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2009年7月19日放送
【アンコール】2009年12月27日放送

この人が語る 私の愛する画家
髙村薫 私とマーク・ロスコ

出演

髙村 薫さん(作家)

作家 髙村薫。「マークスの山」(直木賞受賞)「レディ・ジョーカー」などミステリ-の傑作で多くのファンを持つ。
近年、大きく作風を変え「晴子情歌」「新リア王」などの作品では戦前戦後の何代にもわたる家族の物語を日本近現代史への深い洞察とともに描き、新境地を切り開いた。
これまで美術について語ったことのない髙村薫がアメリカ現代美術の巨匠マーク・ロスコ(1903~1970)を語る。

亡命ユダヤ人だったロスコはニューヨークで画家の道を歩み始め、前衛的な仲間たちとシュルレアリスム風の絵画などさまざまな表現を模索していた。第二次大戦後、ロスコはついに 線も形も捨て去って色だけの絵画に到達する。
巨大な画面に赤や褐色などの少数の色が塗られただけの「ロスコ・スタイル」と呼ばれる作品たち。一切の「意味」がはぎとられ、一目みただけでは「何だこれは」と言うしかない不思議な世界である。

髙村の最新作「太陽を曳く馬」に登場する画家はみずからの住まいの壁を赤一色に塗り込める。そして彼はその作業の中で不可解な殺人を犯す。
人はなぜ描き、なぜ殺すのか。難解で答えのない問いに挑む髙村薫。
ロスコ晩年の「黒い絵」の前で「こんな小説が書きたい」と髙村は語った。
「何も意味せず、何かの図形でもない純粋抽象」であるロスコの絵画に寄せる髙村の深い共感は作家としての創作のモチーフと重なってくる。「意味」から自由になること。
ではなぜロスコの「よくわからない」絵画に人々はひかれるのか。
姜尚中はロスコの前で自我がなくなっていくという。

番組は髙村薫と姜尚中の美術をめぐる思索トークである。

(「太陽を曳く馬」朗読は俳優大杉漣)

写真

マーク・ロスコ (川村記念美術館)


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