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2016年5月9日(月)

おとなの塗り絵 人気の秘密は…

阿部
「さて、こちら。
美術館のような雰囲気ですが、飾られているのは、塗り絵の作品なんですね。」

 

和久田
「長野アナウンサーとお伝えします。」

長野
「おはようございます。
そうなんですよね。
今、こうした、大人の塗り絵というのが、かつてないほどの人気になっているんです。
この1年、書店では、売れ行きが5倍になるほどなんですけれども、火付け役となった塗り絵がありまして、こちらです。

イギリスのイラストレーターの作品なんです。
全世界で1,000万部以上、売れているんですよね。
これまで塗り絵をしなかった幅広い層が、この作品をきっかけに、塗り絵を趣味にし始めているんです。」

和久田
「大人の塗り絵、実は私も1冊持っているんですけど、今、とても流行っていますよね。」

長野
「和久田さんも楽しめますよね。
子どもの遊びじゃなくて、大人の趣味というのがキーワードなんですよね。
今、注目される大人の塗り絵。
その魅力を探ってきました。」

おとなの塗り絵 人気の秘密は…

長野
「こちらの書店、特設の塗り絵コーナーがあるんです。
しかも全部、大人向け。」


 

ずらりと並んだ大人向けの塗り絵。
その数は、130タイトルを超えます。



 

先月(4月)開催された、塗り絵の講習会。
募集開始まもなく、定員に達する人気です。



 

今の流行りは、細かな模様のような斬新なデザインです。
特にお手本もなく、自分なりの自由な色づけで楽しめることも人気の秘密です。


 

「頭を使って細かい作業をして集中して、どれくらい時間がたったのか分かってない感じ。
楽しいです。」


 

「子どもにやらせようと思ったら、自分もはまっちゃって。」

いったい、塗り絵の何が人々の心を捉えているのか。
早速、私も体験させてもらいました。

指導してくれたのは、この書店で、塗り絵部門を担当する、佐藤百恵さんです。

長野
「これ、かわいらしくて。」

佐藤百恵さん
「いいですね、これ。
モチーフもきれいですし。」

長野
「これに挑戦させてもらいます。」

いざ、塗り始めようとすると…。

長野
「悩みますね。」

真っ白なイラストのどこから始めれば良いのでしょうか。

佐藤百恵さん
「比較的塗る面積が広いところを先に塗ったほうがいい。
顔は、あとで仕上げたほうが、きれいかもしれない。」


 

長野
「じゃあ、ど真ん中から。」

とにかく塗れそうなところから塗っていきます。

長野
「地味な作業。」


 

変化が訪れたのは、塗り始めて30分ほど。
雑念が消え、塗ることだけに意識が集中するようになりました。

佐藤百恵さん
「ずっと塗り絵をやっていると、禅だったり写経だったり、という心境になる。
無の境地ですね。」

気がつけば、あっという間に2時間がたっていました。

長野
「さあ、そして出来ましたが、いかがですか、和久田さん。」

和久田
「きれいですよね、初めてにしては。
いいんじゃないですか。」

佐藤百恵さん
「好きな色を塗っているだけで、アーティスティックなものができる達成感。」


 

長野
「自分の作品という感じはしますしね。」

佐藤百恵さん
「その満足感が、はまるんです。」

時代を映し出す 塗り絵ブーム

この塗り絵。
過去にも何度かブームがあり、それぞれに時代の一面を映し出してきました。


 

東京・荒川区にある「ぬりえ美術館」です。
昭和20年代に訪れた、塗り絵ブーム。



 

その中心となったのが、画家の蔦谷喜一が描いた「きいちのぬりえ」です。
アクセサリーや髪型、そして洋服。
塗り絵に描かれていたのは、まさしく、当時の女の子の憧れの世界でした。
 

ぬりえ美術館 金子マサ館長
「戦争があって、きれいなものとか無かったですから、飢えていたから、女の子たちも“きれい”と。」


 

続いて訪れた塗り絵ブームは、昭和50年代。
今度の主役は、カラーテレビの普及とともに人気となったアニメのヒーローでした。
塗り絵は、子どもの遊びとして広がっていきました。

 

この流れに変化が生まれたのが、今から10年前に訪れた塗り絵ブームです。
中心となったのは、高齢者たち。
手先を動かす塗り絵は、脳を活性化させると言われ、介護施設などで積極的に取り入れられました。
 

ブームに火を付けた編集者の竹下純子さんです。
介護施設に勤める友人の話をきっかけに、子ども向けではない塗り絵を思いつきました。


 

河出書房新社 竹下純子さん
「子ども用のキャラクターのものでは、“こんなの、この年になって塗りたくない”と怒られたというので、たしかに、そのとおりだと思った。
花とか風景とか、大人にふさわしい塗り絵があってもいい。」
 

それから10年。
今、再び盛り上がる塗り絵ブームは、どんな時代を映し出しているのでしょうか。

横浜市内で、ひとり暮らしをしている、間瀬さつきさんです。
アロマやリラクゼーションのセラピストとして働く、間瀬さん。
塗り絵と出会ったのは、去年(2015年)のことでした。


 

間瀬さつきさん
「本当に気軽で気楽で、時間も自分で作れるし、持ち運びもできるし、場所も時間も制限が無いから、すごくいい。」


 

この日は、カフェで塗り絵を楽しむ間瀬さん。
塗り絵のもうひとつの楽しみが同じ趣味を持つ人たちとの交流だといいます。


 

4時間かけて完成させた塗り絵。
間瀬さんはスマートフォンで撮影し、SNSのサイトに投稿します。
作品を見た人たちからは…。


 

“ナチュラルで優しいですね。”

“可愛らしい図柄ですね。”



 

などなど、多くの反応が返ってきます。
間瀬さんも、知り合いの作品を見ては感想を送ります。

間瀬さつきさん
「全然違う塗り方をしていておもしろい。
お互いに情報交換したり共有したり、つながりも増えて非常に、おもしろいです。」


 

ひとりの時間を大切にしながらも、多くの人と同じ趣味を楽しみたい。
今、塗り絵は人々をつなげるきっかけになっていました。

おとなの塗り絵 ブームの背景は…

阿部
「塗り絵ブーム、その時代の一面を写し出しているものでもあるんですね。」

和久田
「自分なりの作品をスマートフォンで写して、ネットで見てもらうというのは、今の時代ならではの楽しみ方ですね。」

長野
「その自分なりの個性が出るというところなんですけれども、そこがいいということで、ちょっとこちらをご覧いただきましょうか。

出版社の塗り絵コンテストの応募作なんですよね。
もとは同じ塗り絵なんですけれども、ひと目見て分かるように、昼間だったり、左側は夜ですよね。
下の方にいきますと、雨が降っていたりということで、全く違う作品になっているんです。」

和久田
「塗る人によって、こんなに変わるんですね。」

長野
「個性を発揮しながらも、人と互いに認め合えるということで、今の時代にピッタリくる趣味として受け入れられているのかなと感じましたね。」

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