教えて加藤さん 晴れと快晴 基準はあるの?
- 2022年11月25日
気象予報士の加藤直樹です。NHK新潟放送局の夕方のニュース「新潟ニュース610」で平日毎日、気象情報をお伝えしています。みなさんからお寄せいただいた気象・天気に関する疑問や質問に懇切丁寧にお答えします。
「雲の少ない快晴」 その基準は?
「きょうは雲の少ない快晴でした」。気象情報で時々耳にするフレーズです。晴れの中でも特に雲が少ないのが快晴、というイメージを持っている人は多いと思いますが、具体的な快晴の基準があることをご存じでしょうか?
天気の呼び方を分けるのは雲の量
空全体を10として、そのうち何割ほど雲があるかを「雲量」と言います。この雲量が1以下(雲の量が空全体の1割以下)で「快晴」、雲量が2から8(雲の量が空全体の2割から8割)で「晴れ」、そして雲量が9以上(雲の量が空全体の9割以上)で「曇り」となります。
つまり、空全体の半分以上に雲があっても、「晴れ」扱いになることがあります。「晴れ」の含む範囲が広いのはすこし意外かもしれません。
ちなみに、観測上「快晴」の表現が使われることはありますが、気象庁発表の予報文で「快晴」の単語は用いないルールになっています。つまり雲の量が8割以下の空で、雨や雪が降らない予想のとき、気象庁の予報では「晴れ」と、とってもシンプルな表現になります。そこで私を含め気象キャスターの人たちは「雲が少ない晴れ」だとか「雲が目立つ晴れ」と表現を工夫して使い分けていたりします。
この空は晴れ? 曇り?
雲の量で「快晴」「晴れ」「曇り」が分かれるとお伝えしましたが、それだけでは判断に迷う空もあります。下の写真をご覧ください。
2022年4月、柏崎市と上越市にまたがる米山に登った時に撮影しました。空全体の9割以上に雲はかかっているものの、薄い雲が中心で太陽からの光が地上にも届いていました。この空は「晴れ」でしょうか? それとも「曇り」でしょうか?
曇りと区別して「薄曇り」
実は、こういった空には「薄曇り」という呼び方があります。さきほどの説明では「雲量が9以上(雲の量が空全体の9割以上)で曇り」と書きましたが、大気上層の薄い雲が中心の時は地上で日影ができることが多く、「曇り」と区別して「薄曇り」と呼ぶことになっています。
そしてこの「薄曇り」ですが、太陽の光が届くこともあって、薄曇りが予想されるときの天気予報では「晴れ」として扱われるルールになっています。そのため、予報で晴れマークがズラッとついていても、翌日薄い雲が空をおおっていることがあり得ます。ただ必ずしも予報が外れているわけではないのです。
ちなみに「薄曇り」予想の「晴れ」予報のとき、私は「薄雲越しに日差しが届きそうです」などとコメントするようにしています。画面だけでは得られない情報を補足するためです。テレビで気象情報をみているとどうしても画面のマークに目がいきがちですが、ぜひコメントにも耳を傾けてみてください。
今回のお答え
雲の量が1割以下で快晴 2~8割で晴れ 9割以上で曇り
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