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おはBiz

2017年10月2日(月)

アメリカでも注目 効率化の極意は

経済ニュースをサクサク 深く、「おはBiz」のコーナーです。トヨタ自動車が提唱する生産手法「カイゼン」が、アメリカで注目を集めています。

「Eyes on」は、アメリカで広がる「カイゼン」の動きですね。

「カイゼン」というと、トヨタ自動車が提唱する生産手法。むだを見つけて、作業を見直し、効率を上げていくというものです。それが今、アメリカで注目を集めているといいます。

アメリカで強まる 製造業の国内回帰

【報告 NHK名古屋 山田賢太郎記者】


9月27日、与党・共和党と合意した税制改革案について語る、アメリカのトランプ大統領。

トランプ大統領
「すべての人々に雇用と富を、そして偉大なアメリカンドリームを取り戻す」

国内の雇用拡大のため、トランプ政権は、製造業を中心に工場の国内回帰を強く促しています。
トヨタ自動車やホンダなど日本の自動車メーカーは、アメリカ国内の新規投資を次々と打ち出しています。

トヨタの“カイゼン” アメリカでニーズ高まる

さらに、トヨタはアメリカ人から理解され、現地にとけ込むための長年の取り組みを今、強化しています。

トヨタプロダクションシステム・サポートセンター 堀之内貴司社長
「“カイゼン”は自動車に限らず多くの分野で応用することができる」





トヨタの生産手法の柱である「カイゼン」のノウハウを、アメリカの地元企業などに伝授するための組織。設立から25年で、支援した企業や団体はおよそ350件に上ります。




その一つ、カリフォルニア州の病院です。患者の増加に対応できず、診察の待ち時間は4時間に上っていました。そこで、治療の内容ごとに色分けした箱に、患者のカルテを整理する方法をアドバイス。待ち時間をおよそ半分に減らす成果が出たということです。

この取り組みのきっかけは、日米貿易摩擦でした。1980年代、「日本から輸出される車がアメリカの製造業を脅かしている」と激しい非難を浴びたのです。
トヨタの相談役の張富士夫さんは当時、アメリカの現地法人の社長を務めていました。アメリカ人から理解を得たいと、この取り組みを始めたといいます。

トヨタ 張富士夫相談役
「トヨタのイメージをアメリカで上げたいとか、そういうこともあるし、それから地域とうまくやりたいということもありますし。すぐ会社を作ってスタートしました」



雇用の増加につながった企業もあります。ミシガン州の老舗の家具メーカーです。映画館向けのリクライニングチェアの製造に乗り出したものの、注文の増加に対応できず、かえって生産効率が落ちてしまいました。
支援を要請されたトヨタの堀之内さん。まず、トヨタの工場では普通に使われている「アンドン」というランプを設置しました。生産にトラブルが生じたら、即座にランプを点灯させることで、速やかに対応できるようになりました。
さらに生産ラインも見直しました。

これまでは3人1組となって、5つのラインで生産していました。1人当たりの負担が大きく、経験の少ない人が加わると作業に時間がかかり、生産効率が落ちてしまいました。




そこで10人1組のラインに集約。1人当たりの作業負担を減らすことで、生産効率を上げることができました。
こうした取り組みによって、1人当たり1日の生産量がおよそ70%も上昇。多くの注文に対応できるようになったことで、雇用も150人余り増やしました。

家具メーカーCEO
「将来にわたる競争力がつき、ほかのアメリカメーカーも恩恵を受けている」

堀之内貴司社長
「本当に小さなカイゼンが、実は大きな効果が出るということを体験していただく。製造業だけではなくて、いろんなサービス業、生産性を高めるニーズというのは非常に高いと思います」

生産手法という、いわば秘伝の技を授ける。そこまでやっていいのかな、という気持ちもありますが。

企業が海外に進出する以上、売り上げや利益にこだわるのは当然ですが、地元の人から前向きに評価される存在になること。これは、意外にも経営者が忘れがちな、しかし、ビジネスをスムーズに進めるうえで大切なポイントだと思います。