本文へジャンプ


2009年12月6日放送 再放送:12月13日

根津美術館の至宝
~救われた日本美術~

出演

松岡正剛さん(編集工学研究所所長)

東京・青山の根津美術館は、国宝7件、重要文化財87件を含むおよそ7000件の名品を所蔵する。多くのファンを持つ国内屈指の私立美術館が、3年半にわたる工事を経て、この秋、リニューアルオープンした。
コレクションは、平安から室町を中心とする500件もの仏教美術を始め、足利義満伝来の品で東山御物の牧谿(もっけい)の「漁村夕照図」(国宝・南宋時代)、神品(しんぴん)とたたえられる「那智瀧図」(国宝・鎌倉時代)、そして近世絵画の最高傑作・尾形光琳「燕子花図屏風」(国宝)や円山応挙の軽妙洒脱(しゃだつ)な優品「藤花図屏風」(重要文化財)など、美術の教科書に欠かせないような作品ばかり。さらに世界屈指の中国古代の青銅器コレクションも彩りを加える。
この奇跡的なコレクションの大半は、根津嘉一郎(1860-1940)が一代で成したものである。甲州出身の嘉一郎は、東京に出て、東武鉄道など多くの鉄道会社の経営に携わり、「鉄道王」と呼ばれた。この徹底的に合理的な実業家が、一方で、名品が市場に出ると聞くや、周囲が驚くほどの高額で手中におさめた。いったいなぜなのか?嘉一郎が本格的に収集に乗り出した当時は旧大名家や富豪たちが先祖伝来の家宝・名品を続々と売り立てに出し始め、非常に安く売買されていたため、名品の多くが海外のコレクターの手に渡っていった時期であった。嘉一郎はそれを阻止し、国内に名品をとどめおこうとしたのである。また一方でアメリカ視察がきっかけとなり、「公共」のための事業、社会への文化的な貢献にも意を用いるようになる。それに伴い収集は個人の趣味をこえて、より幅広いものとなっていった。そして遺言により美術品を子孫にではなく、財団に譲渡し、美術館が誕生したのであった。
伝統と現代が調和する新展示棟を設計者である隈研吾さんの案内によって紹介。さらに根津嘉一郎の美にかけた生涯をたどりながら、根津美術館が誇る至宝の数々をたんのうする。

関連展覧会

「新創記念特別展第二部 根津青山の茶の湯」

根津美術館(東京・青山) 12月23日まで

※以降2010年9月まで所蔵名品を順次展示(全8部)。
各作品の展示期間は、根津美術館ホームページでご確認ください。

写真

『那智瀧図』(国宝)鎌倉時代 13~14世紀


※画像をクリックすると、拡大表示します。