リポート:藤本浩輝(経済部)
群馬県にある、豆腐メーカーです。
今、日持ちしない豆腐を余分に製造しないよう、新たな試みを始めています。
豆腐メーカー 鳥越淳司社長
「こちらが廃棄する商品です。」
これまで、このメーカーは毎日のように多くの商品を廃棄していました。
小売りからの注文には必ず応えなければならないため、商品を多めに作らざるを得なかったのです。
少しでもロスをなくそうと、経験や勘を頼りに計画を立ててきましたが、見込みが外れることも多く、こうしたコストが重荷になっていました。
豆腐メーカー 鳥越淳司社長
「受注と実数という差が、ものすごく大きかったものですから、それを削減するというのが至上命題だった。
ずっと勘で続けていくわけにはいかない。」
そこで、豆腐メーカーがタッグを組んだのが、日本気象協会。
気象協会では今、蓄積した気象データを元に、企業活動を支援するサービスを行っています。
まず選んだのは、夏によく売れる「寄せ豆腐」。
気象協会は、過去1年間の気温の変化と販売数の関係を徹底的に分析。
1つの傾向を導き出しました。
寄せ豆腐は、暑さが続いた日よりも、前の日に比べ、気温が大きく上がった時に需要が伸びていました。
暑くなったと感じることがポイントだったのです。
「こちらは寄せ豆腐の予測データです。」
新たに作られた需要予測です。
食べたくなる度合いを「寄せ豆腐指数」として表しました。
高気温が前の日に比べ、3度あがると予想した、この日。
寄せ豆腐指数をプラス4ポイントとしました。
そして、この日は最高気温を30度と予想しましたが、前の日と比べ、1度しか差はありません。
急に暑くなったとは感じにくいこともあり、寄せ豆腐指数は据え置きました。
豆腐メーカーは、このデータを参考にして、翌日、翌々日に生産する量を見直します。
その結果、昨年度は寄せ豆腐の食品ロスが30%減りました。
およそ1,000万円のコスト削減につながりました。
豆腐メーカー 鳥越淳司社長
「ありがたいデータを頂いている。
最大限のパフォーマンスを出したい。
効果が出ているので、(データの活用を)拡大してやっていきたい。」