山田太一さん(作家・脚本家)
江成常夫さん(写真家)
アーサー・ビナードさん(詩人)
福島原発事故による放射能の甚大な被害。原子力が抱える人類規模の問題を、50年前、静かに告発した画家がいた。20世紀アメリカを代表する画家ベン・シャーン(1898〜1969)。
彼の晩年の代表作が、1954年の第五福竜丸被爆の事件をテーマにした「ラッキー・ドラゴン」シリーズ(1960)である。日本では、2006年に「ここが家だ〜ベン・シャーンの第五福竜丸〜」というタイトルの絵本として出版され、大きな注目を集めた。焼津港を出港した船が漁をする様子、被爆の瞬間、死の灰、そして久保山愛吉さんの死など、事件の経過が克明に描かれた絵本。シャーンはその後も連作を描き続け、アメリカでも原子力の開発に警鐘を鳴らした。
リトアニアの貧しいユダヤ人の息子として生まれ、幼い頃両親とともにアメリカに移住したシャーンは、ニューヨークで石版工として働き、大学で学んだ後、画家の道を志す。出世作となったのは、二人の社会主義者の移民が強盗殺人のえん罪で処刑された「サッコとヴァンゼッティ事件」(1931)のシリーズだった。裁判の経過を淡々とドキュメント風に描いた作品は大反響を呼ぶ。
以後シャーンは常に社会の不正から目をそらすことなく、貧しい人々、弱い立場の人々の哀(かな)しみや痛みを深いまなざしで描き続けた。見る者の心にそっと手を差しのべるような絵。
福島の原発事故、格差社会に怒るアメリカの若者たちのデモ、時代はまさに国境を越え、シャーンが見据えた苦難に満ちている。
番組では20年ぶりに日本で大回顧展(絵画イラストなど200点、写真300点)が開かれるのを機に、ベン・シャーン芸術の今日的意味を読み解く。
ベン・シャーン クロスメディア・アーティスト
―写真、絵画、グラフィック・アート―
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| 会場 | 会期 |
|---|---|
| 神奈川県立近代美術館 葉山 名古屋市美術館 岡山県立美術館 福島県立美術館 |
2011年12月3日〜2012年1月29日 2月11日〜3月25日 4月8日〜5月20日 6月3日〜7月16日 |

『解放』
(1945年 ニューヨーク近代美術館蔵)

『一篇の詩の最初の言葉』
(1968年 神奈川県立近代美術館蔵)
『ラッキードラゴン』
(1960年 福島県立美術館蔵)