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新潟 新型コロナ5類に 生活・学校どう変わる? 感染対策は?

  • 2023年05月09日

新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5月8日から季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行し、3年あまり続く新型コロナ対策は大きな節目を迎えました。私たちの暮らしはどう変わっていくのでしょうか。節目を迎えた街の様子や学校を取材しました。

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「5類」移行で何が変わった? 感染対策は個人の判断に

新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが「5類」に移行したのに伴い、法律に基づく行動制限は求められなくなり、感染対策は個人の判断に委ねられました。

医療費に変化 一部自己負担に

移行にともない医療費の負担も変わりました。検査や入院などの医療費はこれまで全額公費負担でしたが、検査は自己負担に。外来診療も治療薬を除いて自己負担になりました。ただ、入院については2023年9月末までは自己負担額を軽減する措置が講じられます。

感染拡大を防ぐために行われてきたホテルなどの宿泊療養施設の提供や自宅療養者に対する食料支援は終了。ただ県は「新型コロナ健康相談センター」を設置し、健康状態に関する相談を24時間受け付けています(電話番号はこちらです↓)。

感染者数の発表は週1回に

また県と新潟市はこれまで新規の感染者数を毎日発表していましたが、今後は週1回の発表に切り替えます。これは「5類」への移行にともない、すべての感染者数を毎日発表する「全数把握」からの転換を図る政府の方針に基づくものです。流行状況の把握については指定した医療機関が報告する「定点把握」によるデータを定期的に発表することになったためで、今後、県は月曜日から日曜日までの1週間分を次の木曜日に公表することにしています。

新潟市民の受け止めは

「5類」への移行について、新潟市の市民からは歓迎する声のほか、今後も感染対策は変えないといった声も聞かれました。

60代男性

まだ感染は怖いし、医療費負担が生じることへの不安もありますが、今回の移行が平常に戻る節目になった感じでよかったなという実感です。

40代男性

今後は基本的にマスクを外そうと思っています。最近は外食にも家族で行けるようになってきているので、移行によって日常に戻っていいと思います。

20代女性

今後は新型コロナウイルスを気にしすぎることなく、日常を楽しみたい。
入院などにお金がかかることになるので、新型コロナウイルスに感染したことを言わなくなる人が増える可能性もあると思う。

60代女性

持病があるので感染対策は変えないつもりです。医療費がかかるようになると年金生活者には困るので、今後も予防接種を受けるなど備えたいと思います。

スーパーでは飛まつ防止シートを撤去

県内でスーパーを展開する会社では、3年前から感染対策としてレジに飛まつ防止用のシートを設置していましたが5月8日午前0時以降、すべての店舗で取り外しました。

またマスクについては、2023年3月に利用客に対する着用の呼びかけをやめていましたが、8日から従業員についても個人の判断としました。さらに総菜の売り場では焼き鳥や天ぷらなどの販売を「パック詰め」だけにしていましたが、今後は「ばら売り」も再開する方針です。

こうした対応について40代の女性客は「対応を緩和していくのはいいことだと思います」と話す一方、70代の男性客は「社会全体としては緩和していくと思うが、私は高齢で感染したくないのでマスクの着用を続けます」と話していました。

小学校でも少しずつ変化が

新型コロナウイルスの感染症法上に位置づけが「5類」に移行したことに伴い、文部科学省は学校現場での感染対策について定めた衛生管理マニュアルを改定しました。具体的には▼日常的な消毒作業や▼児童生徒の毎日の検温、それに▼給食時の黙食は不要だとしています。 
また感染した場合の出席停止の期間の基準について、これまでは発症の翌日から原則「7日間」とされていましたが、今後は原則「5日間」となります。

県内の小学校では「5類」への移行を前に2023年4月から▼マスクの着用が原則不要になったほか▼給食の時間にも換気などの対策を行えば「黙食」をする必要はなくなっていました。
「5類」への移行にともない、感染が流行していなければ、子どもどうしが触れあわない程度の適度な距離を保つことも求められなくなりました。

十分な換気の上 グループでの活動も活発に

8日、新潟市中央区の有明台小学校で行われた図工の時間。児童たちが向かい合わせに座り話し合いながら絵を描いていました。教室では感染対策として2つの方向の窓を常に開けて換気が行われていました。

運動会に向け応援歌の練習に熱

休み時間には、2023年5月に行われる運動会に向けて応援団のリーダーを務める5、6年の児童が集まり、大きな声で応援歌の練習をする姿が見られました。運動会では4年ぶりに児童全員で応援歌を歌うということで、練習にも力が入っていました。

給食は控えめに会話を楽しみながら

また、給食の時間には手洗いや換気をした上で「黙食」はせず、同じ方向を向いた児童らが控えめな声で会話を楽しみながら食事をしていました。

6年生の男子児童は「黙食のときは静かに食べていて楽しくなかったけど、話せるようになって雰囲気がよくなり楽しいです」と話していました。

少しずつコロナ前の日常が

有明台小学校の白澤陽子校長は、少しずつ日常が戻ってきているのを感じると言います。

有明台小学校 白澤陽子 校長
マスクを外すことができるようになり、子どもたちがマスクを外した笑顔を見せてくれたとき、この子はこんなふうに笑うんだと思いました。笑顔を互いに見ることができるのは本当に幸せなことだと感じます。感染対策に気を配りながらですが、グループでの話し合いや声を出しての応援練習なども始まり、少しずつ感染拡大前の日常が戻ってきていると感じています。これからは子どもたちが地域の人と関わりつながっていく教育活動に取り組んでいきたい。子どもたちにはこれまで以上にいろいろなことに挑戦していってほしいと思っています。

新潟県は自主的な判断での感染対策継続を呼びかけ

新潟県は対策本部会議を開催。県はウイルスの病原性に今後も変わりはないとして、県民に対し、医療機関や高齢者施設を訪れる時はマスクを着用するなど自主的な判断で感染対策を続けるよう呼びかけることを確認しました。

会議のあと花角知事は次のように述べました。

2020年2月に県内で初めて感染者が確認されてから3年以上がすぎたが、医療関係者や市町村、多くの県民のみなさまの協力を得て深刻な医療崩壊を避けることができた。きょうから「5類」に移行したが病原性が変わるわけではないので、引き続き自身の体調管理に十分に気を付けてほしい。そのうえで社会経済活動を感染拡大前に戻し、さらに活性化させていきたい。

専門家「感染対策は柔軟に メリハリをつけて」

新潟大学大学院 菖蒲川由郷 特任教授

感染症対策を専門とする新潟大学大学院の菖蒲川由郷特任教授は今後も感染のリスクはあるとして
注意を呼びかけています。

菖蒲川由郷 特任教授
「5類」になった瞬間から新型コロナウイルスが消えてなくなるわけではなく、弱いウイルスに変わるわけでもない。感染すれば肺炎を起こすなどのリスクは残り続ける。また今後、オミクロン株から新たな変異が出てこないとも限らない。基本的にはいままで行われてきた感染対策は必要で、3密を避ける、熱やせきなどの症状があるときは外に出ない。また病院や高齢者施設に行くときはマスクをするなど、状況に応じて対策を取ることが大切だ。

一方、周囲に人のいない屋外でマスクを着用するなど対策が過剰になっている面もあるとして状況に応じた柔軟な対応が重要だと指摘しています。

感染が流行していない状況でちょっと外に出るときなどにマスクは必要ない。人混みに行くとかちょっと調子が悪いときにはマスクをするなど、メリハリのある柔軟な対応が求められる。恐れすぎず、正しい情報をもとに状況に応じて自分で考えて対応してくことが重要だ。

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