どものお迎え!?

和久田
「管理職向けのユニークな研修についてです。
出産後、短時間勤務などを利用して働き続ける女性が増えていますが、こうした働く時間に制約のある社員の力を最大限活用することが、企業に求められています。」
 

阿部
「仕事と育児の両立を理解し、社員を後押しする管理職をどう増やしていくか。
企業の取り組みを取材しました。」

部下の子どもをお迎え 管理職が「育児体験」

都内の大手情報サービス会社。
社員の6割が女性で育児中の女性も多く働いています。

企画開発部門で管理職を務める、池田脩太郎(いけだ・しゅうたろう)さん。
30代独身で、子育て中の部下の指導に迷っていました。



 

戦略企画グループ マネージャー 池田脩太郎さん
「『子どもが熱が出たから帰る』ということはよくあるが、そのあと家に帰ったらどんなことが起きてというのは具体的にはよくわからないので、この仕事の指示を出していいのか迷う。」

そこでこの会社が始めたのが、管理職向けの研修。
子育て中の女性社員に代わって、管理職が2人一組で子どもをお迎えに行き、食事や入浴など、世話をするというものです。
 

この研修で管理職に子どもを預ける、佐藤加奈(さとう・かな)さんです。
かつては営業の第一線で働いていましたが、夫は毎晩帰りが遅く、育児をほぼ1人で担いながら働いています。


 

佐藤加奈さん
「自分が子どもを持って初めて、こんなに大変なんだとか、時間の1分1秒の貴重さとか。
電話も出られないしメールも見られない。
(上司に)ある程度知ってもらえるという土壌があると話もしやすくなる。」

佐藤さんの子どもを預かる池田さん。
この日は夕方5時に仕事を終え…。




同じように育児経験のない女性の管理職と2人で、保育園へ向かいます。

佐藤さんの長男・右京(うきょう)くん。
お母さん以外のお迎えに、少し緊張気味です。



 

戦略企画グループ マネージャー 池田脩太郎さん
「給食何だったの。」

右京くん
「忘れた。」


午後5時45分、家に到着。
まずは日課の、ひらがなの勉強です。




そこへ小学2年生の姉、樂々(らら)ちゃんが帰ってきました。





樂々ちゃんにちょっかいを出される池田さん。
一生懸命、勉強を終わらせようとしますが…。

戦略企画グループ マネージャー 池田脩太郎さん
「はやくはやく。」

いつもは30分で終わるというプリントが、1時間もかかってしまいました。

食事の支度もなかなか進みません。




 

ようやく食べ始めたのは、予定を大幅に過ぎた夜8時。
池田さん、仕事のようにはいきません。




そして、休む間もなく洗い物。




 

戦略企画グループ マネージャー 池田脩太郎さん
「(仕事のことを)考える余裕ないですね、1秒も。」



 

午後9時、母親の佐藤さんが帰ってきました。
この日は、時間を気にすることなく仕事に打ち込めました。



 

戦略企画グループ マネージャー 池田脩太郎さん
「いやー、大変ですね。」

佐藤加奈さん
「あしたも弁当だから。」

戦略企画グループ マネージャー 池田脩太郎さん
「朝作るんですか。」

佐藤加奈さん
「うん、朝作ります。」

仕事と育児の両立を4日間体験した池田さん。
育児中の部下への接し方に変化が現れていました。



 

池田さんの部下
「(研修の)初日にくれたメールですでに変わっていて。
『業務についてどうしても難しい場合はちゃんと対応するので相談してください』。
びっくりした。」

 

戦略企画グループ マネージャー 池田脩太郎さん
「仕事について何がしたいかという質問よりも、ライフ(生活)についてやりたいことを聞いてあげると、本人の意思が聞けて仕事も進めやすくなるのかなと。
個人の成果も上がるし、グループとしての成果も上がるのではないか。」

管理職を部下が採点 育児社員のやる気アップ術

一方、短時間勤務で働く社員の持っている力をどう引き出すかも課題です。
この会社では、女性社員から「配慮されすぎて仕事への意欲がわかない」という声があがったのです。




そこで採り入れたのは、管理職が「上司役」と育児中の「部下役」になって行う研修です。
遅くまで仕事ができないことに負い目を感じている部下の意欲を引き出そうと、上司が新たな仕事を依頼します。
そのやりとりを、子育て中の社員が採点します。
 

上司役
「そろそろ仕事に慣れてきたことを踏まえて、もうちょっと、より多く、より深く仕事をやってもらいたいなと。」



 

育児中の部下役
「まわりに負担をかけてしまうのではないかという思いと、(頑張りたいという思いと)両方感じている。
不安な感じ。」


 

部下は、期待には応えたいものの、仕事が中途半端になってしまうのではないかと踏み出せません。
それに対して上司は、部下の不安には応えず、チャレンジしてほしいと繰り返します。

上司役
「自分のこれからのキャリアアップのために、まずは5%、少しずつでも今から仕事の量を増やして…。」

この上司の面談。
果たして採点の結果は?

採点者
「厳しいかもしれないですけど、2点。
4点満点中の2点にさせてもらいました。
部下の経験や能力を期待していると伝えたところが、具体的にはなかった。
そこが欠けていた。」
 

意欲を引き出すためには、どんな能力に期待して仕事を任せるのか、わかりやすく伝えるべきだという指摘でした。
会社では今、全国の事業所でこの研修を開催。
管理職の意識を変え、育児中の社員がやりがいを持って活躍できる企業を目指しています。

研修に参加した管理職
「力を発揮してもらいたいと思うので、そういった環境作りが大事だと思った。」

研修に参加した管理職
「気遣いだけでなく、本人が働きやすい、将来、夢をもてるようなマネジメントをしないといけないと改めて感じた。」


 

阿部
「管理職が部下の家に行って育児をするというのは、なかなか思い切った研修ですね。
ただ、そこまでしないと仕事と育児の両立の大変さは、なかなか理解が進まないということなのかもしれませんね。」

和久田
「これまでは時間に制約のある社員向けの研修は多く行われていましたが、こうした管理職向けの研修は、近年、急速に企業の間に広まっています。
子育て体験の研修に参加した池田さんは、育児をしながら1分1秒を大切する働き方を体験したことで、自分自身も効率的な働き方について考えるきっかけになったと話していました。」

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