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2017年11月10日(金)

米エネルギー産業最前線 ~CO2の回収・利用~

経済ニュースをサクサク 深く、「おはBiz」のコーナーです。二酸化炭素を多く出すために、とかく風当たりが強い石炭火力発電。発電所の二酸化炭素を回収して「ある目的」に使うプロジェクトに、日本企業が中心的な役割を果たしています。
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「Eyes on」は、9日に続き、アメリカのエネルギー産業の最前線リポートです。

10日は、CO2=二酸化炭素を多く出すために、とかく風当たりが強い石炭火力発電を巡る国際プロジェクトです。発電所のCO2を回収して「ある目的」に使うというのですが、これに日本企業が中心的な役割を果たしています。

エネルギー産業 最前線 進むCO2の回収・利用

関口解説委員
「ヒューストン郊外の石炭火力発電所『W.A.パリッシュ発電所』に新たに設けられたCO2の回収設備です。年間160万トンのCO2が回収できるということで、世界最大規模、最新の設備です」

このプロジェクトは、日本の大手石油会社JXTGグループが、アメリカの大手電力会社との合弁事業で進めています。

CO2の回収には、特殊な化学物質の溶液を使います。溶液を霧状にして吹きかけると、排気ガスの中のCO2とくっつきます。CO2の90%を捕捉できるといいます。それを再び加熱すると分離して、CO2だけを回収できる仕組みです。
この技術自体が、実は日本のもの。三菱重工が設計、開発した装置です。回収量は、63万台の自家用車が1年間に出す排ガス量に相当するということです。

大手電力会社 デービッド・グリーソンさん
「石炭火力発電所でCO2の排出を天然ガス並みに減らすことができた。これはすごいことだ」

回収されたCO2は、パイプラインで130キロメートル離れた油田に送られています。「ウエスト・ランチ油田」は1930年代に開発された油田。最盛期は1日に4万バレルの生産量がありましたが、それが300バレルまで減っていて、“引退間近”でした。



油田には、CO2を送り込む井戸と、原油を取り出す井戸があります。
油田にCO2と水を注入すると、岩の隙間にこびりついている原油とCO2が溶け合い、浮き上がって、押し流されて出てきます。これは「増進回収法」と呼ばれています。



関口解説委員
「こちらがCO2を注入して油を回収している、この油田のいわば中心部です」

井戸から上がってきた油と水とCO2は、この装置まで一緒に運ばれてきて、ここで分離されます。分離したCO2はもう一度圧縮して、井戸の中で再利用します。取り出した油と水は、また分離され、タンクにそれぞれ入れられます。

この技術によって、この老朽油田の生産量は300バレルから最終的には40倍の1日1万2,000バレルに増える見込みだということです。

油田を操業する会社 ジル・フィスク副社長
「プロジェクトの利点は“ウィンウィン”であること。電力会社と石油会社が連携することでCO2を経済的に活用し、その回収も後押しする。関係者すべてに経済効果があるプロジェクトだ」

このプロジェクトのいわば“橋渡し役”になったJXTGグループは、こう話しています。

JX石油開発から出向 種井健夫さん
「アメリカ側の方々からいつも言われることですが、『このプロジェクトは日本なくしてはありえなかった』。日米合作の、世界に対してチャレンジするプロジェクトだ」

よりクリーンなエネルギーの開発に、日本の技術が生きているというのは誇らしいですね。また、広がっていきそうですね。

そうですね。発展途上国の中でも石炭火力発電を使う時に、こういう技術が生きればいいと思います。安くて、安定的で、クリーンという、すべてを兼ね備えたエネルギーはなかなかありませんが、日本の技術で克服できればいいな、と思います。

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