2009年11月15日放送

ぜいたく?素朴?ポンペイの暮らし方

出演

青柳正規さん(国立西洋美術館長)

ヴェスビオ火山の噴火で一瞬にして埋もれ、2000年前の町がタイムカプセルのように残されたイタリア南部の町ポンペイ。18世紀に発見され今も発掘が続くが、次々に明らかになる豊かな生活の有様は、古代ローマ帝国に関する“常識”を大きく変えてきた。石で舗装され、車道と歩道に分けられた街路。立ち並ぶ商店。2万人規模の円形闘技場。何種類もの風呂はもちろん、運動場まで備える公衆浴場。
中でも世界を驚かせたのが、家々の壁を彩る鮮やかな壁画だった。20もの部屋をもつ大邸宅から、一間きりの店舗兼住宅まで、あらゆる壁という壁が鮮やかなフレスコ画で飾られていたのだ。神話や物語を描いたもの、狭い部屋を別の空間に変えてしまうような精巧な「だまし絵」。
壁画は、ポンペイ市民ひとりひとりの充実した暮らしを思わせる一方で、彼らが自然に対する畏怖(いふ)を忘れなかったことも物語っている。「黄金の腕輪の家」の食堂壁の庭園画は、描かれた植物それぞれに“豊穣(ほうじょう)”“不老”などの意味が込められている。各家庭には神棚がしつらえられ、土着の神が描かれ祀(まつ)られている。
番組では、ポンペイの壁画をたどり、繁栄の極みにありながら自然への敬意を忘れなかった古代ローマ市民のバランスのとれた精神生活に迫る。

関連展覧会

「古代ローマ帝国の遺産 栄光の都ローマと悲劇の街ポンペイ」

会場 会期
国立西洋美術館(東京・上野) 12月13日まで
愛知県美術館 2010年1月6日〜3月22日
青森県立美術館 4月10日〜6月13日
北海道立近代美術館 7月3日〜8月22日


「黄金の腕輪の家」の庭園画
(ボスコレアーレ、アンティクアリウム蔵)