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新潟 妙高山系山開き 環境保護の新たな取り組み

  • 2023年07月07日

7月1日に山開きが行われた妙高山や火打山などの妙高山系。夏の登山シーズンを迎え、観光客の回復への期待と、自然環境を保護するためにことしから始まった新たな取り組みについて取材しました。(上越支局 阪本周悠記者)

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夏の登山シーズン迎え 無事故を祈願

6月30日、山開きを前に妙高市の関山神社で行われた安全祈願祭。観光関係者や警察官など
およそ30人が出席しました。

妙高ツーリズムマネジメント 引場良男 会長
いよいよ登山シーズンが始まります。今シーズンにつきましては遭難、あるいはけが人が出ないことを心から願っています。

登山客 回復の動きも

夏の登山シーズンを迎え、妙高市の観光振興を行う「妙高ツーリズムマネジメント」によると、標高2450メートルあまりの妙高山と火打山の間にある山小屋では、今シーズンの宿泊予約が好調だということです。

相部屋は7月下旬ごろから平日も満室の日が出ているほか、個室は8月にかけてほぼ埋まっていて、
観光客の回復への期待が高まっています。

妙高ツーリズムマネジメント 引場良男 会長
コロナの間と比べれば訪れる人が非常に多くなっています。冬のスキーの時期だけでなくグリーン期にも妙高高原に来ていただき3つある日本百名山を走破してほしい

環境保護の新たな取り組みも

山開きにあわせ、登山口では新たな取り組みも始まりました。

妙高山などに登山する際の「入域料」の支払いをQRコードでも受け付けることにしたのです。

集金にあたった妙高市環境生活課 後藤純二さん
財布はカバンの奥にしまっていることがありますが、携帯電話はポケットなど身近なところにあるので、登山者の方が負担なく払える体制を整えたいということから取り組みを始めました。

妙高山系では令和2年から生息するライチョウの保護や登山道の整備のため、入域料の寄付を      呼びかけています。

昨年は訪れた人のおよそ6割から400万円あまりが集まり、ライチョウのえさを増やすため
イネ科の植物を除去する事業や登山道の鎖の付け替えなどに充てられたということです。

この入域料をより気軽に支払ってもらおうと、妙高市は登山アプリを運営する福岡市の会社と協力して
ことしからQRコードによる支払いを受け付けることにしました。

登山客 
QRコード決済だと助かります。便利ですね。登山道の整備などとても大変だと思うので、『入域料を払わせてください』くらいの気持ちで払っています。

入域料は富士山や屋久島などでも導入されていますが、福岡市の会社によるとQRコードでの支払いに対応したのは妙高山系が全国でも初めてとみられるということです。

妙高市環境生活課 後藤純二さん
数人のお客様から『QRコードだったら』という声もいただき効果を発揮していると思っています。訪れた方にはまずは自然環境を楽しんでいただきたい。そして楽しむときに可能な範囲で入域料の制度にご協力いただければありがたいです。

観光客の回復とともに自然環境の保護を

妙高市では、QRコード支払いの導入でさらに多くの入域料が集まることに期待しています。

妙高山系やその周辺に生息するライチョウはえさとなる高山植物が減っていることなどから、現在20から30羽ほどと少なくなっていて、絶滅するおそれがあるということです。

入域料が増えれば、ライチョウを保護するためにえさを増やしたり、天敵を調査したりする活動を
より広い範囲で行えるようになるということです。

また、去年は妙高山や火打山を訪れた人がおよそ2万3000人と、新型コロナの感染拡大前の2019年から8000人ほど落ち込んでいました。
ことしは山小屋の予約が好調なだけに登山客の回復にも期待がかかっています。

妙高山系を多くの人が訪れるとともに、豊かな自然環境を守る取り組みが進むことに期待したいと思います。

  •  阪本周悠

    新潟放送局 記者

     阪本周悠

    2021年入局。
    主に上越地域を担当。 

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