2010年2月28日放送

欧州を丸ごと持って来い!
国立西洋美術館誕生秘話

出演

松本幸四郎さん(歌舞伎俳優)
越智裕二郎さん(兵庫県立美術館館長補佐)

去年、開館50周年を迎えた国立西洋美術館。日本に西洋美術を紹介する中心的な役割を担ってきたこの美術館は、実業家・松方幸次郎が戦前に集めたコレクションをもとに設立されたものです。しかし、開館の更に40年前、現在よりも格段に充実した美術品が集められ、松方による私立の美術館「共楽美術館」の建設準備が進められていたことは、あまり知られていません。
川崎造船所の社長をつとめた松方。第一次世界大戦ぼっ発直後のロンドンで半年間に貨物船12隻を売り上げ、そのばく大な利益をもとにヨーロッパの美術品を買い集めました。収集のきっかけは、イギリス美術界の寵児(ちょうじ)だったフランク・ブラングィンの絵画『造船所』を購入したこと。圧倒的な色彩で松方の職業に関わり深いテーマを描くブラングィンにひかれ、交友を深めました。やがて、彼の人脈を頼りにコレクションがスタートします。ゴッホ『ゴッホのアルルの部屋』、ルノワール『アルジェリア風のパリの女たち』などおどろくほどの名品が松方のもとに集まり、その数は1万点をこえました。
収集を始めて3年後、松方は美術館の建設を構想します。「経済だけではダメだ、文化も一等国にならないといかん、国がやらないなら私がやる。貧しい学生たちに本物の西洋美術を見せたい」と考えたのです。ブラングィンに設計を依頼。美術品のみならず、家具や陶器も展示し、人々が西欧文化をそのまま体感できることを目指しました。
番組では、大正から昭和初期にかけての激動の時代を背景に、松方の美術館計画を追跡するとともに、幻に終わった「共楽美術館」のコレクションの片りんを紹介。松方が夢見た美の世界とその思想を探ります。

関連展覧会

「フランク・ブラングィン」

会場 会期
国立西洋美術館(東京・上野) 2月23日〜5月30日


共楽美術館の設計図


『ブラングィンの描いた松方幸次郎の肖像』
国立西洋美術館所蔵


ロンドンのブラングィンのアトリエ