本文へジャンプ


2013年12月8日放送 再放送:12月15日よる

変貌するパリを描く ギュスターヴ・カイユボット

出演

鹿島茂さん(フランス文学者・明治大学教授)

VTR出演

小池昌代さん(詩人)
南伸坊さん(イラストレーター)ほか

印象派コレクションで知られるパリのオルセー美術館。ルノワール、ドガ、モネなど巨匠たちの傑作が並ぶ展示室に、日本ではあまりなじみのない、ある画家の作品が飾られている。その画家の名は、ギュスターヴ・カイユボット(1848-1894)。これまで印象派の画家たちを支えたコレクターとして知られた人物だったが、近年、画家としての評価が高まっている。
資産家の家に生まれたカイユボットは、その豊富な財力で、まだ評価が低かった印象派の作品を次々と購入し、画家たちを経済的に支えた。その一方、みずからも印象派展に作品を発表。パリの人々の日常を描いたその作品は、19世紀末、大きな時代の転換点にあったパリの空気に満ちていると評され、90年代半ば、欧米で没後100年を記念する回顧展が開かれたのをきっかけに、再評価が始まったのだ。
「印象派」といえばこれまで、光や色彩を強調した斬新な表現が注目されてきたが、カイユボットの作品にはもうひとつの側面がある。19世紀、「パリ大改造」によって街が大きく変貌する中で労働者や身近な家族の日常を、大胆な構図や独特の視点で描いていることだ。淡々と床を削る職人、町を行き交う人々、街角のペンキ塗り、人々の物憂い表情や後姿からかいまみえる倦怠感は、現代人の孤独を先取りしたものとして、深い共感を呼んでいる。
今回、アジアで初めてとなる回顧展が開かれているのを機に、知られざる傑作の数々を紹介。その人物像と、魅力に迫る。

関連展覧会

カイユボット展-都市の印象派

会場 ブリヂストン美術館 12月29日まで

写真

《ヨーロッパ橋》1876年 
アソシアシオン・デ・ザミ・デュ・プティ・パレ、ジュネーヴ蔵
©Association des amis du Petit Palais, Genève