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2016年5月13日(金)

指揮者 佐渡裕さん 被災地で学んだ音楽の力

和久田
「音楽で被災地に寄り添います。」

世界的な指揮者・佐渡裕(さど・ゆたか)さんです。



去年(2015年)、オーストリア・ウィーンで100年以上の歴史を持つ、トーンキュンストラー管弦楽団の音楽監督に就任。
そのオーケストラを引き連れて、今日(13日)から東京や大阪などで公演に臨みます。


 

指揮者 佐渡裕さん
「諦めることなく、いい音を追求し、みんなもそれに応えようとしてくれている。
全力で日本ツアーはいいものにしたい。」


 

阿部
「凱旋(がいせん)公演に臨む佐渡さんですが、その胸の奥には、被災地・熊本への思いがありました。」

指揮者 佐渡裕さん 被災地で学んだ音楽の力

凱旋公演の直前にウィーンで行われた、佐渡裕さんの講演会です。
その席で佐渡さんは、熊本地震の被災地に寄せる思いを話しました。



 

指揮者 佐渡裕さん
「残念ながら九州で大きな地震があった。
6月、7月になんとか時間を見つけ、熊本に足を運ぼうと思っている。」


 

今、佐渡さんは音楽の本場・ウィーンで、一流のオーケストラを相手に、音作りに心を砕く日々を送っています。




 

指揮者 佐渡裕さん
「よし、OK。
即興演奏のあとに僕が合図を出すから、そのあとに弾いてください。」


 

しかし、佐渡さんが力を入れているのは、プロとの関わりだけではありません。
一般の人たちに音楽のすばらしさを知ってもらう活動にも、精力的に取り組んでいます。

この第9の演奏会。
歌うのは、一般市民500人。
ともに音楽を作る喜びを1人でも多くの人に感じてもらいたいと、みずから呼びかけ実現しました。


 

指揮者 佐渡裕さん
「音楽は、さまざまに生きている人が、この時間を一緒に生きているんだと確認すること。
一緒に生きることは喜びなんだと、音楽の神様が音を通して教えてくれている。」

 

音楽は「生きている喜びを教えてくれるもの」。
佐渡さんがそう考えるようになった背景には、日本で被災地と関わり続けてきた経験がありました。

阪神・淡路大震災から10年後。
復興のシンボルとして建てられた劇場の芸術監督に、佐渡さんは就任。




地元の子どもたちと演奏会を繰り返すなど、音楽を通して被災地の復興に関わりました。





5年前の東日本大震災。





佐渡さんは音楽を届けようと訪ねた被災地で、現実を目の当たりにします。




 

そして各地で目にした、音楽を聴いて涙を流す人たち。
佐渡さんは、自分はなぜ音楽と関わり合うのかを見つめ直したと言います。



 

指揮者 佐渡裕さん
「人にとって歌は人の心を優しくするもの、一緒に涙を流せるもの。
音楽がこんなに身近に、人を励ますことができると学んだ。
“心の復興”という大きなミッションを真剣に考えたあと、すごく心が震えた。
今、そういう役目が回ってきたと思った。」
 

そして、日本への凱旋公演を目前に、熊本地震が起こりました。
大きな被害を受けた南阿蘇村は、佐渡さんにとって、思い出のつまった場所でした。



 

佐渡さんは一昨年(2014年)、NHKの番組で南阿蘇村を訪れていました。




 

中でも印象に残っているのが、小山久夫(おやま・ひさお)さんとの出会いです。




 

意気投合した佐渡さんは、小山さんが営むカフェでフルートの演奏を披露。
地元の人たちを交えて、音楽を通した交流を楽しみました。
楽しいひとときを共に過ごした小山さんたちがどうなっているのか、佐渡さんはずっと気にかけていました。

 

地震のあとの小山さんのカフェです。




 

小山久夫さん
「何の部品か分かりませんね。」



 

建物は大きな被害を免れましたが、食器や調理器具のほとんどが壊れ、再開のめどは立っていません。
しかし、小山さんは前を向いていました。


 

小山久夫さん
「5年先、10年先に地震のことが思い出になるように、頑張りたい。」



 

指揮者 佐渡裕さん
「本当に大変だと思うが、まず命があって、建物自体がこうして残っていて、ほっとした。
そこから仕事ができるかどうか不安もあるだろうから、とても心配。」


 

音楽の持つ力を、被災地と関わり続けることで学んだという佐渡さん。
熊本の復興も音楽で支援していきたいと考えています。

指揮者 佐渡裕さん
「もちろん水を運んだり、ブロックを動かすのを手伝ってもいいが、行くなら音楽のことを具体的にしなければ。
具体的に、次のプランとして僕が計画して実行する約束ができるまで関われたら。


世界でも指揮台に立つが、日本のためにやらなければならないのはこういうことだと、強く思うようになった。」



 
 

和久田
「佐渡さんにしかできない形で被災地と関わっていくことを、使命として感じていらっしゃるのが伝わってきましたね。」

阿部
「『音楽の力で』ということですよね。
佐渡さんは、今回のツアーでは各地の会場に募金箱を設置し、被災地への支援を呼びかけたいとしています。」

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