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「運転技能検査」「サポートカー限定免許」どう変わる?

  • 2022年06月30日

高齢ドライバーによる事故が全国的に後を絶たない中、国は道路交通法を改正して事故の防止へ対策を強化した。キーワードは「運転技能検査」と「サポートカー限定免許」。今回の法改正でどんな変更があったのか、入局2年目、阪本記者が実際に体験した内容をまじえて伝える。
(新潟放送局 記者 阪本周悠)

高齢ドライバーの事故を防げ 法律改正

高齢ドライバーによる交通事故が全国的に相次いでいる。

警察のまとめによると新潟県内では高齢ドライバーによる事故は去年1年間に791件。これはすべての事故の約27.8%を占めていて、この割合は近年緩やかに増加している。

こうした状況を受けて国は道路交通法を改正し、高齢ドライバーへの事故防止対策を強化した。

改正された道路交通法は2022年5月13日から施行。今回変更されたのは主に2点だ。

▼運転免許を更新する際、一部の高齢者を対象に新たに「運転技能検査」を導入
▼新たな限定免許として「サポートカー限定免許」を導入

2つの制度はどのようなものなのか、そして導入によって何が変わったのだろうか。

運転技能検査とは 実際にやってみた

運転技能検査とは過去3年以内に一定の違反歴がある、75歳以上の高齢ドライバーに対して新たに設けられた制度だ。

免許の更新時に検査が義務づけられ免許満了日までの6か月間は何度でも受検することができるが、期限までに合格できない場合は免許を更新できず失効してしまう。

対象となる違反は信号無視や速度超過、携帯電話の使用など11項目だ。

対象となる違反
信号無視 、通行区分違反 、通行帯違反等、速度超過 、横断等禁止違反 、踏切不停止等・遮断踏切立入り 、交差点右左折方法違反等 、交差点安全進行義務違反等、横断歩行者等妨害等、安全運転義務違反、携帯電話使用等

新潟県では36ある指定自動車教習所で検査が実施される。

実際にどういった試験なのか体験させてもらうため、今回は特別に聖籠町にある運転免許センターで検査を再現してもらった。

検査は対象者が実際に車を運転し、助手席に乗り込んだ検査員が技能を確認する。

検査項目は、道路を指定された速度で走行できているかや、一時停止など道路標識をきちんと守っているか。

段差乗り上げの検査

それに段差を乗り上げるときにアクセルからブレーキに素早く踏みかえられるかなどが確認される。

確認される技能は5項目。すべて基本的な運転操作だ。

指示速度による走行 / 一時停止 / 右折・左折 / 信号通過 / 段差乗り上げ

100点満点から減点方式で行われ、速度が速すぎると10点の減点、停止線を超えると最大20点の減点などと決められている。

検査全体を通して70点を下回ると不合格となる。

今回検査を体験し減点なく合格したものの運転技能検査の検査対象外の部分で、改善点を指摘いただいた。

新潟県警察 運転免許センター 阿部修 センター長補佐
「減速が少し遅れているということで早めの減速をお願いしたいです。また、左折するとき路肩から離れているので気をつけてください。それと大きな交差点を右折された時ですが、4車線道路でしたので進路変更してからの右折をしてください」

検査は合格とはいえ非常に反省点の多い運転だった。改善点を指摘してもらい改めて安全運転に努めようと気持ちを新たにすることができた。

運転免許センター 古泉清幸 高齢運転者支援室長

運転免許センター 古泉清幸 高齢運転者支援室長
「運転技能検査を受けることで自身の運転リスクを再確認し、今まで以上に交通安全に努めていただきたい」

(動画でご覧になれます 約2分10秒)

新設 サポートカー限定免許

道路交通法の改正でもうひとつ導入されたのが「サポートカー限定免許」だ。

運転できる車種をサポートカー(安全運転サポート車とも呼ばれる)に限るという免許で、免許センターや警察署などで運転者自身が申請することで切り替えることができる。

サポートカーには先端技術によってドライバーの運転を支援する機能が搭載されているが、一般に「サポートカー」と呼ばれるすべての車が限定免許の対象ではないため注意が必要だ。

対象となるのは
1)道路運送車両法で定められている「道路運送車両の保安基準」を満たした衝突被害軽減ブレーキ※1が搭載されている車、もしくは
2)衝突被害軽減ブレーキとペダル踏み間違い時加速抑制装置※2が搭載され、それぞれの機能が国土交通省による性能認定を受けている車、
以上の2種類だ。

※1
レーダーなどによって前方にある車両や歩行者を検知し、衝突の可能性があるときには運転者に警告し、さらに近づいた場合に自動でブレーキが作動する機能
※2
発進時や低速で走行しているときブレーキペダルと間違えてアクセルペダルを踏み込んだ場合、加速を抑制する機能

対象となる車はおおむね2020年の秋以降に販売された車に限られている。

対象車種は警察庁のサイトで公表されているため、限定免許への切り替えを考える人は自身の車が対象かどうかぜひ確認していただきたい。

今回は新潟市内の自動車販売店でサポートカーの機能を体験させてもらった。

体験した機能はペダル踏み間違い時加速抑制装置だ。

この車には前方と後方にあわせて8つのセンサーが備え付けられているという。

時速15km以下で前方に障害物をみつけるとアクセルを踏んだとしても加速が制限され、衝突の危険性があると判断されれば自動でブレーキが作動する。

壁を認識  自動的にブレーキがかかり停車した
車内のモニターには警告が表示される

主に駐車場で起きるペダルの踏み間違え事故を防ぐことが目的だ。

金網やフェンスには十分に反応しないことがあるなど注意が必要だが事故防止への期待は大きい。

サポートカーは日常生活に車が必要で免許返納には踏み切れないものの、安全に運転を続けたいという人にとって1つの選択肢になりそうだ。

(動画でご覧になれます 約1分25秒)

事故防ぐため 私たちにできることは

高齢ドライバーによる事故を防ぐために導入された2つの制度。

しかし、最終的にはドライバー自身の安全運転への意識が最も重要だ。

制度の変更をきっかけにドライバーひとりひとりが、いま1度、自分自身の運転の技能や体力などを見つめ直し安全運転に努めることが必要だと感じた。

  •  阪本周悠

    新潟放送局 記者

     阪本周悠

    令和3年入局。警察・司法取材を担当 公共交通や都市計画などに関心 日本酒が好き。

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