2009年9月27日放送

現代の匠たち 技と美
第56回日本伝統工芸展

出演

竹内順一さん(茨城県陶芸美術館館長)
ニコル・ルマニエールさん(セインズべリー日本藝術研究所所長)

戦後、急激な生活様式の変化により、存続の危機にさらされた日本の伝統工芸。各地に伝わる工芸技術の保護・育成のために、昭和29年、重要無形文化財(人間国宝)の指定制度とともに誕生したのが、日本伝統工芸展である。陶芸、漆芸、金工、木竹工など七部門で、現代の匠たちが、最高の素材で、もてる技の限りを尽くして競う“工芸界の日本一決定戦”。その第56回展が、9月25日から開かれる。
伝統工芸といっても、たんに古くからの技を継承するだけではない。先人たちが営々と築いてきた伝統をふまえながらも、今という時代にふさわしい美のありかたが求められる。
新人賞を受賞した「真珠光彩壺(しんじゅこうさいつぼ)」は、石川県の中田博士さんの手になる。はつらつと光輝く磁器は微妙なゆがみをみせるが、磁器にはまれなこのゆがみにこそ若武者ならではのこだわりがあった。
大阪府の藤嵜一正さんの「欅拭漆刳貫稜線筥(けやきふきうるしくりぬきりょうせんばこ)」 。端正な造形を生み出したのは、かつて訪れた北海道・富良野のなだらかな丘への感動だった。素材である木との対話、繊細なカンナ削りを重ね、優しく人間的な曲線にまで到達した。
山口の堀尾信夫さんが制作した「横置楕円研(よこおきだえんけん)」は通常の縦長でない横長の斬新な硯だ。硯の制作者自体が少なくなった今も、実用性と造形性を兼ね備えた硯(すずり)を作り続ける孤高の作家の姿がそこにある。
受賞した16作品すべてを紹介しながら、5人の工房を訪ね、制作にかける熱い思いにふれる。

関連展覧会

「第56回 日本伝統工芸展」

会場 会期
日本橋三越
<以下、全国11か所巡回>
9月25日〜10月4日


中田博士『真珠光彩壺』
(日本工芸会新人賞)


藤嵜一正『欅拭漆刳貫稜線筥』
(高松宮記念賞)


堀尾信夫『横置楕円研』
(日本工芸会会長賞)