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2018年2月9日(金)

音にこだわり生き残れ 中堅メーカーの挑戦

ある中堅メーカーが開発したテレビ。“メーカー受難の時代”を生き抜くヒントを探ります。

あるテレビの販売が1月下旬、家電量販店で本格的に始まりました。「音にこだわった」テレビで、スピーカーが前面についています。このテレビをつくったのが、「オリオン電機」という中堅メーカー。会社を訪ねて、価格競争が厳しいメーカー受難の時代に、生き残り策のヒントを探りました。

福井で成長も苦境に 生き残りを模索

福井県に本社があるオリオン電機。生産本部・武生工場の永田和幸工場長に、工場を案内してもらいました。創業は1958年で、永田さんによると「昔はブラウン管のテレビをつくっていた」といいます。工場内では、機械ではなく手作業で行う、かなり細かい作業工程もあり、永田さんは「人の手でやらないと」と力を込めました。

オリオン電機は、大手メーカーから受託生産を数多く手がけて成長。最盛期はおよそ9割を海外に輸出していました。しかし、リーマンショックとその後の円高によって、業績が急激に悪化。ほかのメーカーのものをつくるだけでは生き残りが厳しくなりました。

音にこだわり スピーカーを工夫

そこで開発したのが、音のいいテレビです。視聴させてもらうと、確かに音が広がって聞こえました。ピアノの音も、細かい音がきれいに広がる感じがします。

このテレビの開発を主導したのは、音響機器メーカー「D&M(旧DENON)」から転職してきた、常務執行役員の市川博文さんです。音の違いの理由を探ると、スピーカーの向きに特徴がありました。市川さんによると、メーカー各社は「(テレビを)どうしても薄型に見せたい部分もあるので、スピーカーの部分が下側に向いてついているところが多い」といいます。一方、オリオン電機のテレビはオーディオ用のスピーカーが前に向いています。

また、中広域の音を再生する独立したスピーカーをわずかに外側に向けることで臨場感を高めています。さらに迫力ある低音を出すために、筒状のダクトの長さを微妙に調節して組み込みました。

中型テレビ市場に照準 差別化図る

大手メーカーが力を入れるのは、価格が高い40インチ以上の大型テレビです。しかし、競争は厳しく価格が下落しやすい市場です。32インチは最も販売数が多いサイズですが、大型ほど価格が下落しにくいという特徴があります。この市場で特徴がある商品を出せば、差別化が図れるとオリオン電機は考えました。

開発を支える転職者 多様なアイデア創出

会社は2015年に投資ファンドに事業譲渡され、経営が大きく変わりました。開発を支えるのは、ほかのメーカーからの転職者たちです。社員の方に以前の勤務先を尋ねると、「NECにおりました」、「ソニー株式会社です」などと答えが返ってきます。
会議では、「携帯電話の設計をやっているときには、いちばん目立つように設計しろと言われた」などと、経験を踏まえた意見が活発に交わされていました。専門性の異なる人たちの意見が新しいアイデアに結び付いていきます。

市川さんは「いろんな会社のメンバーが、この福井に集結してやっています。一つの技術や製品を開発するときも、エンドユーザーの目線で言う人もいれば、リテール、販売店の目線で意見を言う人もいるし、いろんな角度でアイデアが出てくるのは、おもしろいところじゃないかと思います」と話していました。

経歴が違う人たちで集まると、いろいろとやっかいなこともあるかもしれませんが、非常に水準の高いものが生み出される感じがします。

人とちょっと違うことをやるところが、生き残りのヒントなのかな、という感じがしました。

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