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2016年5月10日(火)

“女性を管理職に” 企業の課題は

今、多くの企業が女性の管理職を増やそうと動き始めています。





女性管理職が32人しかいなかった大手建設会社。
この春、一気に17人を昇格させました。




清水建設 宮本洋一会長
「女性が活躍できる環境になかった。
それを今、変えようとしている。」


 

背景にあるのは、先月(4月)施行された「女性活躍推進法」。
女性管理職の割合などを公表することが義務づけられ、企業が対応を迫られているのです。



 

阿部
「女性が活躍する社会を作ろうと、先月、『女性活躍推進法』が施行されました。
従業員が300人を超える企業に対して、女性がどのくらい活躍しているのか、現状の数字と将来の目標を公表することを義務づけています。」

和久田
「その指標の1つが、管理職に占める女性の割合です。
多くの企業にとって女性管理職はまだ少ないのが現状で、どう増やしてくのか課題に直面しています。」

“女性を管理職に” 企業の課題は

リポート:岡田真理紗記者(社会部)

プリンターなどを製造する、大手電機メーカーです。
この春、新たに6人の女性が管理職に昇進しました。



 

沖電気工業 平本美智代さん
「今日から幹部社員(管理職)になりました。」



 

管理職になった、平本美智代さんです。
入社15年。
技術畑一筋で、今回の昇進は予想もしないできごとでした。

沖電気工業 平本美智代さん
「管理職になるなんてことは、去年も今頃も思っていなかった。
私が一番びっくりした。」


 

この会社では長年、女性が働きやすい環境を整えてきたと自負していました。
女性社員の勤続年数は平均で20年を超え、男性社員と変わりません。




しかし、管理職に占める比率を調べた結果、女性はわずか2.4%。
業界の平均よりも低いことがわかったのです。



 

人事部 川井茂子さん
「数字の低さにあぜんとした。
女性の昇進昇格が、男性に比べて遅れていた状況を会社の中で問題として捉えていることがなかった。
一番の問題だ。」

 

理由を調べたところ、これまで気づかなかった課題が浮かび上がってきました。

この会社が管理職の啓発に使っている冊子です。
上司の女性部下への意識について書かれています。



 

“ワーキングマザーは大変だと聞くから、なるべく簡単な仕事に変えてあげよう”。
女性社員に配慮するあまり、上司が難しい仕事を与えない傾向がありました。
良かれと思ってしてきた配慮で経験不足になり、管理職になる女性社員が育ってこなかったのです。
この春、昇進した平本さんも、十分な経験を積んでこなかったと感じてきました。

仕事と育児を両立させていくうちに、自然と管理職への道は考えなくなったといいます。

沖電気工業 平本美智代さん
「管理職にならなくとも、お母さんという、それである意味満足。
仕事に向き合っていこう。」

どうすれば意識を変えることができるのか。
 

この会社では、3つの「き」、「決めつけず、期待して、鍛える」を合い言葉に、女性社員を育成していく方針を打ち出しました。




 

平本さんは、レーダー技術の専門家として社内で評価されてきました。
会社は、子育て中だから管理職をするのは難しいと「決めつけず」、高い能力を生かして5人の部下をまとめることを「期待」しました。




平本さんの上司、前野さんです。

チームマネージャー 前野蔵人さん
「基本的には自分で勉強してもらう。」



 

管理職になったばかりの平本さんを「鍛える」ことが求められています。

この日、平本さんは、前野さんに伴われて取引先との交渉に臨みました。
研究開発に打ち込んできた平本さんにとっては、初めての経験です。



 

チームマネージャー 前野蔵人さん
「今までずっと私の方で(担当を)やらせていただいてたんですけど、平本が管理職になりましたので、きょうは平本のほうに引き継ぎまして、平本のほうで進めさせていただきたい。」


 

平本さんたちは、新技術開発のための試作機をこの会社に発注しています。
この日は、開発の予算について新しい提案をする必要がありました。

沖電気工業 平本美智代さん
「予算のほうが足りない場合は、減る場合もありますので、B案ということで。」

取引先
「B案については初めて聞きました。」

突然の提案に取引先は戸惑いました。
上司の前野さんが、すかさずフォローします。

チームマネージャー 前野蔵人さん
「戸惑っていらっしゃるので、今回B案を出した意図を説明して。」

交渉を通じて、管理職としてこれまでと違う役割を求められていると感じました。

 

沖電気工業 平本美智代さん
「緊張しました。
勉強しないといけないところがあったりとか、いろいろ会社の事情とか、私の知らないこともあったりするので、その辺も把握しつつ、お客さんと交渉できるようになっていきたい。」

 

会社は、平本さんを管理職として育てながら、一般社員の時に行っていた短時間勤務を続けられるよう配慮しています。
女性社員の登用をきっかけに、多様な人材が活躍できる職場を目指しています。


 

人事部 川井茂子さん
「意識を変えてマネジメントをして、本人も自分のキャリアというものを一人一人考えていく時代。
(女性社員の登用が)一つのきっかけになって、すべての人に対して活躍が定着していくようにやっていきたい。」

“女性を管理職に” その背景には…

阿部
「取材をした社会部の岡田記者です。
女性活躍推進法ができて、それぞれの企業では女性を登用しようという動きが広がっているようですね。」


 

岡田真理紗記者(社会部)
「取材をしていて感じたのは、法律ができたことで数値という一つのものさしではかられることに、企業が非常に敏感になっていることです。
特に建設業や製造業といった、もともと女性が少ない業界では、今、急ピッチで女性の採用や管理職を増やしています。
ただこれまでと違うのは、短時間勤務など女性が働きやすい環境を整えるというだけではなく、経営の中核を担う人材を育てていくという課題が企業に突きつけられていることなんです。」

女性が活躍する企業へ 求められる対策は

和久田
「ただ、子育て中だと、責任ある立場を任されると両立が難しくなる心配もありますよね?」

岡田記者
「そのためにも企業には社員一人一人についてきめ細かく把握していくということが求められているんです。
同じ子育て中の女性でも、『どうしても出張はできない』という人もいれば、むしろ『行かせてほしい』という人もいます。
さらに同じ人でも、子どもの成長によって事情は変わってきます。
非常に配慮と登用のバランスは難しいんですが、育児や介護といった多様な事情に配慮しながらも人材をうまく登用できれば、新しい発想が生まれるなど、企業にとっても強みになります。
大事なのは、単に数合わせで女性を管理職に登用するのではなくて、きちんと育成していくことが求められていると思います。」

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