2009年9月20日放送

ちひろも漱石も
〜コラボレーション・絵画と俳句〜

出演

松本猛さん(安曇野ちひろ美術館館長)
谷地快一さん(東洋大学教授)

いわさきちひろ作
『草むらの小鳥と少女』 1971年

いわさきちひろ作
『ののさまだいすき』 1971年


絵画と俳句が精妙に響き合って不思議なハーモニーを奏でる世界をたんのうする。
これは絵画でもない、俳句でもない、独特な趣を醸し出す表現だ。
番組では、いわさきちひろの“絵画”と、小林一茶の“俳句”のコラボレーション作品、そして夏目漱石が創作した多彩な俳画作品を紹介する。
遠く日本文化の源流を辿ると、詩文や絵画など得意分野を超えたマルチな学芸の習得と表現はむしろ一般的だった。一身に幅広い教養と技を吸収する気骨は文人として立つ矜持(きょうじ)でもあった。俳句、俳画など削ぎ取った表現を進化させ、余白の美を追求してきた日本文化において、各文芸間のコラボレーションが発達してきたのも必然だった。それは余白間の重なりを楽しむ趣向である。
文芸をなりわいとする人々の環境も変わり、現在は分業化が進んだ結果、画描き、小説家、俳人などの専門性が特化している。こうした文化状況を踏まえながら、あえてコラボレーションを取り上げるのは、そこに新しい表現の地平と可能性が広がっているからだ。コラボレーションに正解はなく、権威も序列もない。自由な鑑賞と大胆な創造が求められているだけだ。
次々に紹介されるコラボレーション作品がもつ多彩な余白に、あなたははどんなイメージを投影するのだろうか。

夏目漱石作 『竹林帰僧図』

夏目漱石作 『椿図俳賛』