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2016年6月1日(水)

“太りにくい?!” いま注目の希少糖

阿部
「甘いものが大好き。
でも、太りたくない。
そんな方に耳寄りの情報です。」

おいしそうにケーキを食べる女性。
体に良いケーキづくりに取り組んできたお店です。

どんなケーキなんでしょう。

ケーキの横のこちらの文字、分かりますか?
「希少糖」と書いてありますね。
これが今、注目を集めているんです。



 

ゼリーやプリン、そして、この春発売された新製品にも「希少糖」が使われています。




 

「聞いたことはありますが、詳しくは知らない。」

「体にいいのかなと思って、普通のお砂糖よりも。」



 

和久田
「こちらが、その希少糖です。
ちょっといただいてみます。
さっと溶けてなくなりました。
さっぱりした甘みですね。 しつこくないですね。」

 

阿部
「この希少糖といいますのは、自然界に存在する天然の糖なんです。
人工甘味料ではありません。
自然界には、さまざまな糖がありますが、そのほとんどがブドウ糖です。
希少糖は、ごくわずか1%以下に過ぎません。」

和久田
「名前のとおり、希少な糖なんですね。」

阿部
「そのため、これまであまり注目されず、研究も進んできませんでした。
しかし今、この希少糖に意外な効果があることが分かってきました。」

“太りにくい?!” いま注目の希少糖

リポート:吉見和紀(NHK大阪)

世界に先駆け、希少糖の研究に取り組んできた香川大学です。
県や地元企業と協力し、希少糖にどのような効果があるのか実験を重ねてきました。


 

その結果、希少糖の「D-プシコース」が、血糖値の上昇や脂肪の蓄積を抑制することが分かりました。



 

2匹のラットを使った実験です。
与えるエサの量を同じにして、左のラットに普通の水を。
右のラットに、希少糖を加えました。


 

その結果、希少糖入りの水を飲んだラットは、食後の血糖値の上昇がおよそ20%抑えられました。
さらに3か月間、飲み続けたところ…。


 

内臓脂肪の蓄積がおよそ30%抑えられたのです。




 

医学部の村尾孝児教授です。
希少糖が、人にどのような効果をもたらすのか研究を進めています。
健康な人、20人に希少糖を飲ませたところ、人でも血糖値の上昇を抑えられることが分かりました。

 

なぜ、希少糖によって血糖値が抑えられるのか。
人の腸には、ブドウ糖を吸収するゲートがあります。
希少糖は、そのゲートにブドウ糖と同じように入ろうとします。
ところが、形が少し違うため、ゲートをふさいでしまいます。
その結果、ブドウ糖の吸収が抑制され、血糖値の上昇が抑えられると考えられています。
 

香川大学 医学部 村尾孝児教授
「(希少糖は)からだの中に入って、糖の流れを変える。
例えば糖尿病患者に代謝異常が起こる。
その代謝異常を元に返すような作用が、この希少糖にはある。」

 

からだに良い効果をもたらすという、希少糖。

広く食品に活用されるきっかけとなったのは、関西の企業が手掛けた独自の技術でした。
兵庫県のでんぷん加工メーカーです。
希少糖の大量生産に取り組んできました。

 

研究の結果、デンプンから取れる液状の糖に熱を加えると、希少糖が生成されることがわかりました。
しかし、大量の糖を加熱するのは時間もコストもかかります。


 

そこで、このメーカーは、化学反応を促す独自の技術で、短時間に大量に希少糖を生成することに成功しました。



 

3年前、世界に先駆けて、希少糖を含むシロップを開発。
多くの食品メーカーに採用され、今、ケーキやプリンなど、さまざまな食品に使われ始めているのです。


 

松谷化学工業 山田晃士生産本部長
「希少糖が広がるのは、健康に寄与することにつながる。」



 

希少糖によって、食べる喜びを取り戻した人たちがいます。

15人のお年寄りが暮らす福祉施設です。
カロリーや糖分の摂り過ぎを心配して、甘いものを制限することもありました。




そこで施設では、我慢しなくても済むよう、砂糖をやめて希少糖を使うようにしました。

「はいどうぞ。」



 

「もうおばあさんだけど、もっと生きたい。
おいしい。」





 

和久田
「ダイエットに関心のある人だけでなくて、食べる喜びを取り戻すことにも役立っているんですね。」

阿部
「実際、糖尿病の方の食事に希少糖を生かそうと取り組みを始めている病院もあるそうです。」

和久田
「これから広がっていきそうですね。」

阿部
「ただ、希少糖は一般的な砂糖に比べて3~4倍、値段が高く、価格の面で課題があります。
それでも希少糖には、健康への意識の高い欧米や、急速な経済発展で肥満の人が増えているアジアからも高い関心が寄せられているということです。」