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2016年6月17日(金)

“病院が見つからない” 都市部での課題

阿部
「急な病気や突然のけがをした時に、どの病院に行けばいいのか迷ってしまうことがありますよね。」


 

和久田
「まず、命に関わる重症な場合には、大学病院などにある『救命救急センター』があります。
それに対して、命に関わる程ではなくても、一刻も早く診察して欲しい時には、自治体などが指定する『総合病院』や『診療所』があります。
ところが都市部を中心に、夜間や休日には専門の医師が不在になることなどもあって、診てもらえる病院がなかなか見つからないことが問題となってきました。」

阿部
「こうした問題の受け皿になっている東京で、初の救急専門病院に密着しました。」

救急専門の病院に密着

東京・足立区にある大高病院です。
発熱やケガなど、さまざまな症状に24時間対応しています。



 

保育園でケガをしたという男の子がやってきました。




 

父親
「転んで銅像みたいなものに頭をぶつけた。」



 

最寄りの診療所に行ったところ、外科の処置はできないと言われ、父親はこの病院を頼ってきたのです。

大髙祐一さん
「これは縫わないとだめですね。」

検査の結果、男の子は脳や骨には異常はなく、処置は無事に終わりました。




 

父親
「こういうところが近くにあると安心。
24時間対応してくれる、頼りになる。」


 

院長の大髙祐一さんです。
東京医科大学病院の救命救急センターで、10年あまり働いてきました。
命を救う最前線の現場に、軽症の患者がたびたび搬送されてくる現実を目の当たりにしてきました。
東京では、救急車の出動件数が増え続けています。
 

去年(2015年)1年間で出動した数は、およそ76万件。
そのうち、半数以上が入院を必要としない軽症者の利用でした。
そこで大髙さんは3年前、小児科から外科まで、診療科の垣根を越えて患者を診る病院を作りました。

 

大髙祐一さん
「私が行っている医療はスタンダードなもの。
特別専門性が高いものとか、ここの病院じゃなきゃできない、私じゃなきゃできない医療まではいかない。
まずはどこかでとりあえず早く診る、早くまず診る、それは大事。」
 

患者を搬送する救急隊も大髙さんを頼りにしています。
救急隊からの受け入れ要請は多い時で、一晩に7、8件あります。

「何でやりましたか?
熱湯で。」

やけどを負った女の子の受け入れ要請です。




 

「水ほうが破けてます。」

大髙祐一さん
「受けてください。」


 

女の子は、夕食時にラーメンをこぼし、やけどは広い範囲にわたっていました。
やけどは皮膚科の領域ですが、この日は急患に対応している病院は近くにはなく、救急隊は大髙さんに連絡してきました。

行き場のない患者も受け入れを

大髙さんは精神疾患のある人のけがや病気への対応にも力を入れています。
統合失調症の男性が搬送されてきました。
救急の現場では、こうした患者の受け入れ先を見つけにくいことが課題となっています。

 

大髙祐一さん
「どこか苦しいとか、痛いとかあります?
だるい。」


 

詳しい症状が判断しにくいことなどが主な理由です。
大髙さんは、そうした患者を積極的に受け入れ、治療することにしています。

きっかけは20年前、研修医をしていた頃の苦い経験でした。
統合失調症の男性が頭を強く打ったとして運ばれてきました。
脳外科がある複数の病院に患者の受け入れを打診しました。
しかし、精神科の症状があると、正確な診療がしにくいとして受け入れ先が見つからず、手当が遅れたと言います。

大髙祐一さん
「最初の診療さえも、してくれる病院がなかなか見つからない経験があって、精神症状がある方は搬送先が、診てくれるところがない、これは大変な状況だ。」

病院ができて3年。
4月から、2人の医師が加わりました。
ただ、この病院で受け入れられる患者の数は限られています。
命に関わる患者だけではなく、行き場が見つからない患者をできるだけ受け入れる体制を整えることが大切だと大髙さんは考えています。

大髙祐一さん
「入り口として、まず診ることができる医者を育てる。
専門領域もきっちりと診ていく医者を育てる、2本立てが必要なんじゃないか。」


 

和久田
「大高病院のように、救急を専門に開業する病院は他にも埼玉県や鹿児島県などにあります。
こうしたところが増えれば、救命救急センターは命に関わる患者の受け入れに専念することができると期待されています。」

阿部
「国は、夜間や休日に救急患者を受け入れた際の診療報酬を4月から3倍に増額しましたが、より患者が安心して治療を受けられるよう、救急病院へのさらなる支援が求められています。」

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